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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
サンリカ国 ウスリー・コモウェルの街
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45.天気の法則

コモウェルの街散策をしていて、お昼寝をしていなかった私は、またお昼過ぎまで眠ってしまっていた。


本当にレンジャー達を呼び出せるレンジャー魔法を使えてよかったと思う。じゃないと、ルカくんに寂しい思いをさせてしまっていたからね。


この日もフェレルさんが居たので、街歩きがてらウスリーの公園に出かけた。


観賞用の大きな噴水があったコモウェルと違い、ウスリーの公園には1時間に1回地面から水が噴き出すという仕掛けがあり、知らなかったルカくんはフェレルさんに言われるがまま立って、びしょ濡れになっていた。


ええ、肩に乗っていた私もびしょ濡れですよ。消えている私のことは、すぐにブルーさんが乾かしてくれたので、体調不良にならなくて済んだけどね。


あいつ、いつか仕返ししてやる。


摩訶不思議な現象になっちゃうからルカくんを乾かしてあげることはできなかったけど、楽しそうに大きな声で笑っていたし、すぐに家に帰ったので風邪を引くこともなかった。




フェレルさんが朝から仕事に出かけたらしい日。起きると、タイミングよくビアナちゃんとパニカくんが遊びに来た。


3人が遊んでいる姿を眺めながら朝食を食べ、私は私で運動をした。最近ルカくんの肩に乗っての移動ばかりだったので、体を動かした方がいいと思ったからだ。滑空もしとかないと、いつか飛べる距離を見誤ってしまいそうで怖い。


昼食はビアナちゃん達が今日もお弁当を持ってきていたので、私達もお弁当形式にしてお庭で食べた。


食後に、ルカくんとパニカくんがお昼寝に入り、私はビアナちゃんとお話をしている。


「リリ、いつも寝てるんだよね。ごめんね」


「いえいえ、気にされなくて大丈夫ですよ。どうされました?」


私が眠っていない理由は、ビアナちゃんに「話したいの」と言われたからだ。


イエローさんが用意してくれたホットミルクをフーフーしながら、ビアナちゃんの言葉を待つ。


「兄さんと話したの。リリとフェレルさんにきちんと話し合いをするように言われたって聞いて、2人にお礼を言いたいって思ってたのよ」


ロントさん、すぐに話し合いをしたんだね。偉いよ。齟齬がないように、気持ちは擦り合わせておいた方がいいからね。


「ありがとう。きちんと話せてよかった」


「いえいえ、それこそ気にされなくていいですよ。私も、たぶんフェレルさんも勧めただけで、決断をしたのはロントさんですから。勇気を出して話し合いをされたのは皆さんですしね。お疲れ様でした。お話しできてよかったですね」


「うん、兄さんの気持ちも分かってよかったし、私がどう思っているのかも伝えられてスッキリした。パニカはよく分からないって顔してたけどね」


「パニカくんも参加されたんですか?」


「そうなの。兄さんが、家族全員でどうしたいかを話し合おうって言い出したからね」


そかそか。引っ越していいかって確認は取らなきゃだもんね。そこだけでよかったんじゃないのとも思うけど、家族で話すことの大切さを伝えたかったのかもな。


「引っ越しされるかは決まったんですか?」


「決まったよ。引っ越すことにしたから、兄さんは今いつもよりも忙しそう」


「ビアナちゃんもパニカくんも勇敢ですね。すごいです」


「兄さんに色々確認されたけど、私はあの家に思い出はあるけど、この街にってあんまりないんだよね。ほとんど家に居たから。パニカもそうだと思う」


あっぶな。私、今さらっと「お友達と離れても」とか言いそうだった。住んでいる家にしか思い出がないなんて、遊ぶような友達はいないってことじゃん。


それもそっか。パニカくんのお世話で、ビアナちゃんは学校に通っていないんだった。知り合う機会もなければ、パニカくんを放って遊びに行くこともできなかったよね。


ロントさんも苦労人だけど、この子もマジで苦労人。友達が全てじゃないけど、絶対に遊びたかったはずだよね。お姉さん、泣きそうだよ。


「住んでいる家は残すって言ってくれたから、それならいいかって思ったの」


「また戻って来られるという意味ですか?」


「旅行とかでね。あの家は、お父さんとお母さんの物がまだたくさん残っているから。捨てたりしたくないんだ」


うんうん。もう心の中は、涙で洪水が起きてるよ。真っ直ぐなええ子やなぁ。


「将来については、これから考えることになったんですか?」


困ったように笑うビアナちゃんが不思議で、コテンと首を傾げる。


「一応ね。兄さんが家族でできる商売を探そうって燃えているけど、商売って無理だと思うんだよね。兄さんも私も何からすればいいか分からないし、教えてくれる知り合いもいないんだもん。だから保留。とりあえず、先に学校に通うの」


