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第16話






夕日が沈み始める頃、あれから特にイベントらしいイベントは無く、あまり景色の変わらない平原を進んでいた。


途中で何度か冒険者や商人らしき人達とすれ違ったが何もなかったんだZE!


「そろそろ寝床を探すかギョエ助」


「ギョエッ」


そう思い周囲を見回してみるが、昨日みたいに都合の良い場所は見当たらず、ちょっとガッカリ。


・・・仕方ない、道から離れた所で野営準備するか。


結界針を地面に刺し結界を展開、そして今日も薪を削った箸で飯の準備。


いやぁ、薪箸は使い終わったら燃やして処理すれば良いから楽だね。


今日の飯は明日の朝も温めればすぐに食べれるようにグツグツ煮込んだスープさ。


水の残りが不安だが・・・まぁ、いざとなれば野菜の水分で生きていくしかない。


と言ってもかなり野菜消費してるんだよなぁ・・・もう半分もないぞ。


まぁ、考えても仕方ないな。その時が来たらどうにかするさ。


薪でスプーンを作ろうとしたら難しかったので諦めて鍋から直飲み・・・うむ、鍋が熱くてスープの味見が出来ぬわっ!


だが!完成っ!今日の飯!パープリャンとスキューリングの干し肉煮込みスープでっす!


甘めの野菜のコラボが今!ここに実現っ!トロトロになった野菜が美味しそうです。


煮込む作業に時間を費やしすぎて、あたりはすっかり暗くなっているがな!


さて、そろそろ鍋も冷めたかな?と手に持とうとした瞬間・・・





「ギョエェエエエ!」





さっきまで大人しく生野菜を齧っていたギョエ助が急に大きな声で鳴き始めた。


あっぶねぇえええええええええ!もうちょっとで鍋が落ちるところだった・・・


晩飯と朝飯兼ねて、結構量を多く作ってあるから落ちたら泣くぞ。


にしても・・・


「敵か?ギョエす・・・」


ガァン!


「ギャウッ!」


何かがぶつかった様な音と痛そうな声が結界内に響き渡る。


はい、敵ですね。


良いだろう!俺の飯を邪魔したんだ!その喧嘩買ってやるよっ!


とイライラしながら俺は音のした方へ目を向ける。


するとそこにいたのは・・・






「・・・ドラゴン・・・だと?」






体長50cm程のドラゴンの様な姿をした生物だった。どうやら結界にぶつかった衝撃で気絶をしているようだ。


いやいや、待て待て・・・暗いから見間違えただけさ・・・


気絶している今のうちに、近づいて観察してみようじゃないか。


結界の外で転がっている魔物に近づきしゃがんで観察を開始。


もちろん俺は結界の中にいる!だって怖いじゃないか!


トカゲの様な体に硬そうな黒い鱗、立派な翼も生えている・・・サイズは小さいからまだ子供かね?


ってそんな問題じゃねぇええええ!これやっぱりドラゴンじゃねぇええかあああ!


異世界ばんざあああああああああい!いやあぁああああっふぅううううう!


・・・ふぅ、とりあえず落ち着くこう。


でもドラゴンだぜ?ドラゴン・・・ファンタジー定番中の定番!


あー、でも不味いなぁ。子供がいるって事は近くに親がいるんじゃないのか。


こんな所をドラゴンの親に見られたら確実に俺が襲われるな・・・


などと考えていると、


「ギョエッギョエー!」


とギョエ助が翼でドラゴンを指して首を横にブンブン振っている。


んん?


「こいつは敵じゃないのか?」


「ギョエッ」


頷くギョエ助。


ふむ、敵じゃないのか。なら触っても大丈夫かな?


結界から手だけを出して指で突っついてみる。


硬っ!鱗硬っ!にしてもドラゴンにツンツンできる日がくるとは・・・


にしても全然起きる様子がないな。


これなら持ち上げても大丈夫じゃね?


ドキドキしながらドラゴンを持ち上げてみる。


おぉ、結構重いな・・・このまま結界の中に引き込もうとしたらどうなるんだろ?


早速実験!両手で持ち上げたまま中へ引き込んでみる。


意外に抵抗も無くスルっと中に入ってしまった。


ふむ、気絶してるからか?それとも俺が触れてるからか?と考えていると・・・




ビュンッ!




一本の矢が飛んできた。


その矢は結界を素通りして、そのまま俺の晩飯兼朝飯の鍋へと向かっていき・・・




ガッシャアアアアアアアン!




