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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
サンリカ国 ウスリー・コモウェルの街
49/64

28.見つかった

『リリ、見つけたぞ』


窓際から渋い鳴き声が聞こえて顔を向けると、銃を肩にかけているゴールドさんが居た。


『さすがです! ありがとうございます!』


『6つ目で見つかった。気になる所は後2個あるが、どうする?』


『他の子供が捕まっていたら可哀想なので、そこも潰してしまってください』


『承った。赤毛の子供2人は、ブルーとグリーンがここに連れてくる』


『分かりました。教えてくださり、ありがとうございます』


『では、残り2個を潰してくる』


シュンと居なくなったゴールドさんは、たぶんまた空から指示を出してくれるんだろう。


というか、空からどうやって指示を出しているんだろ? もしかしなくてもレンジャーの皆さんは、どれだけ離れていても会話できるのでは?


「リリ! 今の何て話してたんですか!?」


ロントさん、落ち着いて。朗報だから。


「無事にビアナちゃんとパニカくんの2人を見つけたそうです。ブルーさんとグリーンさんが、ここまで連れてきてくださるそうです。よかったですね」


「はい……はい……」


泣くのは姿を見てからにしな。って、もう遅いけどね。安心したよね。


ルカくんたら、洗面所からタオル持ってくるなんて、本当に優しい子だよ。


ルカくんは、タオルをロントさんに渡し、自席に戻ろうとして窓の外を見て首を傾げている。


「ねぇ、リリ。黒い煙が何個も昇ってるよ。レンジャーのみんながしたのかな?」


なぬ? そうとしか思えないけど、どうして煙なんて目立つことを!?


「ひゃ! びっくりした!」


ブルーさん! いきなり目の前に現れられたら驚きますって! 腰抜けるかと思った。


『連れてきたぞ。ルカに門を開けてもらうのじゃ』


『ブルーさん、お疲れ様でした。ありがとうございます』


満足そうに頷くブルーさんにペコリと頭を下げてから、ルカくんを見上げた。ブルーさんに気付いて、覗き込むように見られていたからね。


「ルカくん、グリーンさんとビアナちゃんとパニカくんが門の前にいるそ……ロントさん!?」


はやっ! もう3人分の泣き声が聞こえてくる。大きな声で泣けるってことは、酷い怪我や憔悴しきってないってことかな。


「ルカくん、私達も行きましょう。中で休んでもらいましょうね」


「うん!」


あれ? そういえば、今更だけどレンジャーの皆さんは、門の認証なくても自由に出入りできるんだな。不思議。抜け道でもあるのかな?


門の所で泣いているロントさんの肩をルカくんが優しく触れて、3人を家の中に誘導した。キッチンがある部屋の椅子ではなく、もう1つの部屋にあるソファに座ってもらった。


両側から抱きついてくるビアナちゃんとパニカくんを、ロントさんも強く抱きしめている姿に、笑みが溢れてくる。


私は、ルカくんに小声で「ダイニングで待っていましょう」と伝え、ルカくんの肩に乗ったまま移動した。


「リリ、ブルーさんとグリーンさんが5匹ずつ帰ってきているよ」


「終わったんですね。お礼を伝えましょう」


私はルカくんの肩から10匹の前に降りて、ペコリと頭を下げる。


こんなに早く解決できたのは、全てレンジャーの皆さんのおかげだ。感謝をきちんと伝えなければ。


『皆さん、本当にありがとうございました。皆さんのおかげで悪い奴らは痛い目をみて、ビアナちゃんとパニカくんを無事に救出できました。さすが私が大好きなヒーローです』


胸を張りながらも照れている様子が可愛い10匹は、『プクプク(いつでも守る)』と同時に鳴いて、笑顔で消えていった。そして、ゴールドさん、ブルーさん、グリーンさんの3匹が、窓から戻ってきた。


『皆さん、お疲れ様です。本当にありがとうございました。先程、10匹の方々には伝えましたが、こんなに早く解決できたのは、全てレンジャーの皆様のおかげです。さすが私が大好きなヒーローです。カッコよすぎます』


『俺は仕事をしただけだ。じゃあな』


照れながらも、最後に頑張ってキリっと顔をしようとしたゴールドさんが可愛すぎる。ギャップ萌え。好き。


ルカくんの平和な日々のために残ってくれるブルーさんとグリーンさんも、テレテレと恥ずかしそうだったが、私の視線を感じてグリーンさんが咳払いをした。いつもの凛とした面持ちも愛らしい。


『リリ。とりあえず、ゴールドが見つけてくれた怪しい場所は潰してきたわ』


『はい、本当にありがとうございます。それで、全部誘拐犯のアジトだったんですか?』


『5つはそうね。残り3つは詐欺集団と窃盗集団だったわ』


『そうですか。悪い奴らが多い街ですね』


『本当にな。我らが動いてなければ、子供達が危なかった』


『そんなに誘拐されていたんですか!?』


『どの拠点も1人から3人じゃな。明日の冒険者達が帰ってくるタイミングで、この街から逃げる手筈だったみたいじゃ』


『あぶなっ! 間に合ってよかったです!』


『本当よね。気絶をさせたし、煙を上げて目立つようにしたから、すぐに警ら隊が捕まえてくれると思うわ』


『子供達も眠らせておるから、恐怖で泣き続けることもあるまいよ』


だから、わざと煙を上げたのか。


まぁ、そうだよね。グリーンさん達が浮かせて連れていく訳にはいかないからね。それに、子供達の家を探してっていうのは難しいし、そのまま放っておくことはできないもんね。


きっと被害届が出ているだろうから、警ら隊に保護されたらすぐに帰られるだろう。今日は、どの家でもパーティーだな。


そうと決まればと、レッドさん・ピンクさん・イエローさんを呼び戻すと、丸まって泣いているレッドさん・呆れたように首を振っているピンクさん・元気いっぱいのイエローさんが姿を見せてくれた。


レ、レ、レッドさん……ずっと泣いていたんですか? 大丈夫ですか? 目が腫れちゃいますよ。


優しいルカくんが心配気な表情でレッドさんを撫でると、レッドさんはガバッと顔を上げた後、『プッシュー(ルカー)』とルカくんの胸にしがみついて泣きはじめた。


うん、放置しておこう。ルカくんの温もりに、そのうち立ち直るでしょう。


『イエローさん、無事に解決しましたので、ロントさん達に美味しいスイーツと飲み物をお願いします』


『任せろある!』


『ピンクさん、ロントさん達には今日泊まってもらおうと思いますので、お部屋の用意をお願いしてもいいですか? 誘拐犯が捕まったとはいえ、1日くらいは私達と居た方が心が安らぐと思いますので』


『もちろんよ。3人1部屋で用意するわね』


「ルカくん、相談があるのですが」


ペットの私が勝手に決めて、飼い主であるルカくんの許可を取らないなんて言語道断なので、もちろんルカくんにお伺いを立てる。ルカくんの最終決定は、絶対である。


笑顔で了承をしてもらえたので、イエローさんとピンクさんと頷き合った。






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