ニッと歯を見せて笑うビアナちゃんが眩しい。彼女の未来が多幸であってほしいと思う。


「学校、いいと思います。何かになりたいと思った時に、勉強が必要な職業かもしれませんから。深く知りたいと思ったことを極めてもいいんですしね」


「そうだよね。もっとたくさんのことを知ってから決める」


応援するよ。頑張れ。ビアナちゃんがなりたいモノを決めた時に、その道が無事に開かれることを願っているよ。


この後は、ルカくん達を起こすまでコモウェルの街で楽しかったことのお喋りをし、「早くお祭り行きたいね」と言い合った。そして夕方まで庭で遊び、疲れた様子で迎えに来たロントさんと一緒に2人は帰っていった。


ロントさんと一緒に帰ってきたフェレルさんも疲労困憊しているように見えたので、きっと何かあったのだろう。


というか、2人揃って気力を失っているのなら、十中八九、原因はハゲだと思う。だから、何も気づかないフリをして、私はルカくんとリバーシをして遊んだ。




この世界に来て初めての雨だった。起きて雨の音が聞こえた時は、なんだか懐かしく感じて、少しの間窓の外を眺めていた。


天気について何も考えたことなかったけど、降らないわけないよね。川が干上がったら飢饉になっちゃうもんね。雨、本当に大切。


雨だからフェレルさんも家に居て、みんなでグレーさんお手製のトランプをした。私が持つ時だけ私サイズになるという意味不明トランプだ。もちろん絵柄はモモンガ。可愛い。




今日も雨。いいと思う。ずっと天気が良すぎたんだもん。外で遊べないからルカくんは退屈かもしれないけどね。ブルーさんが創り出した氷の蝶々を追いかけて運動しておくれ。


体力消費の時間が終わってから、昨日に引き続きトランプをしたのだが、ずーっと私が負けている。


本当にどうしてこんなに弱いんでしょうか? 何かのデバフかかっていませんか? 5回に1回でいいので、勝てさせてください。


じゃないと、ルカくんが思春期に入ったら「リリは弱いから面白くない」って言われそうで怖いです。モモンガ離れされたら泣いちゃう。




思春期のルカくんを想像して、涙を飲みながら眠った翌日。今日もまた雨。3日連続雨。台風でも来ているんでしょうか?


心配になり、雨の日はお休みっぽいフェレルさんに尋ねてみた。


「おや、気付いてなかったのかい? 雨が降った場合、必ず3日続くんだよ。晴天や曇りが続く日は決まっていないんだけれどね。だから雨が3日、晴天が1日、そしてまた雨が3日っていう日もあるよ」と説明してもらった。


「今回、天気がいい日が長かったですよね? それでも3日で絶対に上がるんですか?」


「ん? 私達はこの国に向かっている途中でも、雨に遭ったよ」


それもそうか。地域によって天候が違うのは当たり前だよね。どうやら私は、上手い具合に晴れている場所を移動していたようだ。晴れモモンガとは、私のことらしい。


「台風とか来ても3日なんですか?」


「ハリケーンのことかい? あれは30分程で消えてしまうよ。リリは遭遇したことないのかい?」


「はい、ありがたいことに雨も初めてです」


「それはテケに愛されているんだね。素敵だね」


「テケ?」


「空からいつも光を届けてくれている惑星のことだよ」


あれ、テケって言うの!? メモっとかなきゃ。


というか、惑星とかも大丈夫なのね。天文学にも明るいのかも。グレーさんに望遠鏡作ってもらって、ルカくんと星空観察しても問題なさそうだな。


新しい情報をゲットできた雨の日は、グレーさんに望遠鏡を作ってもらって終わった。




フェレルさんに習った通り、翌日雨が上がった。なんとも不思議な天気だが、お洗濯や掃除、お買い物の指標としては、主婦達に大助かりなのかも。


フェレルさんはお仕事に行き、ビアナちゃんとパニカくんが遊びに来た。今日は庭の土がぬかるんでいるので、家の中でお絵かき大会だ。絵しりとりなんかもしてみた。


パニカくんの絵の解読は少し難しく、ルカくんは特徴を捉えているけどって感じだった。その中で、ビアナちゃんが上手すぎてビックリした。なんでもパニカくんのために、よく描いているそうだ。姉の鏡だよ、本当に。


ん? モモンガが絵を描けるのかって?


参加するのは、もちろんレンジャーの皆さんだよ。私は食べ物と、グレーさんが作ってくれたナイフとフォークとスプーン、トランプしか持てないからね。まぁ、レンジャーのみんなも魔法で描いているんだけどね。


すごいよねぇ。私も色んな魔法使ってみたいな。






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