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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
サンリカ国 ウスリー・コモウェルの街
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24.悪を見分ける方法

「ふぅ、緊張したね。リリ。僕、頑張ったよ」


「ルカくん、めちゃくちゃ頑張ってました。カッコよかったですよ」


「へへ、嬉しい」


あー、可愛い。ハニカミ笑顔が涙出そうなほど可愛い。


「今日はブランコからしようかな。リリはどうする?」


「昨日みたいに飛ばされるとビックリするので、今日は上から見ていますね」


「ふふ、昨日は本当にビックリしたよね。リリが飛ばされると思わなかったもん」


「はい、吹っ飛んでしまいました」


思い出し笑いをし合い、私はブランコがぶら下がっている棒に登り、ルカくんを見下ろす形で立った。


ルカくんは、高く漕いだ時に受ける風が好きなんだそうだ。だからブランコは、ジャングルジムと滑り台を押し退けて、お気に入り第1位である。


昨日も高く漕いでいて、肩に居た私は、後ろからの風に負けて、前に飛ばされちゃったんだよね。


でも、そこはモモンガ。慌てながらも飛膜を広げ、ジャングルジムに着地しましたとさ。


めっちゃ冷や汗かいたけどね。心臓バックバクのドッキドキだったけどね。ルカくんが「リリ、すごいね!」って喜んでくれたから、いい思い出なんだよ。


あれ? 何を話して……あ、ああ、冒険者ギルドの3人の話だった。


結論から言うと、あの3人は誘拐犯ではなかった。モモン・ガーの皆さんの冷ややかな視線から察してはいたけどね。ググ先生お墨付きで犯人じゃない。


だから、本当にただただ鬱陶しい連中なだけということだ。


もちろん私は犯人を調べたよ。【誘拐犯 犯人】ってね。


ググ先生の回答は、【検索条件を追加してください】だった。


この恐怖分かる?


検索条件を追加しないと絞れないほど、誘拐犯がいるってことだよ。


いやーーーー! なにそれ! そんなに誘拐犯いるとか、この世界どうなってんの? そんな日常的に誘拐起こるとかヤバすぎる!


スヤスヤ眠るルカくんの横で、数分アワアワして、その場でぐるぐる回っちゃったよ。ジッとしてられなかったの。


ルカくんが唸った声で、冷静さを取り戻したんだ。子供の眠りを妨げてはいけない。翌日も元気に遊ぶために、起こしたらダメだ。


それで、【誘拐犯 犯人 ウスリー】にしてみた。それでも【検索条件を追加してください】になって、目を落としそうなほど見開いてしまった。


恐怖で固まっちゃったよね。もう信じらんない。この街ヤバすぎる。


あのハゲ達は私なんかに興味を持ってないで、街を巡回して犯人探せ……って、それは警ら隊の仕事になるのかな? でもさ、そこは協力して捕まえたらいいんじゃないの?


そもそも、そんなに誘拐犯がいるってことが分かんないよね。大きな組織だったりするのかな?


ん? 待って……捕まえた奴ら、全員殺されたんだよね? もしかしなくてもなの? ちょっと聞きに行ってみよう。


静かにベッドから抜け出し、1階で元気に飛び回っているレッドさんに声をかける。


今日の世直しくじは1件で、レッドさんではなくブルーさんとピンクさんがお出かけ中だ。1件だから、すぐに帰ってくるだろう。


『すみません、レッドさん。おうかがいしたいことがありまして』


『なんだ?』


レッドさんはふわっと階段の手摺りに降り立ち、階段にいる私を見るために覗き込んできた。


『悪人を捕まえてくださって、ありがとうございます』


『好きでやってる。リリが礼を言うことじゃない』


『それで、今まで捕まえた人達は、誘拐犯なんですか?』


『知らない』


『え? えっと、じゃあ、どういう基準で捕まえているんですか?』


『色と匂いだ』


全く分かんない。どういうこと?


詳しく聞こうとしたら、会話が聞こえていたのか、颯爽と飛んできたグリーンさんが、1段上の階段に降り立った。


『リリは見えないのね』


『何をですか?』


『私達レンジャーは、生き物の周りに色が見えるのよ。その色で善か悪かを判断しているの』


マジですか!? めちゃんこ凄いじゃないですか!? 私もその目が欲しかった!


『後は匂いもだ。悪いことしている奴らは臭い』


そうなの!? なんか体から滲み出てんのかなぁ? 悪いことする度に、悪臭が塊に蓄積していくの。こわっ。


『では、その2個を目安に捕まえているんですね』


『悪い奴ほど、ドス黒い色をしているし、匂いも強烈だからな』


なるほど。犯行の現場を押さえなくても悪人が分かるから、確実に捕まえられるのね。


レンジャー、半端ない! すごい! 尊敬しちゃう!


レッドさんとグリーンさんがニッコリ顔で飛び去っていったので、私もルカくんのベッドに戻ることにした。


レッドさん達と話したおかげで気分が軽くなり、ルカくんを守るためにもっと調べてみるかってなって、【誘拐犯 黒幕 ボス】と入力した。


こういうのって、大元叩けばどうにかなるんじゃないのって思ってね。


ただググ先生は、私の希望をいとも容易く木っ端微塵にしたのだ。


【閲覧条件を満たしていません】


何度も目を瞬かせ、「またまたー」ってツッコんでおいた。


フィルタリング設定め! 心は大人なんだから教えてくれ!


まぁ、そんなことを言う子供がいたら、「何言っているの!」って怒られるんだけどね。


でも、私は本当に大人だからさ。いじけたくなるよね。もしかしたら、「頭脳は子供。迷探偵リリ」って言われているのかな。


ふっ、悲しくて涙が出ちゃいそう。


その後も【誘拐犯 目的】や【誘拐犯 拠点】や【誘拐犯 組織人数】等を調べたけど、ググ先生が教えてくれたものはない。【検索条件を追加してください】か【閲覧条件を満たしていません】のどちらかだった。


何回も答えが出ないと、人は怒るか諦めるかだろう。私は後者なので、無我の境地に陥り、そっとググ先生を消しました。


私にできることは無いので、今後もレンジャーの皆さんを頼り、ルカくんと楽しい日々を過ごそうと思います。


まだ眠たくはないけど、日中起きているために寝ます。おやすみなさい。


と、そんな感じで、昨日の捜査は終了したのだった。






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