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第11話




俺がギルドに向けて歩いていると、朝のガキがまたぶつかって来たので捕獲した。


この俺に向かって一日に二度もぶつかってくるとは良い度胸だ!その喧嘩・・・買ってやる!


「はなせっ!はなせよっ!」


「人にぶつかって謝りもしないガキを許すつもりは無い」


と説教していると朝にガキを追いかけていたおっさんが走ってきた。


あれ?もしかして今まで追いかけてたの?マジで?もうお昼くらいだぞ?


「ゼェ・・・ゼェ・・・ガキを・・・捕まえてくれたのか・・・」


「今まで追いかけてたのか?」


そう言うとおっさんは息を整えて喋りだした。


「あぁ、俺の全財産だからな・・・にしても助かった。そろそろ倒れそうだったんだ」


そりゃそうだろうな。


「大変だったな、ほらガキだ」


と言って未だに暴れているガキを渡してやる。


俺がボコボコにしても良いが、朝から追っかけていたおっさんの分を奪う気になれない。


「あぁ、すまんな。このクソガキ!よくも俺の財布を!」


そう言いながらガキの腹や顔を殴ってるおっさん。


俺はそれをニヤニヤしながら見守る。


そうしてしばらく堪能した後、満足した俺はギルドへ出発。




ギルドに到着し、受付へ。


「依頼を達成した」


そう言って依頼達成書とギルドカードを受付嬢に渡す。


「はい、お預かりします」


「基本報酬が3500ギルですね。更に二頭捕獲で1000ギルと貴重な子供と言う事で500ギル、合計1500ギルが追加されてで5000ギルの報酬になりますね」


ふむ、報酬3500ギルに対して1500ギルの増額か。うまいなー。


まぁ、捕獲したとか言ってるけど職員が逃がしちゃったんだけどね!


「では、こちらが報酬の5000ギル、大銀貨5枚とギルドカードになります」


5000ギルとギルドカードを受けとる。依頼達成数が2/2になった。


うむ、失敗が無いって言うのは良い事だな。まぁ、Fランクだからだろうけど。


「ありがとう、あと、聞きたい事があるんだが」


「何でしょうか?」


「帰ってくるときに冒険者らしき死体があったんだが、死体が持っているギルドカードは冒険者ギルドに持ってきたほうがいいのか?」


「・・・そうですね。発見したら持ってきていただけるとギルドとしても助かります」


「こんな事を聞くのは不謹慎だと思うが・・・持ってくると報酬は出るのか?」


「基本的にギルドからは報酬は出ませんね。出してしまうと盗んだり奪い取る人が出てきてしまいますから」


あぁ、やっぱりそうなるのか。


「まぁ、そうだよな。あぁ、それと他にも聞きたいことがあってな」


「はい、なんでしょう?」


「ヌンドックを探していたらヌビットという魔獣を見かけたんだが」


「ッ!ヌヌ、ヌビットを見たんですか!?」


いきなり大声で叫ぶ受付嬢。


「ヌビットだと!?」


「それは本当か!」


「いいなーっ!」


受付嬢の声を聞いた周囲の冒険者も騒ぎ出した。


「おいおい、そんなにすごい魔獣なのか?」


「知らないんですか!?」


知ってたら聞かねぇよ!


「知ってたら聞かないと思うんがな?後、声の大きさを下げろ」


ちょっとイラッとしたので怒気を込めて言ってみた。


「っ!す、すみませんっ!」


よしよし、謝るなら許す。


「で?ヌビットって何だ?」


「ヌビットと言うのはですね。非常に希少な魔獣で、人の前には姿を現さないんですよ」


・・・ヌンドォオオックって叫べば出てくるのにか?


まぁ偶然だろうけどさ。あと希少なのは髭男に聞きました。


「一応確認するが、茶色くて耳が垂れててヌーンって鳴く魔獣で間違いないよな?」


「それですっ!それがヌビットです!」


また大声で叫んでるし・・・


「声が大きいって、さっき言ったよな?・・・それにヌビットを見つけたからってどうなるんだ?」


髭男とバンダナは高く売れるって言ってたが希少以外の理由あるのかね。


「す、すみませんっ!・・・ヌビットは幸運の象徴と呼ばれてまして見つけると幸運が訪れるらしいんです」


幸運ねぇ・・・いわゆる迷信の類だろ?


「それだけでこんなに騒がれるのか?」


「そ、それだけって!すっごくありがたいんですよ!?」


でもなぁ。見つけただけで幸運って事は売り飛ばそうとしてた奴らも幸運になるわけで・・・


「捕まえて売り飛ばそうとしてる奴らにも遭遇したんだが、そいつらも幸運になるのか?」


「あぁ、まだいたんですね。そういう人が・・・」


えっ?何その反応。何か憐れみを向けるような顔なんだけど。


「ん?希少な魔獣で更に幸運が訪れるんだろ?そういう奴が出てくるのは普通だと思うが」


「それが・・・ヌビットに害を加えようとした人達は必ず悲惨な最期をむかえるんですよ」


えっ、何それ。ヌビット怖い。


俺は問題ない・・・よな?


良かった・・・撫でといて・・・蹴飛ばしたりしてたら俺死んでたな。


「ですからヌビットは強さとしては最低限なのですが魔獣のランクとしてはSランクになってますね」


・・・はぁっ!?