鍋は中に入ったスープを撒き散らしながら地面に転がる。



・・・え?




俺はひっくり返った鍋を何度も確認する。




・・・え?




嘘だろ?まだ一口も食べてないんだぞ?



「動くなっ!その魔物をこちらに渡してもらおうか!」


ひっくり返った鍋を見ながら呆然としている俺に向かって、声が聞こえてきた。


俺が声のした方へ顔を向けると、30m程の距離の所に弓を構えている人物が立っていた。


その人物はローブを纏っており、フードも深く被っているため顔がわからないが、声の低さから察するに恐らく男だろう。


弓を構えるためにローブから出ている腕には丈夫そうな篭手のような物が見える。


ん?暗いのに見えるのかって?薄らだけど見えるよ。流石に細かい色まではわからないが。


「今のは警告だ!従わないなら次は当てるぞ!」


・・・うん、俺の晩飯兼朝飯を駄目にしたのがお前だって言うのはわかった。


ぶん殴ってやりたい・・・が!まだ早い・・・相手に隙ができるまでの我慢だ。


そしてそのまま警告に従い動かずにジッとしている。


「どうした!早くその魔物をこちらに渡せ!」


「お前が動くなって言ったんだろ?だから動かずにジッとしてるんじゃないか。それとも何か?動かずに魔物を渡せって事か?

そんな器用な事が出来るとでも?もしかして、あんたは出来るっていうのか?ハッ!そいつは凄いっ!出来るというなら是非ご教授願いたいもんだな!」


おっと、イライラしてるからつい嫌味が出ちゃったZE。


「クッ!ふざけるな!さっさと渡さないか!」


「あぁ、はいはい。今渡しますよっ!」


そう言って俺は両手で抱いていたドラゴンを上空に向かって高く放り投げた。


すまぬっ!ドラゴン!お前の事は忘れないっ!多分!


「なっ!?貴様!何ということを!」


俺から視線を外して上を向く男。


はい!隙が出来たよ!


投げても結界通過できるのかなと思ったが問題なく通過してくれた。


内側からなら自由に出れるのかね?


まぁ、今は考えてる場合じゃないな。


いくぜぇええええええええ!


「<アースカルティベイト>!<ストーンイジェクト>!」


敵の足場を柔らかくして俺が投げる石を取り出す!最早定番になりつつあるコンボだ!


「き、貴様っ!魔導師だったのかっ!」


男がドラゴンから目を離し、俺を弓矢で射抜こうとするが・・・時既に遅し!


というかやっぱり俺って魔導師に見えないのかね。何か使うたびに驚かれてる気がする。


「これは晩飯の分!」


そう言って俺は男に向かって石を投げる。


狙いは弓を持っている左腕だ。他の部分はローブでよく見えない為、狙いにくいからパス。


フードで覆われてる顔も万が一死なれると困るから駄目だ。俺の飯を駄目にした罪は一発で許されるものではない!


ジワジワと生き地獄を味合わせてやろう!HAHAHA!


防具つけてるから思いっきり投げても死にはしないだろうしな!



ビュンッ!



狙いはバッチリ!男の左腕へと命中!



ガァンッ!



ふむ、予想通り石の方が砕けたな。重装備相手の作戦も考えないといけないなぁ。


「グァッ!こ、この程度でっ!」


男は石が当たった衝撃で痺れている左手を震わせながらも再度狙いを定めるようとするが・・・


甘いわっ!俺が投げた後にジッとしてる訳がないだろうが!


そんな事を考えつつ、俺は男との距離を詰める。


走っている俺の右手には小石が数十個握られている。


そう、ショットガン投石をぶっ放す為だ!


ふはははは!ローブの下が見えないのなら片っ端から当てていけばいいじゃない!


さっきは距離があったから普通の投石しか選択肢が無かったからな!


走りながら10m程まで近づいたところで数十個の小石を相手の体に向かって投げつける。


「これは朝飯の分!」


ブァッ!


投げた瞬間、小石が放射線状に広がっていき相手に飛んでいく。



ガガガガガガガ!



無数の小石が相手に当たっては砕け散っていった。


チッ、やっぱり体にも防具を身につけてやがったか!


