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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
サンリカ国 ウスリー・コモウェルの街
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46.花祭り

やってきました。花祭りの日。今日もルカくんに起こしてもらって、朝から元気に活動中だよ。


ええ、嘘です。起きて1時間は瞼と戦っていました。


ロントさん・ビアナちゃん・パニカくんと合流し、コモウェルの街に向かってレッツゴー。


今日の私は消えていないため、はっきりとした姿でルカくんの肩に乗っているよ。理由は屋台のご飯を食べてみたいから。ルカくんにカケラをもらう予定である。


お祭りに向かう人が多いようで、渡し船は乗る人達で長蛇の列ができていた。この前乗っていてよかったと心底思ったよね。橋もそこそこ人が多くて、お祭りの人気の高さに期待値が上昇していく。


反対側に到着すると、逸れたら子供の目線から保護者を探すことが難しいくらいお祭りは混んでいた。


パニカくんはロントさんとビアナちゃんと手を繋ぎ、ルカくんはフェレルさんの服の裾を持っている。フェレルさん曰く、何かあった時に両手が空いている方がいいんだそうだ。


言わんとすることは分かるが、絶対手の方がルカくんは嬉しいはずだ。だから、私がルカくんにピタッとくっ付いていよう。温もり大切。


「蝋燭は午後からだからね。何から見て回ろうか」


『ビアナちゃんが気になっているみたいなので、花冠か花飾りを見に行きませんか?』


分かんないよねぇ。フェレルさんの笑顔を深めさせてごめんねぇ。ルカくんも必死に考えてくれてありがとうね。


人が多いからこそ、誰も私達なんかを気にしていないだろうと、私は歩いている女の人の頭を指した。


何を伝えたいのか分かってくれたようで、フェレルさんがゆるく首を縦に振っている。


「ルカラウカとリリには、どんな花が似合うかな」


『私は要りませんよ。花が大きすぎます』


伝わらないはずなのに、フェレルさんは可笑しそうに笑いながら頭を撫でてきた。


あれだな、フェレルさんは、とにかく触りたがりの人なんだな。動物はいいと思うけど、人間相手だと気を付けなよ。変態さんにはなるなよ。


花祭りと言うだけあって、お花を売っているお店は多い。人が少ないお店を選び、身に着ける花飾りを購入する。


子供達だけではなく、大人の2人も気分が上がっているのか、買って頭に着けていた。もちろん私も、かすみ草みたいな小さな花を店主さんがくれたので、耳に引っ掛けている。


店主さんが気前よくくれていなかったら、断固として断っていたと思う。さすがお祭り。特別価格に目が飛び出そうになる。


屋台は、お花をモチーフとした雑貨や食べ物がたくさん売られていて、見ているだけでも楽しい。少し並んだけど、お花の形をしたベビーカステラみたいなものが美味しかった。


面白かったのが、バラを投げて花瓶に挿せたら点数が加算され、景品をゲットできるというもの。花瓶の口の大きさや、投げる位置から花瓶までの距離によって点数が異なる。


パニカくんは1本も挿すことはできず、ビアナちゃんは2本挿せて飴玉っぽいものをもらい、ルカくんは3本という快挙を成し得て、ビアナちゃんと同じ景品枠だった。


ルカくんの口の中でコロンと音がしたので、絶対に飴だと思う。でも、呼び名が分からないのでお口チャック。不用意に『ククク(飴ですね)』と鳴いてはいけない。


さて、ここでどっちが勝つかの勝負を始めたのはフェレルさんとロントさん。お昼ご飯代を賭けるそうだ。


投げる順番もジャンケンで決め、勝ったロントさんが先攻を選んだ。プレッシャーは少ない方がいいらしい。


「兄ちゃん、頑張れ!」


「ロントさん、頑張って!」


「兄さんにも頑張ってほしいけど、フェレルさんも応援したい。どうしよう」


ビアナちゃん、そんなに真剣に悩まなくても、両方応援していいんだよ。観戦組はどっちが勝つかで賭けていないし、家でリバーシやコネクトフォーやっている時と同じ感覚でいいんだよ。