「・・・Sランク?」


「はい、Sランクです。決して手を出さないようにという忠告の意味合いを含んでますので」


なるほどなー、確かにSランクの魔獣って聞いてればどれだけ姿が可愛くても手は出さなくなるよな。


ってか、それでも手を出そうとするこの世界の愛好家がすごい。


「ですから絶対に攻撃を加えようとしたり捕まえようとしないでくださいね」


「わかった、気をつけよう」


そう言ってギルドから出ようとしたのだが・・・


騎士っぽい格好をした女が道を塞いでいた。


「どいてくれないか?」


邪魔なんだよ!


「ヌビットを見たと言うのは本当なのか?」


「嘘だ」


面倒な事になりそうなので即座に否定する。これも全部大声で叫んだ受付嬢のせいだ・・・恨むぞ。


「ひぅっ!急に寒気が・・・」


受付嬢が何か言っているが気にしてはいけない。


「だが・・・」


「急いでるんだ、邪魔をしないでくれ」


有無を言わさず押し通るっ!


「す、すまない」


ようやく道を開ける女騎士。


さて、邪魔者もいなくなった事だし昼飯を食べに行こうっと。



主人公の所持金 7万5570ギル→8万570ギル




――――――――――――――――




屋台で適当に飯を買い、食いながら歩く。


買ったのは串に肉が刺さっているシンプルな食べ物だ。


一串150ギルだったから三串ほど購入。


うむ、塩と胡椒のシンプルな味付けながらも味わい深い一品。美味いな。


何の肉かは気にしてはいけないのである。どうせ名前聞いてもわからないしね。


流石に三串同時には食べられないので二串は包んでもらって食材用の袋に入れておいた。


これで依頼中にも飯が食える。


さて、次の依頼を受けに行く前に靴を見に行くか。


パカパカサンダルで戦闘をこなすのは怖い。俺は臆病なのである。


靴下がなくても大丈夫そうなのを探そう。いっそまたサンダルでもいいかもしれない。


この前は雑貨屋でハズレだったから今度は防具も売ってるドワーフのおっさんの所で聞いてみようか。


店に到着して中に入ると相変わらず客はいなかった。


この状態でよく店を経営できるな。


ドワーフのおっさんは俺の顔を一瞥すると、


「・・・お前か、今度は何の用だ」


と話しかけてきた。


「足の防具を探してるんだ。出来れば靴と一体型のタイプで履き心地と通気性が良い物を頼む」


この世界で水虫になるかはわからないけど用心に越した事はない。


水虫のせいで戦闘に集中できなくて死ぬなんて絶対に嫌だからな!


まぁ、魔法があるのなら治せそうな気もするけどね。


「また妙な注文しやがって・・・ちょっと待ってろ」


そう言って探してくれるドワーフのおっさん。


やっぱり妙な注文なのか・・・他の冒険者ってやっぱり防御力優先なのかね?


履き心地や通気性って大事だと思うんだけどなぁ。


「お前が出した条件に当てはまるのはこれくらいだな。」


あったのかよっ!すげぇ!すげぇよ!


取り出された防具を見てみる。


ふむ、ブーツサンダル形の防具か。素材は何かの皮で出来ているみたいだ。


良いんじゃないのぉー!というかブーツサンダルがある事にびっくりです。


あっ、ブーツサンダルを超簡単に説明するとブーツの靴の部分がサンダルっぽく開いてるんだ。


ふくらはぎの部分はそのまま覆ってある物が多いよ!


でも・・・


「防御力は期待できなさそうだな?」


ドワーフのおっさんに気になった点を言ってみる。


まぁ、今履いてるサンダルスリッパに比べたらかなり強化されるんだけどね。


だが防具に妥協するなといったドワーフのおっさんがこんな中途半端な物を出すだろうか?いや出さないはずだっ!


「お前もそう思うか?そこでこれが役に立つ」


更に取り出してきたのは金属製の・・・覆い?


「これを取り付けるんだ」


そう言って金属製の覆いをブーツサンダルに取り付ける。


「これで防御力の問題は無くなる」


なん・・・だとっ!?


「着脱可能か・・・便利だな」


「あぁ、つけはずしもすぐにできるようになっている」


「激しい動きで、はずれたりする心配はないんだよな?」


これは聞いておかないとまずいよね。蹴りを出して覆いが飛んでいったら笑えない。


「当たり前だ。誰が作ったと思ってる」


ですよねー!


「よし、買った。いくらだ?」


「着脱にかなり力を入れたからな、ちょっと高いぞ」


「金なら多少持っているから心配ない」


足りなかったら盗賊ギルドから奪って来てでも買うぞ。


「そうだな・・・2万ギルだ。出せるか?」


「ほら、2万ギルだ」


そう言って即座に金貨2枚を取り出して支払う。


「本当に買うとはな・・・」


「ん?買っちゃ不味いのか?」


「いや、構わないんだが・・・今までその防具を見た客の反応が反応だったからな」


んん?他の冒険者はこの防具の良さがわからなかったのか?