「グゥゥウッ!」


だがいくつかの石は体にダメージを与えたようだ。血がローブに染み込んでいるのが見えた。


「ガァアアアッ!」


男が苦し紛れに矢を放つが・・・矢は見当違いの方向へと飛んでいった。


そして俺は走ってる勢いを利用して両足で飛び蹴りを放つ。


そう、プロレスでよくやっているドロップキックという技である。


「そしてこれは・・・尊い犠牲になったドラゴンの分だぁあああ!」


ドラゴンは俺が投げ飛ばしたんだけどね!



ガィン!



蹴りは相手の胴体へと当たり、金属の鈍い音が響く。


「カハッ・・・」


蹴られた男は数m程吹っ飛んでいった。


俺は更に追撃をかけようと吹っ飛んだ男を追いかけるが・・・


「・・・気絶してるな」


男は既に気を失っていた。


よし、今のうちに身包みを剥いで・・・と考えていると、


「ギョッ!ギョッ!ギョギョエッ!」


ギョエ助が上を見ながらバタバタしていたので、上を見上げると何かが落ちてくるのが見えた。


おぉ、まだドラゴン落ちてきてなかったのか。


俺は上を見ながら落下地点らしき場所へと走る。


流石にこのまま落とすのは可哀想だもんね。間に合うならしっかりと受け止めてやるZE!


真下についた俺は地面に手をつけ詠唱を開始。


「<アースカルティベイト>」


万が一、受け止めれなかった時の事を考えて俺の周りの地面をふっわふわにしておくよ!


そんな事をしている間にもどんどん近づいてきているドラゴン。



ドンッ!



何とか無事にドラゴンを両手で受け止める。


・・・この状況でまだ気絶してるドラゴンさん、ある意味凄いです。あと鱗がちょっと痛いです。



※実はこのドラゴン、上空で一度目を覚ましたのだが、あまりの高さに再度気絶したのはここだけの話である!



っとこんな事してる場合じゃない、早くあの男の身ぐるみを剥がさないと目を覚ましてしまう。


「ギョエ助、他に危険はないか?」


念のために聞いておく。


「ギョエッ!」


よし、大丈夫みたいだな。


そして俺はドラゴンを結界内に連れて行き、地面に寝かせた後に再び男へと近づいて、最初に弓と矢を回収。


弓を良く見てみると、しっかりした作りをしていて材質もなかなか良さそうな感じだった。


これは高く売れそうだな。


次にローブをナイフで切り裂いていく。


中から現れたのは銀色の鎧兜を身に纏った男だった。


やっぱり兜もつけてたか・・・兜は顔の前面以外を覆っており、顔は見えるようになっている。


顔を見るとイケメンくさい・・・チッ!イケメンは嫌いなんだよ!


顎で止められているベルトをナイフで切断して兜をはずす。


髪は茶髪で短髪のオールバックになっている。


ふむ、耳は尖ってないな。どうやら人族のようだ。


さて、次は鎧を剥いでいくか。女の子なら楽しく作業できるんだけどなぁ。


そんな事を思いつつ鎧を繋ぎとめているベルトを切っていく。


うへぇ、鎧の覆えていない場所から血が結構出てるな。恐るべしショットガン投石。


それに鎧の胴体部分はドロップキックでちょっと凹んでるし・・・


力入れすぎちゃったかな?


まぁ、いいか。息はしてるしな。


腕と足の防具も外してっと・・・よし!ようやく防具を外し終わったぞ。


これで男の装備は薄っぺらい血の付いた服の上下のみ。


にしてもこの男は他に荷物を持ってないのだろうか?どこかに隠してあるのかね?


隠してあるならきちんと探して奪い取らないとね。


よし、後はロープで縛りあげてと・・・手と足を背中でまとめて、えび反り状態で縛り上げる。


そして、そのまま俺の宿泊地へズルズル引きずっていく。


ちゃんと傷口が地面に擦れるように、引きずってるからね!


ふはははは!良い気付けになるだろ!


「・・・うぅっ!」


おっ、結界内に入った所で気づくなんてやっぱり地面に擦れるように引きずったのが効いたのかね!


「目が覚めたか?」


「・・・ハッ!貴様はっ!・・・ウグッ!」


「あんまり動かない方がいいぞ。傷が酷いからな」


傷をつけたのも傷を酷くしたのも俺ですけどね!


