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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
サンリカ国 ウスリー・コモウェルの街
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40.恋愛や結婚事情を教えて

「恋愛の話になったので、私が教えてほしかったことを聞きたいのですが、先にいいですか?」


2人に頷いてもらえたので、イエローさんがこそっと用意してくれた水を飲んでから話し出す。


「人間の恋愛や結婚についてなんですが、年齢制限ってあるんですか?」


「ん? それは、私を熱烈な瞳で見ていたビアナちゃんのことが関係しているのかい?」


「はい、そうです。私的には子供に手を出す大人は敵なんですが、もしかしたら当たり前なのかなとも思いまして」


「なるほどね」


納得したように緩く頷いてくれたフェレルさんは、お酒を一口飲んでから微笑んだ。


「まずは一般的な話をしようか。どの国でも、結婚ができるようになるのは成人をしてからだよ。だから18歳からだね。それまではどんなに愛し合っていても、婚姻はできない決まりだね」


「一般的じゃない話だと、どうなるんですか?」


「教会にお金を積むんだよ。そうすると、何歳だろうと結婚ができる。貴族ではチラホラあるって耳にしたことがあるくらいだから、実際は多いのかもね。結婚はね、教会にあるダリスとローズ像と手を繋いでお祈りをすれば成立するんだよ。だから、教会さえ了承すれば結婚できてしまうんだ」


「それだけですか? 書類での手続きとかはないんですか?」


「ないよ。成立すれば左胸、心臓の上だね。そこに相手の名前が浮き出るからね。書類より、目で見て分かる印なんだよね」


ん? フェレルさんは左胸に2人の名前が浮き出ているってこと? 一生に一度の約束だからってことなら素敵……素敵かな? 重すぎて結婚したくないってならない?


「離婚すると、どうなるんですか?」


「胸から名前は消えるよ。結婚の時は、新郎はダリス像と、新婦はローズ像と手を繋ぐんだ。離婚の時は逆だね。夫がローズ像・妻がダリス像とになるんだよ」


「へー、不思議な像ですね」


「教会は古代の遺物とか言っているけれどね。どの教会にもあるんだから、絶対に遺物ではないだろうね。私は、司祭が像にかける聖水に秘密が隠されているんじゃないかと思っているんだけれど、手に入らないからね。調べられないんだよ」


それを調べたいと思うあたり、フェレルさんは本当に学者なんだなと思う。今はまだ学者姿を見てないから、冒険者にしか思えないんだよね。


「俺、まだ見たことないんですけど、その水はそんなに怪しいんですか? 教会が聖水を使う機会多いですよね?」


「え? 結婚式以外でも使うんですか?」


「教会では、聖水を使って治療ができるんです。金額が高くて俺は頼んだこと無いですけど、動かなくなった腕や足も治るって言われていて、貴族は病気になった際、教会を頼ることが多いんだそうです」


「ロントくんの説明であっているよ。だからこそ、万能な聖水に謎があると考えてしまうんだよね。キラキラと光っているしね」


病気や怪我を治す水って聞くと、私としてはポーションを疑ってしまうんだけどな。でも、ポーションを像にかけたら相手の名前を書いたり消したりできるって謎すぎるから、絶対に違うと思う。


それに、私の知識って半分くらい役に立ってないからね。この世界特有の何かなんだろうな。


「治癒魔法とかは無いんですか?」


「私はホワイトさんしか知らないね」


「俺もですね。擦り傷なのに治してもらって、本当にありがとうございました」


「いえいえ、もう十分お礼を聞きましたから」


ん? いつ治したのかって?


