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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
ラポシューディブル大森林
22/64

22.衝撃の可愛さ

うーん……なんか揺れてる?


地面の揺れが気になって、寝ぼけまなこで顔を上げると、低木っぽい茂みの景色が流れていく。


「ほへ?」


「あ。リリ起きた?」


頭上から明るい声が聞こえ、顔の毛を整えながら見上げると、ルカくんのお顔がはっきりと見えた。


誰に尋ねても、きっとこう答えるはずだ。「お人形さんだ。マジでめちゃくちゃ可愛い」と。


衝撃の可愛さに目が覚めたよ。おかっぱなのが、たぶんお人形さん感を上げている理由なんだと思う。ライムライト色の髪に、シトラス色の瞳も最高に似合っている。


「ルカくん、おはようございます」


「おはよう」


「リリ、おはようございます」


「フェレルさんも、おはようございます」


うむ。どうやら私は、逆さにした帽子の中で眠っていたようだ。帽子の端に紐が通されていて、ルカくんが肩掛けをしてくれている。


これ、帽子に穴開けた? 開けたよね? うわー、申し訳ねぇ。


『プププ(起きたわね)』


聞き覚えのある鳴き声が耳に届き、勢いよく斜め上を見上げた。


「グリーンさん!? ずっと居てくださったんですか!? ありがとうございます!」


『気にしないで』


呆れも怒りもなく、かすかに微笑んで姿を消すだなんて……レンジャー達、どうしてみんな優しくて頼りになるの。ヒーローすぎて感激だよ。


「あ、消えちゃった。グリーンさん、ありがとうございます」


ルカくんってば、空中に向かってお礼を伝えるなんて、可愛い。最高だよ。


「リリ、起きる前に動き出してすみませんでした」


起きてからの数分があまりに尊すぎて、心が洗われていくのを感じていたら、フェレルさんに謝られてしまった。


「いえいえ。私はいつも、お昼から夕方近くまで眠っているんです。私に合わせていただくと、遅い出発になっていましたから。変に気を遣われていたら、落ち込んでいたところです」


「そう言ってくださって、ありがとうございます。今日こそは街の中にと思いまして。無理だったとしても、2時間くらい離れた所でテントを張ろうと思っています」


「あ、フェレルさん、昨日伝え忘れたんですが、私には敬語じゃなくていいですよ。私はただのモモンガですので」


「ああ、すみません。ついリリにつられてしまって。ルカラウカと同じように接するよ」


「はい、そうしてください。私は、お二人を癒すペットの立ち位置に居ようと思いますので」


前触れもなく安堵したように息を吐き出すフェレルさんが不思議で、ルカくんを見てみた。眩しい笑顔を返されて、疑問なんてどうでもよくなる。


「実は、街に入るには身分証が必要でね。ペットの有無も、そこに登録しないとダメなんだよ」


「え? 私、もしかして入られないんですか?」


「門で申請をして登録したら入られるよ。ただ、リリは普通のモモンガじゃないから、ペットとしての入国は怒るかもと心配していたんだ」


「全然大丈夫です。家族になれたみたいで、ペット大歓迎です」


「リリ、僕の家族になってくれるの?」


ん? そんなに期待を込めた瞳で見られるとは……ルカくんとフェレルさんは、たぶん親子ではないんだよね? 師匠って呼んでたしね。2人の関係性を深く考えていなかったけど、訳アリなのかな? まぁ、新参者の私が気にする必要はないか。変にツッコんだら地雷を踏むかもだしね。


「不肖の私でよければ、いくらでも家族になりますよ」


「嬉しい。ありがとう。僕はリリのお兄ちゃんだね」


いや、飼い主……ううん、お兄ちゃんでいいよ。妹をしたことがないから妹ムーブは分からないけど、どうにかそれっぽいことするように頑張るよ。


「ルカラウカ。リリと家族、お兄ちゃんになるのなら、小さなリリを私と一緒に守らないとね」


「うん、師匠。リリを守るよ」


「よろしい。では、リリが話せること、レンジャーを呼べることは秘密だよ。誰にも言ってはいけないからね」


「うん」


「もしバレたら、偉い人や怖い人にリリを取り上げられるかもしれないから、本当に気を付けるんだよ」


しっかりと首を縦に振るルカくんと一緒に、私も頷く。


昨日は子供を助けなきゃって咄嗟に魔法を使ってしまったけど、本来ならもっと注意しなくてはいけなかった。使うとしても、私の存在がバレないようにとか、冒険者4人を眠らせた時みたいに秘密裏にとか、陰で暗躍をするようにしないとね。動物や子供が襲われていたら、見過ごすことはできないからね。


「それと、リリ、人前では話さないでね。ルカラウカも、人前ではリリは話せないと理解して、返事は期待しないこと。話しかける分には問題ないから、そこまで緊張しなくていいよ」


「うん、大丈夫。リリと一緒に居るだけで楽しいから」


「私も、ルカくんと一緒で楽しいよ」


ルカくんは口元を緩ませて、嬉しそうに顎を上げた。「えへへ」と聞こえた声は弾んでいて、私まで本当に嬉しくなる。そして、きっとこの旅は、かけがえのない日々になるだろうと確信したのだった。






ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

ずっと「ありがたや、ありがたや」と思っていました。

リアクションやブックマーク登録も喜んでおります。

皆様、ありがとうございます。


これにて、第一章は完結となります。

第二章より、リリとレンジャー達の本領が発揮されます。

ルカくんの可愛さは、上限を超える予定です。


第二章は、木曜日(ごくたまに金曜日も)投稿になります。

投稿話数は未定ですので、後書きのお礼が、その日の最後の話になります。目安にしていただければと思います。

予約投稿になりますので、9時30分から10分刻みの投稿になります。


皆様、ぜひ第二章もお付き合いくださいませ。

よろしくお願いいたします。

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