第07話:中級ダンジョンコラボ配信
《配信を開始しました》
◼️タイトル:【コラボ】スターダスト×ソラチャンネル! 新旧メンバーで攻略!「黄昏の廃坑」・第1層
開始1分。
《来場者数が10,000人を突破しました》
《ランキング入り:『ダンジョン攻略』カテゴリで5位にランクインしました》
カイト:
はーい!
みんな見てるー?
スターダスト〔Sランク》のリーダー、
カイトでーす!
ルナ:
サブリーダーのルナでぇ〜す!
今日はなんと!
私たちの元メンバー、
ソラ先輩とのコラボだよ!
カメラに向かってキラキラ笑顔。
完璧なアイドルムーブ。
――カメラが、私に向く。
ソラ:
あ、えっと、ソラです……
よろしくお願いします……
引きつった笑顔。
声が震える。
【コメント欄】
: ソラちゃん緊張してるw
: そりゃSランクと並べばな
: ルナちゃん今日も可愛い!
: カイト様ー!
: 装備の格差えぐい
: 後ろのゴスロリ誰?
: ティア様だ! ティア様を映せ!
(視聴者数:12,011 ↗↗)
カイト:
おっと、
コメントでも気になってるみたいだね。
そっちの黒いのは?
ティアグラ:
……ティアグラだ。
腕組み。
不機嫌MAX。
カメラを一瞥もしない。
完全に「ガン飛ばし」ている。
【コメント欄】
: ヒエッ
: 目つき怖
: でも美人
: これが噂の魔神ロールか
: 態度デカくて草
(視聴者数:14,301 ↗↗)
カイト:
ははっ、
キャラ入ってるねぇ!
じゃ、
サクッと攻略行きますか!
ソラ、お前『タンク(壁役)』な。
先頭頼むわ。
ソラ:
え……?
でも私、短剣だし、耐久力なんて……
カイトが私の肩を抱く。
マイクに入らない声量で、耳元に囁く。
カイト:
あ? 文句あんの?
お前が体張って、俺らが魔法で助ける。
(そういう「絵」が欲しいんだよ。
わかれよ無能)
ソラ:
……っ
肩に食い込む指。
痛い。
逆らえない。
ソラ:
……わ、わかりました。
◇
【第3層・坑道エリア】
――カツン
――カツン
先頭を歩く私。
背後から、カイトたちの話し声。
ルナ:
きゃー、、、
暗いー!
怖ぁい!
大丈夫だルナ、俺がついてる。
イチャイチャしながら歩く二人。
殿を、ティアグラとフェンが歩く。
と、その時――
ルナ:
あっ、ごめーん!
――ドガッ
背中に衝撃。
ルナが「躓いたフリ」をして、
杖で私を突き飛ばした。
ソラ:
うわっ!?
たたらを踏む。
目の前には――
深い竪穴
落ちる!
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――そう思った瞬間。
_ガシッ_
――首根っこを掴まれた。
宙吊りになる私 (≧□≦)
ティアグラ:
……足元がお留守だぞ、ソラ
ソラ:
テ、ティアグラさん……!
片手で軽々と私を引き上げる。
その紅い瞳が、ルナを睨みつけた。
ティアグラ:
おい。今の、ワザとだな?
ルナ:
え〜? 違いますよぉ!
足が滑っちゃってぇ。
ソラ先輩がトロいから……
あ、ごめんなさい(笑)
ヘラヘラと笑う。
反省の色ゼロ。
むしろ、カメラに
「ドジっ子」
アピールをしている。
《来場者数が15,000人を突破しました》
《ランキング入り:『ダンジョン攻略』カテゴリで4位にランクインしました》
《注目の番組としてトップページに掲載されました》
【コメント欄】
: ルナちゃん大丈夫?
: 危なかったな
: ソラしっかりしろよ
: 今のわざとじゃね?
: え、突き飛ばしてなかった?
: 角度的に見えん
(視聴者数:16,342 ↗↗)
ティアグラ:
……ふん
ティアグラが指を鳴らす。
――パチン
――バチッ
ルナの足元で、小さな静電気が弾けた。
ルナ:
きゃっ!?
痛っ!
なに!?