覆いの素材を変えればお手軽に防御力アップもできるだろうし、その上で履き心地も通気性も変わらず。


まぁ、重さは変わるだろうがね。


後々の事を考えるとお値段安上がりじゃないですか。


フルで覆ってるタイプはやっぱり蒸れそうだしな。


「俺が良いと思ったんだから良いんだよ」


「そうか・・・それなら金は1万ギルで良い」


「・・・いきなりだな」


「買った後で使われなかったら防具が死んじまうからな。本当に使う気があるのか試したんだ」


ふむ、試されてたのか。


「それじゃ合格で良いんだな?」


「あぁ、また何かあればいつでも来い。お前なら歓迎しよう」


よっしゃ!馴染みの店ゲットォオオオオ!


その後、ブーツサンダルを俺に合わせて微調整をして貰い店を出る。


いやぁサンダルスリッパからブーツサンダルにレベルアップですよ。


履き心地良し!通気性も良し!金属を装着しても問題無し!


良い・・・良いぞぉおおおお!パカパカにならないぞぉおお!


最初からあの店で聞いとけばよかったっ!



さて、新たなサンダルも買ったし新たな依頼を受けにギルドに行くかぁ!


ちなみに愛用していたサンダルスリッパは一応取ってある。


パカパカになったとしても・・・好きなんだ・・・サンダルスリッパ。


まぁ、荷物が入りきらなくなったら泣く泣く処分するかもしれない。



主人公の所持金 8万570ギル → 7万120ギル




――――――――――――――――




ギルドに入り依頼を探す。


そろそろ魔獣か魔物退治でも受けてみるかなー


この世界に来て殺したのが人間だけってどうよ。初日に討伐依頼を受けようとしたけど馬鹿に邪魔されたしな。


でもこういう依頼って、漫画やラノベだと必ずと言っていいほど予想外の強敵が出てきたりするんだよな。


まぁ倒すのが無理そうだったら全力で逃げるけどな!


その前に都合良く近場で討伐依頼があるかどうかだが・・・



普通に見つけてしまった、見つけたら行かないといけないじゃないか!




依頼:ビッグラットの退治



うちの畑に出たビッグラットを懲らしめてくれ!


畑が荒らされて困ってるんだ!


報酬:1500ギル




うぅむ、報酬は少ないが討伐系で夜までに帰ってこれるのがこれくらいしかないな。


まぁ、いいか。これ受けようっと。


受付で畑の場所を聞くと街を出て南に行くと川がありそこに農耕地があるらしい。


ほほー、南はまだ行った事ないな。


しかも農耕地になってるとか『地』属性大活躍じゃね!


まぁ、今は活躍して無いのはわかりきってるんだが・・・悲しい事だ。



さて、行くか。




――――――――――――――――




初めて西門以外から出たのだが、南門も何の代わり映えもせず西門と同じ普通の門だった。


つまらん!何てつまらんのだ!


それに面倒事の気配もしてるし・・・


何がって?


ギルドでヌビットの事を聞いてきた女騎士がいただろ?そいつが後からついてきてるんだ・・・


試しに振り返ってみたら、顔をそむけながらもこっちをチラチラ見てるし、不器用な奴だ。


どうすっかなー、これから先もついてこられると面倒だし・・・声をかけてみるか。


「・・・何の用だ?」


相手は声をかけられるとは思ってなかったようで


「わ、私に話しかけているのか?」


「見渡す限り、他に誰もいないと思うが?」


まさか霊的な物が見えるのか?


ってかこの世界だと普通に魔物としていそうだが。


「ヌ、ヌビットの話を聞きたいんだ。さっきは急いでいると言っていたから邪魔をしないようにしていたのだが・・・」


「俺は見ていないと言った筈だが?」


「だ、だが!受付嬢に・・・」


はぁ・・・ある程度聞かれてたっぽいな。こういう奴って話を聞くまで、ずっとついてくるんだよな。


ストーカー女とか刺されそうで嫌です。


「仕方ない、依頼場所にたどり着くまでなら話をしてやる」


「ほ、本当か!恩に着るぞ!」


「恩に着るくらいなら情報料を払え」


「うっ・・・わかった。出来る限りの額を払おう」


おぉ!言ってみるもんだな!マネーは大切だからな!


