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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
サンリカ国 ウスリー・コモウェルの街
30/64

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裏側からザックザック音が聞こえるから向かったら……


ピンクさん、草刈りしてるの? え? なんで? 体の大きさと似たようなサイズの鎌を使ってますけど、それどこから調達したんです? 三角巾似合ってますね。可愛いですよ。


「ピンクさーん。おはようございます」


『あら、リリさん。おはよう』


汗をかいていないだろうが、おでこの汗を拭う仕草、様になってますね。


上から見下ろしているのは失礼かと思い、ピンクさんの横に降りた。草は刈られているので、綺麗に着地できた。


「ピンクさんは洗濯をされているものだとばかり思っていましたので、びっくりしました」


『あら、洗濯もしているわよ。1回目の乾燥が、そろそろ終わる頃じゃないかしら。畳みに行かなくちゃね』


「い、いっかいめ?」


『そうなのよぉ、洗濯物の量が多くてね。3回回せば終わると思うんだけれど、どうかしらねぇ。分からないから下着から洗っているのよ』


旅をしていたからだよね? 普段から面倒臭くて貯めてたわけじゃないよね? マジでピンクさん居なかったら、どうしてたのって話だよ。


「ピンクさん、本当にありがとうございます。しかも、庭の草刈りまでしてくださって」


『あら、いいのよ。綺麗になったら、ルカちゃん遊べるでしょ。それに、私も動いている方が性に合っているのよ。ふふ』


ううっ、泣けてくる。ルカくん、私達が愛情を惜しみなく注いで、寂しくないように頑張るからね。って、私はペットという1番楽なポジだけど。


『そうだわ、リリさん』


「はい、何でしょうか?」


『昨日の夜に、みんなで話し合ったのだけれどね。リリさんは私達と話す時、人語じゃない方がいいと思うのよ』


えっと……話せれば何でもいいのでは?


『人語ばかりを使いすぎると、つい人前で話してしまうかもしれないでしょ。それに、常に私達と鳴き声で話していれば、何かあった時や毒を吐きたい時とかの会話もバレないわよ』


おお! 言われてみれば、そうですね。目から鱗です。特にフェレルさんの前で急に鳴き声でお喋りし始めたら、聞かれたくない話でもしているのかって勘繰られそうですもんね。いつも鳴き声で会話していたら、気になりませんものね。


『ふふ。ブルーとグリーンの意見なのよ。あの子たちって、周りをよく見ているのよね。凄いわ』


私、ピンクさん大好き。みんな大好きだけど、ピンクさんのこのほっこり喋り、癒されるー。


「リリー! リリー! どこー!」


ん? 飼い主が、焦りながら私を呼んでる? 何かあったのかな?


「ルカくーん! どうしましたかー!」


木にささっと登り、木から木へ素早く飛び移りながら、声が聞こえた正面の方に移動した。


「リリ! どこ? どこ?」


「ルカくん、ここですよ」


話しながらルカくん目がけて滑空し、ルカくんの太もも辺りに着地できた。スタスタスタと、肩まで一直線で登る。


「ルカくん、何かありましたか?」


「リリが窓の外に行っちゃったって……出て行っちゃったのかと思って……」


な、な、なんと。私が何も言わずにピンクさんに会いに行ってしまったばかりに、ルカくんに悲しい想いをさせてしまったのか。よろけて肩から落ちそうだったよ。


あー、もう! 私ってば何してんのよ! 癒すとか、笑顔にするとか、どの口が言ってんだって話じゃない!


そりゃ、びっくりしたよね。ペットが窓から出たなんて知ったらね。きっとレッドさん達は、言葉が通じないから、窓を指して教えてくれたんだろうしね。


あー、本当にごめん。後悔で胸が押し潰されそう。


「ルカくん、声をかけなくてごめんなさい」


「ううん。リリは一緒にいるって約束してくれたのに、僕が勝手に心配しちゃったから」


「ルカくんの心配は、私のことを好きだからこそですので、私は嬉しいですよ。今回のことは、私が悪かったんです。本当にごめんなさい」


「次からは、どっか行く時は教えてね」


「はい。きちんと声をかけますね。さっきは、ピンクさんに挨拶に行っていたんです」


「ピンクさん? お洗濯してくれてるんじゃないの?」


「お洗濯の合間に、草刈りをしてくださっているんです」


「そうなの? 僕も手伝った方がいい?」


ルカくん、本当になんて気遣いの子なの。今7歳のはずだよね? 小学1年生でお手伝いをできる子はいるとは思うけど、大体が「ウエェーイ」って昆虫や車とかに夢中な時じゃないの?


「お洗濯の時にね、腕をクロスされたの。たぶんダメってことかなって、ブルーさんと遊んでいたの」


「当たりです。腕をクロスはダメで、腕を頭の上で丸にするのはオッケーですね」


ルカくん真剣に頷いているけど、こういうジェスチャーってしないのかな?


「ピンクさんは草刈りも1匹でされたいと思いますので、私達は家の中に戻りましょうか」


1匹でされたいっていうより、ルカくんの手伝いをヨシとはしない気がするんだよね。


うーん、でも、相当楽しそうに草を刈っていたから、のんびり1匹でしたいのかもなぁ。後で聞いてみよ。違うなら私は手伝わないとね。






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