そりゃ、あーた、お子様ランチを食べた後、お風呂に入る前ですよ。ピンクさんに言われてね。ホワイトさんを呼んで治してもらったんです。


「治癒魔法が無いってことは、お医者様とお薬ってことなんですね」


「お医者様? 薬師のことかな?」


おおっと。診る人と薬を調合する人が一緒なんだね。ちょっと危ない会話しちゃったよ。


「そうです。薬師です。誰かがお医者様って言っていたような気がしたんですけど、別の職業の方かもしれませんね」


「聞いたことはないけれど……あるのかもね。師匠なら知っているかもだね」


いえ、無いと思います。もっと気を付けて発言しますので、絶対に師匠さんには尋ねないようにお願いします。話題変えよ。


「薬師さんのことは、またの機会に教えてください。話を恋愛に戻しますね。年齢差はどこまでがっていうのはあるんですか?」


「難しい話だね。10歳前後までの人達は多いけれど、中には親子ほど歳が離れている人達もいるからね」


「俺もギルドでたくさんの人達を見てきましたけど、そんな感じです。俺の両親は5歳差だったと思います」


ロントさんが、フェレルさんの言葉に頷きながら答えてくれた。


ということは、好きになったら結構何でもありなのかもしれない。前世でも年の差婚はあったからね。本人達が幸せならそれでいいとは思っているけど、やっぱり1点許せないことはある。


「それは、未成年でもですか?」


ここだけはね、大人が手を出しちゃいけない範囲なんですよ。絶対にね。


「私はダメだと思うよ。子供は守るべき対象であって、性対象ではない」


私は『よく断言した』としっかり肯首したが、ロントさんは分かりやすく安堵の息を吐き出した。フェレルさんは苦笑いをしている。


「すみません! フェレルさんがというより、ビアナはそこら辺の子に比べると可愛いですので、魔が指す大人がいるかもって不安が大きいんです」


ほほう。ロントさん、「うちの子はね」合戦をしたいんだね。仕方ないなぁ、相手をしてあげようじゃないか。


ルカくん(うちの子)はねぇ、出会った時から可愛くてねぇ、言動全てがヨダレが出そうなくらいキュートでプリティで、優しくて、愛らしくて、ルカくんの笑った顔で視力回復しそうなくらいなんだよね。いや、回復してるね。うん、してる。ただね、寂しいってことを口にしてくれないから、ちょっと心配なんだよね。言っちゃいけないと思っているのか、心に秘めちゃっててね。大人である私がきちんとルカくんを愛そうって決めてるの。だってさー、可愛すぎるんだもん。もうほんと——


『(気持ちは分かるけど、長いわよ)』


ハッ! グリーンさん、止めてくださってありがとうございます。どうもルカくんのことになると歯止めが効かないんです。


ルカくんが愛くるしいせいだわ。ルカくんったら、罪な天使なんだから。


「大丈夫だよ。きちんと話すと、ビアナちゃんに慕われるのは純粋に嬉しいよ。『ありがとう』とは思っている。でも、それだけだよ。それにビアナちゃんは憧れが強いだけじゃないかな。恋とは違う気がするよ」


私もそう思っているけど、その区別って難しくない? 憧れの先輩から話しかけられたら嬉しいし、ひょんなことで付き合うこともあるからさ。


え? 実体験かって?


ふふ。


そんな思い出あるわけねぇ! いつもキューピッドだったわ! 結婚式で何度スピーチしたことか!


まぁ、私自身、恋愛したいって思うこともあったけど、1人で動ける環境がストレスフリーすぎて、楽しいことも多いしで、熱量がそっちに向かなかったんだよねぇ。矢印の向く方向が違うと、数ヶ月限定の仲がいい飲み友達にしかなれない。恋愛には発展しないんだよ。


それにさ、可愛い子供は割と好きだけど、自分の子供が欲しいとはならなかったし、私にはチャメルがいたしね。幸せだったんだよ。


「フェレルさんの気持ちは分かりました。ビアナちゃんに関しては、彼女本人が恋がどういうものかを知っていくと思いますので、私は見守ってあげたいと思っています。質問の答えももらえましたし、もう大丈夫です。ありがとうございました」


さっきロントさんは「魔が刺す大人」って表現をしたからね。フェレルさんも「私はダメだと思う」だったしね。例に漏れず、キチィ奴が存在するってことだよね。今回の誘拐もさ、そういう奴らに高く売れるとかだったかもしれないな。


ってかさ、もし何かしらの魔の手がルカくんに伸びたら、私、この世界滅ぼせる自信あるわ。


モモンガは魔王に転職したくありませんので……


悪人達よ、ルカくんに絶対に手ぇ出すなよ。フラグじゃないからな。絶対に止めろよ。






夜の雑談は、来週ロントさんの悩みを聞いて終わる予定です。


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