「で、ヌビットの何が聞きたいんだ?」


「まずは、どこで見かけたのか教えてくれないだろうか?」


「西門を出てしばらく行った先にある森だ。ヌンドックを探しに行ったら出てきたんだよ」


「西の森?そんな近場にいたのか・・・」


「聞きたいことはそれだけか?」


「あ、あと・・・その・・・どうだった?」


「・・・なにがだ?」


「み、見た目だ!可愛かったか!?」


「まぁ、可愛かったし、触り心地も抜群だったが・・・」


「っ!?ヌビットに触ったのか!?」


「あぁ、ヌビットの方から近寄ってきたからな。撫で回してやったよ」


ふっわふわのもっこもこだったよ。


「なんてことだ!私がいくら探しても全然見つからないと言うのに!!」


「んん?魔獣って生息地はある程度決まってるんじゃないのか?」


魔獣とはいえど縄張り的な物があるだろうし。


「いや、他の魔獣と違ってヌビットは何処にでも現れるんだ。周りに何もない砂漠でも見かけたという情報があるくらいだ」


ほほー、何処にでも現れるのか。でも流石に砂漠は暑さにやられて幻を見たんだろとか思っちゃうよ。


「何でそこまでヌビットに会いたがる?」


幸運の象徴って言っても所詮迷信だろうに。手を出した時の不幸は本物っぽいが。


「・・・・・・からだ」


「すまん、聞こえなかったからもう一度頼む」


「可愛いからだ!!」


顔を真っ赤にして女騎士が叫ぶ。


「・・・それだけの理由か?」


「わ、悪いか・・・?」


いやぁ、悪いって言われてもなぁ・・・


「別に悪くは無いが・・・会った事無いのに可愛いと言えるのか?」


「私の両親がヌビットがきっかけで出会ってそのまま結婚したらしくてな、子供の頃からずっとその可愛さを聞かされていたのだ・・・

大きくなったら絶対に会いに行ってやると誓ったのだが、両親が遭遇したという場所も探し回っても見つからず、各地を転々として情報を集めていたのだ!」


すげぇ執念だなおい・・・


というか恋のキューピッドまでやってるのかよヌビット・・・幅広いな。


「ふぅん、苦労してるんだな。それよりそろそろ依頼場所に到着しそうなんだが話は終わりでいいか?」


「あぁ、ありがとう。情報料だ」


と言って金貨1枚を渡してくる女騎士。


金貨1枚ってマジかよ・・・ブーツサンダル代が浮いたじゃん。


「行って会えるかどうかもわからないのに、金貨1枚も出すのか?」


俺にとっては嬉しいが、会えなかった時に文句を言われても困るぞ。


「当日に出会ったという情報が初めてだからな、当然それくらいは出す。簡単に会えないのも今までの旅でわかっているさ」


「嘘だとは考えないんだな」


「嘘なら嘘で、騙された私が未熟だったと言う事だ」


ふむ、その考え方は嫌いじゃないぞ。まぁ俺を騙そうなんて奴がいたら、相応の報いを受けてもらうがな。


「ま、頑張ればいい」


「あぁ!早速今から行ってくる!それじゃあな!」


元気な奴だ・・・


あーそういえば、


「ちょっと待て」


ある事を思い出して女騎士を呼び止める。


「ん?何だ?情報料が足りなかったか?」


女騎士はまたお金を出そうとしている。どれだけヌビットに会いたいんだよ。


「いや、情報料は十分だがヌビットを追いかけるなら髭の男とバンダナを巻いた男の二人組に気をつけろよ」


「その二人組がどうかしたのか?」


「いや、俺がヌビットに会った時に追い掛け回していたからな。捕まえて愛好家に売り払おうとしているらしい。

俺は何ともなかったが邪魔をしようとするなら襲い掛かってくるぞ」


「あぁ、冒険者ギルドで言っていた奴らか・・・」


あっ、そこまで聞いてるのね。


「そうだ。まぁ、もう死んでいるかもしれないがな」


ヌビットに思いっきり害を加えようとしてたもんなぁ。

死んでいるならどんな悲惨な最後を迎えたか知りたいところだ。


「わかった、髭とバンダナだな!会ったら気をつける。ありがとうっ!」


そう言って笑顔で走り去っていった。


あっ、転んだ。


「・・・さて、依頼人に会いに行くか」


俺は何も見なかった事にして依頼人に会いに行く。



主人公の所持金 7万120ギル→8万120ギル




――――――――――――――――




たどり着いた農耕地は周辺全てを木の柵で覆われていた、広さもかなりあるようだ。


畑で働いてる人に、ビッグラットに困っている畑がどこか聞いて向かう。


「依頼主の名前を聞いておけばよかった」


と今更ながら後悔しつつ、それらしき畑を見つけたので畑にいる人に声をかけてみる。


「ここがビッグラットに困っている畑か?」


「おぉ、そうだけどうちの畑に何か用か?」


「冒険者ギルドから依頼を受けてきたんだが」


「おぉ!そうかそうか!依頼を受けて来てくれたか!いやー依頼を出したのは良いが、誰も来ないから心配してたんだ!」


ふむ、やっぱり報酬が1500ギルじゃ少ないのかね。


「それで依頼内容を詳しく聞かせて欲しいんだが」


「あぁ、ビッグラットはどんなのか知ってるかい?」


「いや、すまないが知らない」


「そうか、ビッグラットって言うのはその名の通りでかいネズミでな、自分が気に入った畑にだけ現れるんだ。

今回は運悪く、うちの畑を気に入ってな・・・巣穴をぼこぼこ作ってるんだ」


「ビッグラットは1体だけなのか?」


ネズミって言うなら繁殖してすごい数になってそうだが・・・


「あぁ、今のところ確認してるのは1体だけだ。だがもうすぐ繁殖期に入るみたいでな、今のうちに退治しておかないとやばいんだ」


あぁ、繁殖期じゃないと増えないネズミなのね。


「1体くらいなら退治できると思って他の畑の奴らにも手伝ってもらったんだが・・・すばしっこくて追いつけねぇんだ」


ふむふむ、素早さもあると。


「わかった、早速取り掛かろう」


「オラも手伝いたいんだが、他の畑に逃げ出さないように見回らないといけないんだ」


「あぁ、別に構わない。討伐したら呼びに行くよ」


「それじゃあ任せたよ!」


そう言って見回りに行った依頼人・・・


大変そうだな、生活も掛かってるだろうし。


「さて、まずは適当に見回るか。結構広そうだしな」


適当に歩いていると巣穴らしき穴がかなり作られていた。


この巣穴・・・地下で繋がってるならかなり面倒な事になりそうだな。


と思いつつ歩いていると遠くに動く物体を発見。


「秘儀っ!ズームアイッ!」


説明しよう!秘儀っ!ズームアイッ!とは主人公の強化された視力で遠くのものを見る事である!


