表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
サンリカ国 ウスリー・コモウェルの街
47/64

26.怖いレンジャーは誰?

「まずは自己紹介をしますね。私はモモンガのリリです。そして、大好きな人間のルカラウカくん。私の大切な仲間の、右からイエローさん・ブルーさん・レッドさん・グリーンさん・ピンクさんです」


「は、はぁ、俺はロントです」


「色々疑問はあると思いますが、今は時間との勝負かもしれませんので、私達に関しての質疑応答は省きますね。それで、ロントさんの妹さんと弟さんですが、いつからいらっしゃらないのですか?」


やっと思考が戻ってきただろうロントさんが、ガバッと体を近付けてきた。


「ビアナとパニカ! 見付けてくれるんですよね!?」


「も、もちろんです。レンジャーの皆さんはヒーローですから、必ず子供を助けてくださいます」


ロントさんが勢いよくレンジャーを見ると、5匹は「見参」のポーズを取っていた。ルカくんも初めて見たようで、「わー、カッコいい」と拍手をしている。


「ですので、妹さんと弟さんの情報が欲しいんです」


怖いくらい真剣な顔になったロントさんは、姿勢を正して真っ直ぐに見つめてきた。


「分かりました。2人は朝は家にいました。俺はお昼ご飯を家で取れる時は、様子見を兼ねて家に帰るんです。それで、今日も帰ったんですが、家には2人の姿がなくて。でも、俺の分のご飯の用意はしてあったんです。だから、おかしいなと思って。2人には外は危険だから、家の前以外では遊ばないように言い聞かせていて。弟はまだ5歳なんですけど、妹は12歳だから弟の面倒を見てくれていて、勝手にどこかに行くような子達では……」


ふむふむ。ロントさんのご飯だけきちんと用意されていたってことは、妹さんと弟さんは自ら出かけたってことか。もし家の中で連れ去られたとかなら、自分達のご飯の用意もあったか、ロントさんのご飯もなかっただろうからね。


「どうして、ここにいるかもって思われたんですか?」


「俺が悪いんです。昨日あまりにイライラして、ギルマスの愚痴を溢してしまって……それで、2人は1人で留守番をしている子供に興味を持ってしまって……一緒に遊べたらいいのにって……」


そうか、そうか。これ、もう完全にあのハゲが悪いわ。


色々合わさってだけど、私はあいつが生理的に無理だから、そういうことにしておこう。私がモモンガ研修生のせいじゃない。決してない。でも、胸が痛い。


「ここに来られる道の途中で、怪しく思う場所は無かったんですよね?」


「たぶん……必死に走っていたので、はっきりとは……途中でスクモートで向かえばって思ったくらいで」


ロントさんの悲痛な声に、視線を落としてしまいそうになる。


でも、私まで落ち込んだら、本当に見つからないんじゃって空気になっちゃうからね。私は「大丈夫」って意味を込めて、笑顔を見せるよ。


「分かりました。手掛かりは無いということで、ここはもうこの街の悪い人をしらみ潰しに当たりたいと思います」


普通に迷子かもしれないけど、もしも誘拐だった場合を考えて、先に潰してしまえばいいんだよ。事故とかは怖いけど、そっちの方が子供達の安全を守れるような気がするからね。


「え? どうやってですか?」


「もちろんレンジャーの皆さんの力を借りてです」


うんうん、ロントさん。私が胸を自信満々に叩いても笑わないね。それだけで合格だよ。お腹を抱えて笑ったフェレルさんより、仲良くなれる見込みあるよ。


でも、今は親交を深めるより先に、ビアナちゃんとパニカくんを見つけ出さないといけないからね。申し訳ないけど放置して、私はレンジャーの皆さんと簡単な作戦会議をさせてもらうよ。


『唐突ですが、何色の方を何匹お呼びすればよろしいでしょうか?』


そう、私はレンジャーの皆さんを13匹まで呼ぶことができる。色が被っても問題ない。13匹全員呼んでみせようじゃないか。


『そうねぇ。私とレッドは消えるから、追加でブルーとグリーンを5匹ずつでいいんじゃないかしら?』


『いやだ! ブルーばっかりズルい!』


レッドさんが寝転んで、手足をバタバタさせちゃったよ。やだよねぇ。レッドさん、悪党倒したいんだもんねぇ。


『レッド!!!』


ピピピピンクさん? どどどうしたんでしょう? いつものほわわんとしたピンクさんは、どこへ消えたのでしょうか? 怖くて体が固まってしまったんですが……


あ、私だけじゃない。レンジャーのみんな固まっている。


『あなたは、どうしてそう我が儘なの! 夜のパトロールも、3回に2回は譲ってもらっているでしょ!』


『で、でも、それはブルーとじゃんけんして……』


え? そうなの? そんな可愛い決め方してたの?


『でもじゃありません! じゃんけんも、わざとブルーが負けてくれているのよ! 分かっているでしょ!』


ブルーさん、大人だね。


『だ、だけど……』


『だけどもありません! 今回は日中隠れて動くのだから、ブルーの魔法が有効なのよ! グリーンはもしものために必要なの! それくらい分かるでしょ! 頬を膨らませて拗ねてもダメよ!』


『いやだー』


蹲って泣いちゃった……どうしよっかなぁ。


ん? グリーンさん、横に来られるとはどうされました?


『リリ、ピンクの言うことは絶対よ。とばっちりを受けたくなかったら、ピンクの言う通りにするの』


え? もしかして、レンジャーの中で1番怖いのって……


グリーンさんと、グリーンさんの向こう側に見えているイエローさんとブルーさん、3匹にしっかりと頷かれる。


そうですか。レッドさん、ごめんなさい。お力になれないようです。


『リリの裏切り者ー』


『こら、レッド! いい加減にしなさい! 消えるわよ!』


『いやだー』


レッドさんのマントを掴んだピンクさんは、笑顔で手を振って消えた。あの笑顔が怖いと思ったのは初めてだ。


というか、消えた後って、皆さん同じ場所に居たりするんでしょうか? お説教続いてそうだな。


「リリ? レッドさんとピンクさんは、どこに行ったの?」


ハッ! 急がないといけないのに、恐怖に慄いちゃっててごめんなさい。ルカくん、声をかけてくれてありがとう。


「お二方は少し休憩されるだけです。ですが、代わりにブルーさんとグリーンさんに来てもらいますので大丈夫ですよ」


うん、ごめん。そこに居るよってなるよね。実際に見た方が早いと思うから、説明は省くね。


『リリ。悪いんだけど、イエローを帰してゴールドを呼んでくれるかしら』


『かまいませんけど、何が悪いんですか?』


『イエローがいないと給仕できないでしょ』


『少しの間くらい大丈夫ですよ』


イエローさんは『また後である』って素直に消えた。駄々をこねるのはレッドさんだけということだ。


『モモン・ガー、ゴールド、ブルーの皆様、グリーンの皆様、お願いします!』


手を上げて気合いを入れて呼ぶと、静かに11匹のモモン・ガーが姿を見せた。ルカくんの感嘆している声と、ロントさんの引き攣った息が聞こえている。


『ゴールド、空から色が黒い所を教えてくれるかしら』


『承った』


輪になり、突き出した右手を同時に上に挙げた13匹は、彗星のように窓から飛んでいく。ロントさんが慌てて窓に駆け寄り、外を見ているが、1匹としてもう見えないだろう。






レンジャーたちは個性豊かで可愛すぎますね(〃ω〃)


リアクション・ブックマーク登録・読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