「クゥッ!早くこの縄をほどけ!」


「解く理由がないんだがな、今の状況を理解していないのか?」


だとしたら更に痛めつける必要があるのだが。


「・・・何が目的だ」


「目的を聞きたいのはこちらの方だ。何故あの魔物を求める?」


未だに気絶しているドラゴンをチラリと見て男に問いかける。


「・・・」


あらら、喋らないつもりかね。


「喋らないならそれでもいいが・・・殺すぞ?」


俺はにこやかに笑いながら男に言い放つ。


「・・・それが俺が受けた命令だからだ」


うむ、人間素直が一番さ。それにしても命令ねぇ・・・


「理由は知らないのか?」


「それは・・・」



はい!長いからまとめるよ!


どうやらこの男はシルヴェウス王都にいる貴族からの命令を受けて魔国領にある山から、この魔物・・・ダークネスドラゴンと言うらしいのだが、


長ったらしいからダネドラと略すよ!ダメなドラゴンの略っぽいけどダネだよダネ!間違えないでね!


ダクドラでも良かったんだけどツユダクっぽくなるから却下だ!


その卵を親のダネドラがいない間に盗み、サイクォッツに持ち帰られた物を受け取って帰る途中だったらしい。


だがカルナッタに向かっている道中で卵が孵化、逃げ出したダネドラを追いかけて今に至るというわけだ。


・・・おいおい、盗んできた卵って確実にやばいフラグ立ってるじゃん。


ちなみに男は目立つのを避ける為にサイクォッツからカルナッタまでは単独で行動する予定だったとか。


運のない奴だなぁ・・・






――――――――――――――――






その後、男が乗って来たと言うウニコーンを探し、荷物を漁ろうと思ったのだが、時間がないのでとりあえず全部持って行く。


また明日にでも整理すれば良いよな。要らない物はサイクォッツで売り飛ばしてしまおう。


ウニコーンはどうしようか。


連れて行って売り飛ばすのもありだけど、水や食料が余分にかかっちゃうしなぁ・・・


まぁ、いいや。とりあえずウニコーンを連れて宿泊地に戻ろう。



戻ってきた所で、


「ギョエッギョエー!」


とギョエ助が騒いでいるので見てみると、どうやらダネドラが目を覚ますようだ。


「・・・ギャウ?」


目を覚ましたダネドラは何かを探しているのかキョロキョロと辺りを見回している。


そして俺と目があった。


つぶらな瞳が可愛らしい・・・うむ、良いなぁ。などと考えていると・・・


ダネドラは俺から視線を外し、俺の後ろに転がっている男に目を向ける。


「ギャウ!」


男を発見した瞬間、いきなり大きく口を開けるダネドラ。


・・・なんだ?ってか生まれたばかりで歯は綺麗に生え揃ってるんだなぁ、それに鋭く尖った歯ばかりで噛まれると痛そうだ。


そんな事を考えながらしばらく見ていると、ダネドラの口の中が光りだした。


「ギョエッ!ギョエエエエエ!」


口の中が光りだした途端、ギョエ助が騒ぎ出す。



これはやばいっ!



そう直感した俺はすぐさま横に避ける!その瞬間・・・!


「ギャウゥウウウウ!」


とダネドラの口から15cm程の黒い塊が吐き出された。黒い塊はそのまま男へと向かっていき・・・


「ひっ、た、たすけ・・・っ!ギャァアアアアアアア!」


黒い塊が男に当たった瞬間、黒い塊は漆黒の炎へと変わり、男の体を覆い尽くす。


不思議な事に、この漆黒の炎は周辺に燃え移る事がなく男の体だけを燃やしているようだ。


叫び声を上げて動けないながらも暴れていた男はすぐに静かになり、動かなくなった。


それでも漆黒の炎は消えることなく燃え続けている。


そのまま5分ほど燃え続けた後にようやく漆黒の炎は消えた。


後に残るのは男の衣服と縛り上げていた縄・・・それと男の燃えカスと思われる黒い灰のみ。



・・・こわっ!ダネドラこわっ!


生まれたばかりなのに、こんな事が出来るなら逃げる必要ないんじゃねぇの。


と思ったけど、出すのにかなり時間が掛かってたから無理だったのかな。


そして再びダネドラの方へ目を向けると、ものすごく疲れた顔をしていた。


「・・・ギャウゥ」


どうやら力を使いすぎたみたいだな。


良かった・・・ダネドラが疲れている今のうちにここから立ち去ろう。


もう巻き込まれたくないよ!と思ったのだが・・・


トテトテトテッ・・・ガシッ!