ズーム機能?そんな物はもちろん無い!ただ注意して見る!それだけである!


「んん?あれか?ビッグラットって」


体長30cmくらいの巨大なネズミ、それが畑に生えている野菜を貪っていた。


「尻尾も含めると60cm近くあるぞ、あのネズミ・・・」


でけーなー。


と思いつつ見ていると・・・


まだかなりの距離があるのに何か気配を感じたのか、食べるのを止めて辺りをキョロキョロと見回している。


「あぁー・・・近づこうにも近づけないタイプか・・・」


遠くから投石でもして殺すか。


逃げ回るのを追いかけるのは面倒だし。


問題は・・・


「当てられるかどうかだな」


ちょっと距離が心配なんだよな。


それに当てたとしても死ななかった場合は巣穴に逃げるだろうから一撃で絶命させなければならない。


一応、腹案があるにはあるが実験的な意味合いが強いんだよなぁ・・・


成功するかどうかもわからないから超不安。


まぁ投石が成功すれば何の問題もない・・・よな?


さてと・・・まずは投石用の石を出すか。


「<ストーンイジェクト>!」


その一言で俺がイメージした投げやすいお手ごろな石が目の前に出てきた。


もちろん数は1つだけ!俺はこの一石に全てを・・・賭ける!


「・・・ふぅ、それじゃいくか」


ビッグラットは辺りを見回した後に気のせいだと思ったようで、また野菜を貪っている。


「最後の晩餐だ!味わって食えよネズミ野郎!」


そう言いつつ俺は狙いを定めて石を投げた。


ヒュンッ!


投げた石はビッグラットの頭に向かって真っ直ぐ飛んでいく。




「やったか!?」




発言してから俺は重大なミスに気づいた。


この発言は生存フラグを立てるものだっっ!


「や、やばいっ!今の発言無しっ!取り消しっ!」


しかし、一度言った発言は取り消すことは出来ない。


石がビッグラットに当たるその瞬間。


「クチュン!」


野菜の葉っぱがビッグラットの鼻をくすぐってくしゃみを出させた。


そのせいで俺が投げた石はビッグラットの頭上を通りすぎて近くの地面へ命中、衝撃で石は木っ端微塵になった。若干クレーターも出来ているのはご愛嬌だ。


くしゃみ避けとかぁあああああああ!!ちくしょぉおおおおおおおおお!


「ヂュ!?」


ビッグラットに石は見えなかったようだが通りすぎた時の風圧は感じたらしくビッグラットは近くの巣穴へと駆け込んでいった。


「避けたにしても石が通りすぎる時の風圧に巻き込まれて死んでおけよぉおおおお!」


はぁ・・・これで実験的な意味合いも強い、腹案を採用する事になってしまった。


「まぁ、いいか。過ぎた事をいくら気にしても仕方ない」


よし!やるか!




さて、まずはイメージ・・・


「さっきのいけ好かないネズミの姿を頭に思い描く・・・イメージが大事だ・・・」


くしゃみで避けた姿とか慌てて逃げ出した姿を思い出しイラッとした!


「・・・落ち着くんだ!俺!」


今は依頼を遂行する事が大事だ。


よし!イメージは出来た!後は・・・


詠唱の呪文を弄って・・・<ストーンイジェクト>ならぬ・・・<ビッグラットイジェクト>を唱えれば!


単純な改変だが地中にある石を取り出せるなら地中にいる生物も多分いけるはずっ!


そう、これが腹案の作戦。


作戦名:出てこないなら取り出してしまえば良いじゃない!!


魔法の詠唱改変はこれが初。しかもぶっつけ本番。何このスリル・・・ヒャッハァアアア!


やばい変なテンションになってきた。


「いくぜぇっ!<ビッグラットイジェクト>ォォォオオッ!」


変なテンションのまま唱えた俺の詠唱とともに地面が淡く光りだす・・・


淡い光が消えた後にそこに現れたのは!






バラバラになったビッグラットのグロ死体でした。





・・・これは成功と言っていいのか判断に困るな。


おかしいなぁ。何処で間違えたんだろう。


本来の予定では生きたまま何が起こったのかわからずポカーンとしているビッグラットを捕まえてネチネチ虐める予定だったのだが・・・


どうしてこうなった?


と、そこで俺の脳にある閃きが!


「あぁ!そうか!虐めた後の事も考えてたからだ!きっとそうに違いない!」


頭の中でビッグラットのイメージを思い浮かべた時にちょっとイラッとしちゃったから捕まえて虐めた後にバラバラにしてやろうとか考えてたんだった。


そのバラバラ状態のイメージで詠唱しちゃったからいけなかったんだな。


あと変なテンションだったのも影響してそうだ。


なぁんだ。そうだったのか!HAHAHA!やっちまったZE!