ロントさんは小さな点数を重ねる作戦に出たようで、1本1本確実に入れやすい花瓶を選んでいる。そして10本見事に命中させ、点数は50点を叩き出した。


入れやすいって言っても、難易度は真ん中辺りの花瓶だったと思う。1つ10点まである花瓶の中で、5点の花瓶だったからね。


ロントさんはガッツポーズをし、パニカくんとルカくんとハイタッチをしていた。ビアナちゃんはフェレルさんを応援すると決めたようで、ロントさんそっちのけで「頑張ってください」と声をかけていた。


景品は花の形をした石鹸で、ロントさんはパニカくんに選ばせていた。石鹸だったから本当はビアナちゃんに選ばせようとしていたけど、フェレルさんの応援に夢中だったから声をかけづらかったっぽい。


苦笑いしていた気持ち、私分かるよ。後で撫でさせてあげるね。モモンガで癒されておくれ。


フェレルさんの番になり、フェレルさんは手に持った薔薇を観察してからひょいと投げた。


いや、もうね、見ていた人全員、目を皿にしたよね。


だって、1本目で10点の花瓶に挿したんだよ。そして、2本目と3本目も投げ方を変えて命中させていた。半分本気で「あいつ、チート持ちかもしれん」って考えたよね。


「店主殿。100点を狙うには、10本全てを10点の花瓶に挿さないといけないですよね。しかし、3つ共1本が限界のように見えるのですが、抜いてもらってというのは可能なのですか?」


店主が目を点にしたまま、無言で首をゆるゆると横に振った。


まぁ、そうだろうよ。お祭りの屋台ゲームってのは、最高点数や1等が出ないようになってるんだよ。だから、100点出るようになっている訳ないんだよ。店主さんも、そりゃ自分の頬っぺた抓るよね。


偏見って言われようが、私はこの意見を曲げないぞ。


お祭りの屋台はな、姑息なんだよ! 紐を引っ張るやつの先には残念賞しか繋がってないんだよっ!


とまぁ、私が苦い思い出を振り返っているうちに、フェレルさんの挑戦は終わっていて、10点に3本・9点に2本・8点に3本・7点に2本という化け物級の技を披露して、合計86点を獲得していた。


本人は全部10点の花瓶に挿したかったようで、この点数でも肩をすくめていた。


純粋に喜んでいたら、モモンガの好感度も上がったものを……それ嫌味っぽいから、やめた方がいいぞ。嫌われるぞ。


そして、80点の景品に案内されかけた時、周りからブーイングが起こり、結果フェレルさんは100点の景品の、お祭り期間中だけ使える商品券3,000マルーをゲットした。


私達的にはラッキーなんだが、屋台のおっちゃんは辛かっただろう。でも、フェレルさんが簡単に挿していたから、「自分もやってやる」と思った挑戦者が並びはじめたので御の字じゃないかな。ウハウハになっておくれ。


「フェレルさん、すごいですね。俺、足下にも及びませんでしたよ」


「ロントくんは十分すごいよ。私は植物学者だからね。薔薇の曲がり具合や、どこに重心があるのかを調べてから投げていたんだよ。ロントくんもそれが分かれば、きっと同じ結果だったよ」


「こいつ、何言ってんだ?」と思ったのは私だけではなく、きっとロントさんもだろう。「そうなんですね。勉強になります」って返すまでに、一瞬間があったからね。


やっぱり彼には、私を撫でられるという栄誉を与えてあげよう。ロントさんは今日から心の友だ。


まぁ、フェレルさんはちょっと性格が歪んでいるだけで悪人ではないので、商品券3,000マルーを昼食代の足しにしてあげていた。ロントさんは遠慮していたけど、「使わないと勿体ないからね」と半ば強引に押し付けていた。


そういう所は素直にカッコいいと思うよ。仕方がないから、頭を撫でるのだけは、今後も許してあげるとしよう。


決してフェレルさんの撫で方が気持ちいいからじゃないからね。そこ間違えたらダメだよ。






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