と疲れているはずのダネドラが歩いてきて、俺の足を器用に両前足で挟み込んで立ち上がる。


「ギャウゥゥゥ・・・」


そ、そんなウルウルした瞳で見つめるんじゃありませんっ!


っていうか何でこんなに懐かれてるんだよ!おかしいだろ!?


俺はお前を投げ飛ばしたり!投げ飛ばしたり!投げ飛ばしたりしたんだぞ!?


畜生!厄介事になるの確定じゃないか!と考えていると・・・



ぐぎゅるるるるる



と奇怪な音が聞こえてきた。


まるで誰かの腹の音が鳴ったような・・・ギョエ助か?と思ってギョエ助を見るもブンブンと首を横に振っている。


あれ?じゃあ・・・と思って足元にいるダネドラに目を向けるとちょっと照れくさそうな顔をしている。


あぁ・・・ドラゴン種も照れるんだ・・・ってそんな問題じゃねぇよ!


腹が減ってるから俺に擦り寄って来たのか?


って待て待て・・・このまま俺が食われるとかそんなオチじゃないよな!?


とダネドラを見てみるが一向に俺を食おうとする様子はない。


良かった・・・俺が食われる心配は無さそうだ・・・


「ギャウギャウ!」


よっぽどお腹が空いているのか俺に催促するように鳴いているダネドラ。


うーむ、ドラゴン種って何食うんだ?肉でもやれば良いのか?


でもなぁ、サイクォッツまでは食料を出来るだけ温存したいからなぁ・・・


とその時!俺の頭にある画期的な閃きが!


「よしよし、腹が減ってるんだな。あのウニコーンを食べて良いぞ」


ウニコーンを連れて行くかどうか迷ってたし、ちょうど良いや。


「ヒヒンッ!?」


俺の言葉の意味がわかったウニコーンが驚愕の表情で俺を見るが、俺は気づかないふりをする。


許せウニコーン・・・お前と俺に繋がりはなかったのだ・・・恨むならお前に騎乗していた男を恨め。


もう灰になってるけどね!


「ギャウッ!?」


ダネドラが本当に良いの!?みたいな感じでで俺に問いかける。


俺はゆっくりと・・・だが力強く頷いた。


ふと気づいた、ダネドラも俺の言う事を完全に理解してないか?


結界針に防がれたから魔物のはずだけど・・・知能が高いと魔獣になるんじゃないのか?


そこで俺は受付嬢の言っていた事を思い出す。


知能が高い獣は全て魔獣の扱いになりますので・・・って言ってたよな。


・・・あれ?もしかして知能が高い魔物は魔物のまま?獣だけが魔獣なのか?


そういえばエイレッグリザードも獣じゃないよな。あれも魔物になるのか?


・・・まぁ、いっか。俺にはわからないが、何かのルールがあるんだろう。


こまけぇこたぁいいんだよっ!そんな事より今はダネドラだダネドラ。



「ギャウゥウウ♪」


喜びながらウニコーンへとトテトテ走っていくダネドラ・・・


というか、立派な翼があるのに飛ばないのは何でだ?


お腹空いてるからか?まぁ、これも気にしても仕方ないな。


ウニコーンは逃げようとするが、逃げられないように手綱を木に結んでいるので何の問題もないんだZE。


「ギャウギャウッ♪」


「ヒヒィイイン!」


ウニコーンは諦めずに暴れているが・・・無駄だろうな・・・



ガブッ!



ダネドラの鋭い歯がウニコーンの左前足へと食い込む。


「ヒヒィン!ヒヒィイィイイン!」


ウニコーンは必死に暴れるがダネドラの口が外れる様子はない。


そして・・・ブチィッとウニコーンの足が噛み千切られ、バランスを失ったウニコーンは地面に横たわる。


足から血を噴出しながら倒れるウニコーンに対して、ダネドラは噛み千切った足の一部を美味しそうに咀嚼し飲み込む。


足の一部を飲み込んだダネドラは、倒れながらも暴れているウニコーンを仕留める為か、次に首元へと噛み付いた。


「ヒヒ・・・ィィン・・・」


ウニコーンは口から血を吐き出した後、息を引き取った。


口の周りを血だらけにしながらダネドラは次々とウニコーンの肉を食べ始めた。


さて、ダネドラがウニコーンに夢中になっている今のうちに荷物をまとめて出発してしまおう。


・・・せっかく作った食事を一口も食べられずに鍋を片付けてると悲しくなるね。


王都にいるクソ貴族は絶対に許さん!何年経っても絶対に復讐してやるぞぉおおおおおおお!!