「さて、依頼人に討伐した事を報告しに行くか」


どんな状態だろうが依頼を遂行した事に変わりはないので依頼人の所へ行っちゃうよ!




――――――――――――――――





「あんた・・・一体何やったんだ?」



依頼人に討伐の証拠であるバラバラ死体を見せたらこんな反応をされました。


まぁそうなるよね!仕方ないよね!


「すまないな、どうやら魔法の威力が強すぎたみたいだ」


と言って誤魔化しておこう。


「あんた魔導師さんだったのか!?杖も持ってないし、足の防具の感じからてっきり格闘家さんかと思ったよ!」


あぁー・・・確かに俺は杖も持ってないし足の防具だけ見れば格闘家っぽいかもしれない。


「まぁ、討伐してくれた事に変わりは無いわな!ほら依頼達成書だ!」


「確かに受け取った。また何かあったら冒険者ギルドに依頼をしてくれ」


俺が受けるかどうかは知らないがな!


「あぁ!そうさせてもらうよ!いやぁ、にしてもこんなに早く解決してくれるとは思わなかったよ!」


あれ?これってそんなに時間がかかる依頼なの?


「そうか?普通だと思うが」


「いやいや、普通はこんなに早く終わらない!ビッグラットは弱いけど素早いから依頼を受けてやって来た冒険者は苦労するんだ」


あぁー・・・確かにそう言われてみればそうかもしれない。


「それに俺達が出せる報酬も少ないからFランク以外の冒険者は見向きもしてくれないからな!」


そこは大声で言うセリフじゃないと思う。


「おぉ!そうだ!早く依頼を達成してくれたお礼にうちで取れた野菜をやろう!」


マジで!


「いいのか?」


「あぁ!あんたにはスマンが報酬の増額は出来ないからな・・・せめてものお礼だ」


「ありがとう」


「お礼を言うのはこっちだよっ!あんたが来なかったら繁殖期に入って取り返しがつかなくなるところだった!」


そう言う依頼主から依頼達成書と野菜各種を貰い農耕地区を後にする。


いやぁー最初はどうなるかと思ったが終わってみれば良い依頼だったな。


予想外の強敵も出てこなかったし。


ちなみに報酬で貰った野菜は前の世界の野菜に似ている物もあったのだが味が違うと困るので、

依頼主にどういう食べ方がお勧めか聞いておいた。


作ってる人がお勧めする食べ方なら美味いはずだっ!




・・・でも流石に食材用の袋が満杯になるまで野菜をくれるとは思わなかった。腐る前に食いきれるかどうか、それが問題だ。




――――――――――――――――




街に帰る途中で昼間に残しておいた串焼きを食べる。


うむ、冷えてても美味い。残ってた二本とも食べちゃったZE!


そしてギルドに到着し、報告をして報酬を貰う。


特に何事もなく終了。ギルドカードの依頼達成数が3/3になった。


そう!俺がっ!ミスターパーフェクトだ!


なんて変な事を考えながら俺はある目的の場所へと向かう。


ふっふっふ、その目的とは・・・貰った野菜をおいしく調理するための調味料を買うのだ!


その為に街中の市場へとやってきた訳だが・・・


「・・・誰もいない」


普段賑わっている市場には店もなく、歩いている人すらいなくなっていた。


「うーむ、謎だ」


何でだろうと立ち止まって考え込んでいると・・・


「そこの君ぃ!何でここにいるんだい!?」


いきなり見知らぬおっさんが声をかけてきた。


「何でって、ここは市場だろ?」


もしかして場所を間違えたとか?そんな馬鹿な。


「おいおい!知らないのかい!?」


「ん?何かあるのか?」


「今からここを領主様の息子が通るんだよ!」


「通ると何か不味いのか?」


「君はこの街に来てまだ日が浅いな!?」


「あぁ、昨日来たばかりだが」


「くっ!そうか・・・急いでここを離れるんだ!領主様の息子は・・・」


「へいへいへーい!そこの者ぉ!」


「ま、まずい!もうここまで・・・!」


また変なのが来たぞ、一体何なんだよこの街は・・・


現れたのはTHE・貴族と言ってもいい格好をした金髪ボブカット豚野郎とモノクルをかけたオールバックヒゲ執事の二人組。


豚貴族の方はどうでもいいが、後に控えている執事がすっげー強そうに見えるのは気のせいだと思いたい。


「余の道を遮るとは良い度胸だなぁっ!」


「す、すみません!すぐに消えますので!」


「ノンノンノォン!もう手遅れだぁっ!判決を言い渡すぅっ!鞭打ちの刑を執行だぁっ!」


お前は裁判官じゃねぇだろ豚野郎って言ったらやっぱり怒られるのかな?


「ひっ!どうかご勘弁をっ!」


見知らぬおっさん・・・土下座までする必要はないと思うが・・・


「ほらほらほらぁ!そこのお前もひざまづくんだよぉ!」


「断るっ!!」


俺が何でひざまづかないといけないんだ。お前が俺にひざまづけ。


「おいおいおぉい!断っていいのかぁい?余は領主の息子なんだよぉ?」


・・・予想はしてたが、やっぱりこの馬鹿が領主の息子なのか。


ヌンドックを逃がしておいて良かったなぁ・・・としみじみ思った。


こんな奴に飼われるくらいなら死んだ方がマシだろ。


「残念ながら俺は街の住人じゃなく冒険者なんでな・・・関係ないと思うんだが?」


「あまいあまいあまぁああああい!余が毎日食べてるスイーツよりあまぁあああい!余が一言ギルドに言えば冒険者の資格を停止させる事もできるんだよぉ?」


何このうっざい言い方。ってか何で領主の息子にそんな権限があるんだよ。


「ふむ・・・やれるものならやればいい」


ここは挑発しかないだろう!