ティアグラ:
おっと、すまん。
『演出』の設定をミスった。
真顔で嘘をつく魔王様。
ルナが涙目で睨んでくるが、
ティアグラは鼻で笑って無視した。
◇
【休憩中】
カメラが
「風景撮影モード」
になっている隙に。
カイトがティアグラに近づく。
カイト:
なあ、ティアグラちゃんさぁ、
ティアグラ:
……気安く呼ぶな。
カイト:
いいじゃん、単刀直入に言うわ。
お前、俺のパーティ来ない?
ソラみたいなゴミといても、
時間の無駄だろ?
カイトが、ティアグラの肩に手を伸ばす。
契約の勧誘。
Sランクの地位と金を見せびらかして。
ソラ:
(やめて……!)
私が止めに入ろうとした、その時。
フェン:
グルルルルゥ……!!
足元の白い
毛玉が、牙を剥いた。
小型犬サイズなのに、
その咆哮は地響きのように重い。
カイト:
うおっ!? なんだこの犬!
ティアグラ:
フェンが言っているぞ。
『腐った肉の匂いがするから近寄るな』
とな。
カイト:
あぁ!? テメェ……!
ティアグラ:
勧誘なら他をあたれ。
私はソラの『所有物』だ。
……それとも、力ずくで奪ってみるか?
ティアグラが一歩踏み出す。
――ゾクリ
坑道の気温が、一気に下がる。
――殺気
いや、捕食者の気配。
カイト:
――ッ
カイトが後ずさる。
顔色が青い。
本能が警鐘を鳴らしているのだ。
カイト:
――チッ。
後悔すんなよ。
行くぞ、ルナ。
カイトたちが逃げるように先へ進む。
私はへなへなと座り込んだ。
ソラ:
ありがとうございます……
ティアグラ:
礼には及ばん。
不快な虫を払っただけだ。
ティアグラは
私の頭をポンと撫でた。( ´・_・)ノ
ティアグラ:
《念話》
(だが、ソラ。気をつけろ。
あの男……何か仕掛けてくるぞ)
私はコクりと頷く。( .ˬ.)”
◇
【第5層・広間】
行き止まりの広場。
妙に静かだ。
カイト:
よーし、
ここらで派手な魔法見せちゃうか!
ソラ、お前その中央に立ってて。
ソラ:
え? ここでですか?
カイト:
いいから立てよ。
『囮』役、頼むわ。
カイトがニヤリと笑った。
その手には、紫色の煙を上げる瓶。
――『魔物誘引香』
投げる。
――パリンッ⚡️
私の足元で瓶が割れ、
甘ったるい匂いが充満する。
――zズズズズズズズズ……ッ
《クエスト更新:緊急任務》
[難易度:A (推奨Lv.60〜)]
ソラ:
あ……っ!?
《⚠ WARNING : MASS OUTBREAK》
[BOSS] オークジェネラル ... 1
[MOB] オーク ........... 33
[MOB] ゴブリン ......... 33
[MOB] スケルトン ....... 33
[ Total Threat: A (Fatal) ]
《来場者数が16,000人を突破しました》
《ランキング入り:『ダンジョン攻略』カテゴリで3位にランクインしました》
【コメント欄】
: え、数多くね?
: 計100!?
: これ演出?
: 湧きすぎだろ
: 事故?
: カイトさん魔法はよ
(視聴者数:16,342 ↗ ↗ ↗)
地面が震える。
壁の穴から、天井の隙間から。
無数の影が溢れ出してくる。
オーク。
ゴブリン。
スケルトン。
その数、100。
カイト:
ははっ!
やべー、手元狂ったわ!
ソラ、頑張って耐えろよ?
俺らが詠唱終わるまでな!
嘘だ。
助ける気なんてない。
カメラには
「必死に詠唱するフリ」
をして、
私たちが
なぶり殺しにされるのを
撮る気だ。
ルナ:
きゃー先輩がんばってぇ!
あ、
カメラのアングル
こっちのがいいかなぁ?
絶望。
四方八方、モンスターの壁。
――終わった
そう思った
でも。
私の隣で、
黒いドレスの少女が
優雅にあくびをした。
ティアグラ:
……なんだ。
たかが『100匹』か?
その紅い瞳が、楽しげに歪む。
ティアグラ:
ソラ。
――許可をくれ。
――少し、掃除してもいいか?
(第7話 完)