そんな事を考えつつ、お片づけ終了。


奪った荷物も全部ギョエ助に積み込んだ。もちろん男を縛っていた縄も回収してるZE!


「ギョエ助、暗いけど走れるか?」


「ギョエッ!」


自信満々に頷いてるな、これなら大丈夫か。


出発する前にダネドラがこちらを注目してないか見てみると、未だにウニコーンを美味しそうに食べていた。


ウニコーンの頭は既に無く、どうやら骨ごと食べているようだ。


あの小さな体のどこにあれだけ食べられるスペースが・・・と考えていて俺はある違和感に気づく。




・・・あれ?さっきより体が大きくなってないか?




先ほどまで、ウニコーンの膝下くらいまでしか無かったはずなのに今は太ももくらいまで成長してる気がする。


いやいや、流石に錯覚だろ。と思って観察していると一口食べるごとに体がズズっと大きくなっていた。


「ドラゴン種って成長早いんだなぁ・・・行こうか、ギョエ助」


「ギョエッ」


俺は考えるのをやめてドラゴン種だから仕方ないよな、と納得する事にした。


そうして俺はダネドラを置き去りにして俺とギョエ助は走り出したのである。


これが漫画の主人公とかなら連れて行くんだろうなぁ、だが俺は自分の手に負えないものを連れて行く気は一切ないっ!


それにあれだけ成長率早ければ、捕まる心配もあるまい!・・・多分!






――――――――――――――――






しばらく走った所で再び宿泊の準備をする。


ふふ・・・今度の寝床は、隠れられそうな岩場を見つけたからちょっと安心だ!


本当にちょっとだけどね!


そして結界針を刺そうと思った所で魔石の色が随分と黒ずんでいる事に気づいた。


あれ?まだ24時間は経ってないはずだが・・・ダネドラのせいかな?


まぁ、いいか。とりあえず魔力を込めてみよう。


初めてだからドキドキするな・・・


確か魔力を込めすぎると壊れちゃうんだよな。


慎重にジワジワとネットリと魔力を込めてくれるわー!


結界針を握り締めゆっくりと魔力を流し込む。



ゆっくりじわじわ込める魔力~♪



魔石の色が白い輝きを取り戻していく・・・



「・・・ふぅ、これくらいで大丈夫かな」



にしてもこの作業、普通に魔法を詠唱するよりかなり神経を使うな。


どこが神経使ってるんだよってツッコミは無しだZE!


それでは改めて・・・結界全開っ!


ブゥンと白く張られた膜をみて、無事に魔力を込められたと一安心。


晩飯はもう作る気が無くなっちゃったから生野菜で我慢する。


ボリボリとスキューリングを貪ってレッツ睡眠!


今日はすぐに動けるように片膝を立てて座りながら毛布を纏って眠る事にした。


昨日は普通に寝転がって寝ちゃったからな。


寝てる時も飯の時も油断は禁物と言う事を学んだぜ!


岩を背にしてるから後ろから襲われる事もないはず・・・


奪った荷物の整理は明日の朝にしようと思う。


暗い中で物色してもよくわかんないだろうしね。


それじゃおやすみ・・・





ステータス


名前:ロック


冒険者ランク:F


依頼成功率:3/3


所持金:3万3370ギル 金貨2枚と大銀貨13枚と銀貨3枚と銅貨7枚


装備品:白のTシャツ、黒のジャージズボン、ブーツサンダル、黒のフード付マント、ナマクラナイフ


持ち物:女パンツ2枚、ギルドカード、サンダルスリッパ、着火石、結界針、冷水筒、毛布、包帯、

    ポーション×5、解毒ポーション×5、縄、片手鍋、道具袋、財布用道具袋、食材用道具袋、

    野菜各種、依頼の手紙、調味料各種、干し肉、乾麺、タオル×2、薪、石、未整理の奪った荷物


使える魔法:<アースカルティベイト>、<アースライズ>、<ストーンイジェクト>




騎乗魔獣


名前:ギョエ助


種族:ギョエックバード


装備品:首かけ水筒、鞍、手綱






異世界っ定番っドラゴォオオオン!


ふぅ・・・良いですよね。ドラゴン。


そんなこんなで四日目が終わりました。


次は2月の更新を予定してます。


それではまた。

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