「おうおうおぉう!言ったなぁ?よしぃっ!セバスちゃぁあん!こいつの冒険者資格を停止するんだぁ!」


「坊ちゃま、名前がわからなければ無理でございます」


セバスちゃん冷静だな。


「それもそうかぁ!お前の名前は何ていうのだぁ!?」


これは・・・イタズラの予感!




「俺の名は・・・フリーザ様だ!」




決まった!完璧に決まった!


「ハッハッハァ!素直に教えるとは馬鹿な奴めぇ!セバスちゃぁあん!フリーザの冒険者資格を停止するんだぁ!」


「畏まりました」


・・・こうもあっさり成功すると何かこう達成感がないよね?


まぁ偽名だってすぐバレると思うんだけどさ。


「では、俺は帰らせてもらう」


そう言って俺は見知らぬおっさんを置き去りにして足早に立ち去った。


後には見知らぬおっさんの悲鳴が街中に響いたとか響かなかったとか・・・



主人公の所持金 8万120ギル→8万1620ギル




――――――――――――――――




ふぅ、結局・・・調味料は買えなかったよ。


何か疲れたから宿に帰ろう。


まだ夕暮れ時だが仕方ないよね。


にしても今日も色々な事があったな・・・毎日イベント多すぎ。


これはもう完全にハプニング体質だろ。


そんな事を考えつつ[満腹のお宿]に入る。


「あら!お帰り!今日は早かったね!」


中に入るとおばちゃんが迎えてくれた。


「色々あってね」


「命があるならそれでいいさ!食事はもうできてるけど、どうするんだい?」


「先にシャワーを浴びさせてもらうよ。あと裏にある井戸の水って飲めるのか?」


「うちで使ってる水は全部あの井戸から汲んでるから味と質は保証するよ!」


「なら安心だな。シャワーは今使っても大丈夫か?」


「あぁ、無料の方ならいつでも好きに使ってくれて結構だよ!」


「わかった、ありがとう」


そう言って裏庭へ向かう。


「まずは冷水筒に水を入れるか、買ったのはいいけど水を入れるの忘れてたもんな」


と井戸に来たのだが・・・


「やっぱりというか何というか・・・蛇口ついてるのな・・・」


シャワーがあったり水洗トイレがあったりで不思議じゃないが・・・


「まぁ、細かい事は気にするなって事だな」


水筒の蓋を開けて蛇口全開で水を注ぐ。


凄い勢いで冷水筒が膨らんでいく。


あっ、ちなみに忘れてるかもしれないけど冷水筒は水筒ってついてるけど実際は何かの皮で出来た袋状の物だからね。


だから水が入ると膨らんでいくよ。


「んー・・・これだけの勢いがあればすぐに満杯になりそうだ。」



「おや、あなたは・・・」



と冷水筒が満杯になったところで声をかけられた。


蛇口を閉じ、今度は何のイベントだよ、と思って振り返ると・・・


「ん?あぁ、誰かと思えばヌビット好きの騎士か」


「確かに私はヌビットが好きだが・・・騎士ではないぞ」


「違うのか?そんな格好してるから、てっきり騎士だと思っていたのだが」


「確かにこの装備品は騎士が身に着けるものだが、これは親から譲り受けた物でな。ほら、きちんと紋章部分は削ってあるだろう」


確かに良く見てみると鎧の一部分が削り取られている。


なるほど、普通の騎士は鎧に紋章がついてるのか。


覚えておけば何かの役に立つかもしれない。


・・・が、すぐに忘れそうな気もしている。


「ふむ、何故ここにいるんだ?」


「何故って、宿泊してるからに決まっておろう」


「宿泊って[満腹のお宿]にか?」


「他にどの宿があるって言うんだ」


「そうか。変な偶然もあるものだな・・・で、ヌビットには会えたのか?」


「・・・残念ながら会えなかったよ」


「そうか、残念だったな」


簡単に会えると思ったんだがな。


「あぁ・・・まぁ、そんな簡単に会えるとは思っていないさ。幸いにも住んでいる痕跡を見つけられたからな。気長に探すさ」


「住んでいる痕跡?」


そんなのあるの?


「あぁ、ヌビットが住んでいる場所では生物が少なくなるんだ」


えっ?何それ?初耳なんですけど。


「理由を聞いてもいいか?」


「あなたもヌビットに手を出したらどうなるかは知っているだろう?」


「悲惨な最後を迎えるって奴か?」


「そうだ、それは何も人間だけが対象な訳じゃなく生存する全ての生物が対象なんだ」


・・・何それ超怖い。


だからあの森で生物にあまり遭遇しなかったのか。


「怖いな」


「ふふっ、害を加えようとしなければ大丈夫さ」


そうだけどさぁ!森を歩いててつまずいて転んだ先にヌビットがいたらどうなるのさ!


