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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
サンリカ国 ウスリー・コモウェルの街
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49 .誰よりも愛している

蝋燭作りを終えた後は、ジュースを飲みながら帰った。


ある程度見て回れたし、ずっと人混みの中を歩き続けるのは大人でも疲れる。まだ子供の3人の疲労は半端ないだろう。テンション高いから平気そうに見えるだけで、実際は疲労困憊だと思う。


家に戻ると、みんなでソファに座り、足を投げ出して休憩した。誰も祭りの感想を口にしない。ただただボーッとしている。


分かる。帰宅した瞬間って、なぜかトイレに行きたくなるし、疲れがドッと押し寄せてくるんだよね。あれ、人体の不思議だよ。


ロントさん達を夕食に誘ったが、引っ越し準備を進めたいとのことで、3人は帰って行った。家を綺麗にしておくために、断捨離をしている最中なんだそうだ。


こんな疲れている日にまでして、早く引っ越したいだなんて……


ハゲちゃびん、とことん嫌われたんだな。自業自得だ。疑ってたとしても、何もしていない子供を追い詰めようとした罪を悔め。バーカ。


そして、夜も深くなった頃、私はダイニングの机の上でレンジャーの皆さんと輪になっていた。ルカくんとフェレルさんは、ぐっすり眠っている。


『モモン・ガー、ホワイト。よろしくお願いします』


ふわっと現れたホワイトさんは、私を見て悲しそうに目を伏せた。


『妾の能力を疑われたなんて……』


『すすすみません! 二度と! もう二度と心配しません! 本当にすみませんでした!』


私の必死のぱっちの謝罪に、ホワイトさんは儚げに微笑み、許してくれた。聖女は今日も麗しい。


『ピンクさん、ホワイトさんの案内をお願いします。そして、もしおっちゃん達が寝静まっていたら、家事を完璧に終わらせてきてください。イエローさんも同行して、朝食を作っておいてあげてください』


『リリ、それは怪しまれない?』


『グリーンさんの仰ることは尤もですが、母ちゃんの病気だけが突然治るのも十分怪しいと思うんです。レッドさんに薬師さんを捕まえてもらいますから、余計に意味不明なはずです。ですので、目には見えない何者かが助けてくれたと分かりやすいように、敢えて「家は隅々まで綺麗」「美味しい朝食まで用意されている」という動かぬ証拠まで置いておくんです。聖獣、精霊、妖精、何と思われるか分かりませんが、日頃の優しい行いがおっちゃん一家を救ったんだってなりますよ。たぶん』


『面白いから、もっと自信持っていいあるよ』


『ふふふ。じゃあ、おっちゃん家族だけじゃなくて、他にもいい匂いがするご家庭にお邪魔しようかしら』


『いいですね。そうしましょう。って、優しい人達も匂いで分かるんですね。皆さん、マジで凄すぎますね』


照れてハニかむ6匹が可愛すぎて、私も自然と笑みが溢れる。


『では、皆さん。よろしくお願いします。私はここでお待ちしておりますね』


7匹で輪になり、右手を差し出して、同時に勢いよく上げる。


そのうち掛け声を決めたいなと思っているけど、私の語彙力では「エイエイオー」「ファイ・オー」しか出てこない。よくない。もっとカッコいいレンジャーっぽい掛け声にしたい。


グリーンさんとブルーさんも一緒に世直しに行かれたので、私は運動不足を解消すべく、皆さんが帰ってくるまで走ったり飛んだりしていることにした。


この時間の運動は楽しい。お昼起きていられているけど、やっぱり体の軽さは違う。


まぁ、だとしても、ルカくんと過ごせるお昼に起きていない選択肢はない。


「リリかい?」


スタッと止まり、階段途中から目を凝らしているっぽいフェレルさんを見上げる。


どうやら起こしてしまったようだ。申し訳ない。


「はい、五月蝿かったですね。すみません」


「いや、いいよ。ねずみでも出たのかと思って、確認しに来ただけだから」


部屋に戻るのかと思ったら、フェレルさんは欠伸をしながら下りてきた。目が暗闇に慣れたようで、どこにもぶつからずソファに腰掛けている。


「寝ないんですか?」


「はしゃいでいるリリを見ておきたいと思ってね」


そうですか。


って、いくら私が真っ白でも、この暗さだと、さすがに動いていたら見えないと思うんだけどな。変なの。


もう少し運動してから休憩しようと思い、部屋の中を駆け回り、高い場所から滑空もする。


「楽しいかい?」


「はい。ちょっと運動不足だったみたいです」


「そうか。森に戻りたいとかないかい?」


「ないですよ。どうしてそう思ったんですか?」


私はフェレルさんの前の机に降り立ち、柔らかく微笑んでいるフェレルさんを見つめた。


「森の方が自由だからね。人間のいざこざもないだろ」


「その代わり森は縄張り争いがありますから。どっちもどっちですよ」


瞳をパチクリさせたフェレルさんは、お腹を抱えて笑い出した。


何、大声出してんだ。声を落とせ。ルカくんが眠っているんだぞ。起こしたら承知しないからな。


「リリが森を恋しく思っていなくてよかったよ。安心したよ」


「私はルカくんの側にいますよ」


「ルカラウカが羨ましいね」


コテンと首を傾げると、フェレルさんも同じ方向に首を曲げてきた。


「フェレルさんがルカくんの側にいる限り、フェレルさんも一緒じゃないですか。というか、まだ私が居ればみたいな考えをしているんでしたら、爪で引っ掻きますよ。ルカくんにはフェレルさんも必要ですからね。フェレルさんが『ただいま』を言う時のルカくんの嬉しそうな顔、見ていないなんて言わせませんよ」


鼻から短く息を吐き出しながら、フェレルさんは目元を緩めた。その表情に、言われなくてもルカくんの笑顔を思い出しているんだと分かった。


彼も、なんだかんだルカくんを大切にしている。じゃないと、ルカくんはあんなに懐いていないだろう。初めて会った時、必死でルカくんを守ろうとしていたしね。


仕方がない。フェレルさんを、ルカくんを幸せにする同志と認めてあげなくもない。


「みんな、ずっと一緒だってことだね」


「まぁ、そうなりますね」


「では、リリ。もう少し仲良くならないかい?」


「十分だと思いますけど。でも、そうですねぇ、私、精神年齢は大人ですので、悩みがあったら打ち明けてくれてもいいですよ。答えられるかどうかは分かりませんが、理解はできますので」


おい、爆笑してんな。そういうとこだぞ。今より仲良くなりたいと思うなら、そういうとこ直さないと無理だからな。


「ははは。怒っている姿も可愛いよ」


「ええ、私がどんな姿でも可愛いことは、誰よりも私が知っています。愛していますから」


くっ! また大笑いしやがって! 言葉合っているし、自意識過剰とかでもないんだよ。私が誰よりもチャメルを愛しているからな。


これは私がどの世界に行っても、どんな姿になろうとも変わらない事実なんだよ。私の愛を笑うでない。






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