うっかり当たって怪我でもさせたら・・・怖すぎだろ。


「あぁ、あと・・・あなたが言ってた髭とバンダナの二人組だが・・・」


「会ったのか?」


「・・・まぁ、うむ」


歯切れが悪いな。どうしたと言うんだ。


「襲われたのか?」


「いや、それがな。私が見た時には既に死体だったんだ」


・・・マジで?


「おい、それは・・・」


「あぁ、ヌビットに害を加えてしまったんだろうな」


「・・・興味本位で聞くがどんな死体だったんだ?」


怖いけど興味あるよね!悲惨な最期ってさ!


「それが・・・残っていたのは首から上だけだったんだ」


怖っ!ヌビット怖っ!


「表情も酷く歪んでいてな・・・髭とバンダナと言うわかりやすい特徴がなかったら判別は出来なかっただろうな。

それにしても・・・一体何を見たのやら」


「そういうのを見てもヌビットを探すのを諦めないのか?」


「あぁ!私の夢だからな!」


すげーなー。俺にはそんな度胸はないぞ。


「まぁ、頑張ってくれ。俺はシャワーを浴びに行くから」


「ありがとう、必ず見つけてみせる!」


そう言って別れた後、シャワールームへ突撃。


ちなみに男女別になっているので諸君が期待しているようなイベントはない!・・・と思う。


そしてシャワーを浴びている途中である事に気づく・・・


「・・・タオルと石鹸買うの忘れてたぁあああああああ!!」


絶望した!俺のうっかりぶりに絶望した!


まぁ、いいか・・・また明日買いに行こう。そもそもこの世界に石鹸があるのかどうかすら知らないけどね。


シャワーを浴び終わった後に有料のタオルを借りた。


タオルのお値段は50ギル。後で部屋に食事を持って来た時に払えばいいみたい。


そして身体を拭き終わって着替えた後、おばちゃんに食事と洗浄水を頼み部屋へと戻る。


んー・・・そろそろ着替えも買っとくか。


同じものを何日も着続けるのはつらいんですぅ!


でもこの街で売ってた服はゴワゴワするんですぅ!


身体を拭くタオルは結構感触が良かったに服だけ何で駄目なんだよおぉおおお!



・・・よし!決めたぞっ!明日この街を出よう!


とりあえず魔法学園がある街・・・サイクォッツ?に行って見よう。


他の『地』属性魔法も気になるしなー。


サイクォッツ行きの依頼とかあればいいんだがなぁ・・・


と考えていたら


ドンドンドンッ!


「食事だよ!」


おばちゃんが食事を持ってきてくれた。


「ちゃんと大盛りにしておいたからね!」


よっしゃあ!


「ありがとう」


「礼なんていいよ!それより残したら許さないからね!」


「それは大丈夫だ」


「それじゃタオルと洗浄水、合わせて100ギルだよ!」


おばちゃんに100ギルを渡した。


「100ギル、確かに受け取ったよ!」


そう言っておばちゃんは去っていった。


「さて、それじゃあお楽しみの食事にしますかぁ!」


ふむふむ、今日の食事は平麺に肉や野菜がぶち込まれていて白いソースが絡めてある。


見た目だけならカルボナーラっぽいけど・・・味はどうかね。


とりあえず食べてみるか・・・


「もぐもぐ・・・からっ!からいよっ!でもうまひぃい!」


クリーム系の味かと思いきや予想外の辛さでびっくりしちゃったぜ。


元の世界のアラビアータみたいな感じだな。


「ふむ、麺類も明日調達するかな。乾麺があるなら旅の途中でもお手軽に調理できそうだし」


ふぅ・・・にしてもからいな。


食事についていた、ちょっと赤みがかった飲料を飲んでみる。


「うはっ、これはちょっと甘めの果実水だな。おーいすぃいー!」


からぃーうまひぃーあまひぃーおーいすぃーを繰り返して食事終了。


やっぱこの宿の食事美味いわ。明日の朝飯で最後か・・・それだけがちょっと残念だな!


さて食事も取って洗浄水でお口の中もトゥルトゥルになったことだし・・・今日はもう寝るかぁ!





ステータス


名前:ロック


冒険者ランク:F


依頼成功率:3/3


所持金:8万1520ギル 金貨7枚と大銀貨10枚と銀貨14枚と銅貨12枚


装備品:白のTシャツ、黒のジャージズボン、ブーツサンダル、黒のフード付マント、ナマクラナイフ


持ち物:女パンツ2枚、ギルドカード、サンダルスリッパ、着火石、結界針、冷水筒、毛布、包帯、

    ポーション×5、解毒ポーション×5、縄、片手鍋、道具袋、財布用道具袋、食材用道具袋、

    野菜各種


使える魔法:<アースカルティベイト>、<アースライズ>、<ストーンイジェクト>





日間ランキング2位になったと思ったら1位になっていた。

何を言っているかわからな・・・以下略。


それはともかくありがとうございます。

単純にうれしいです。怖さも感じていますが・・・


さて、今回で二日目が終わりました。

次の更新はちょっと間が開くと思いますので気長に待っていてもらえたらなと・・・

あとこの作品を読む時に細かいことを気にしていてはいけません。

雰囲気とノリで読んでください。


これからもよろしくお願いします。

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