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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
ラポシューディブル大森林
20/64

20.自己紹介

さて、挨拶しに降りますか。グリーンさんが助けるように言ったということは、悪い人達ではないだろうからね。


まだ状況の把握と処理ができていないだろう男性と子供の前に飛び降りた。ペコリとお辞儀をしてから、元気よく自己紹介をする。


「私、モモンガのリリと申します。はじめまして」


「あ、はい、はじめまして」


と、反射的に返してくれたのは男性だ。子供は「モモンガが喋った?」と少し前のめりになった。


私の可愛さに興味津々なんだろう。仕方がない。私はプリティでキュートなモモンガだからね。


「えっと、リリ、さん? いえ、様?」


「なんでもいいですよ。でも、気軽に『リリ』って呼んでもらえると嬉しいです」


「では、リリ。君が助けてくれたのですか?」


「私はレンジャーの皆様にお願いをしただけで、実際に助けてくださったのはレンジャーの方々です」


ええ、そうですよね。何を言っているのか分からないですよね。では、見せて差し上げましょう。


「こんな感じです。モモン・ガー、ホワイト。お願いします」


いつぞやと同じようにふわっとホワイトレンジャーが現れ、祈るように2人の怪我を治し、綺麗な笑みを浮かべながらお辞儀をして消えていった。


私がホワイトさんが消えた所に向かってお礼を言っている間、男性と子供は忙しなく自分達の体を確認していた。


「ホワイトさんが治してくれたので大丈夫だと思いますが、痛いところはありませんか?」


「すごい! リリ、すごい!」


「あ! ルカラウカ!」


子供が緩くなった男性の腕から抜けて、ずいっと顔を近付けてきた。子供は地面にひれ伏しているような格好になっていて、私との距離がかなり近い。


そのおかげでフードの中の顔が見えたが、なにぶん小さな私には「瞳が大きくて綺麗だな」としか分からなかった。


「リリ、助けてくれてありがとう。僕の名前はルカラウカ。師匠と旅をしているんだよ」


「旅? だから、こんな夜中に森にいたんですか?」


ルカラウカくんが両手ですくうように、私を手のひらに乗せようとしたので、自らその場でジャンプをして乗っている。


嬉しそうに体を起こしたルカラウカくんは、男性と自分の間の空間に私を持っていった。


「答えの前に、私も自己紹介を。私の名はフェレル。植物学者ですが、今は訳あって冒険者をしながら旅をしています」


腰を落としている状態だが、綺麗な所作で頭を下げられたので、返事をする代わりにペコリとお辞儀をしている。


「先程の答えですが、ウスリーの街に入る門に着いたのが門が閉まるギリギリで、並んでいた途中で列を切られてしまったんです」


そんなことあるの? ひどくない?


「門の前に数個宿はあるんですが値段が高く……泊まれない者の為に広場はあるのですが、テントを張れそうな場所が無かったのです。それで、森の中に入ったのですが、珍しい薬草を発見してしまい、あれよあれよと気付いたらここまで来てしまっていて……突然、狂花した虎2匹に襲われてしまったのです……」


ん? 2匹? ってことは、このひょろっとさんが1匹倒したってこと? この人、強いんだ! 凄いよ、凄い。でも、きっと1つの事に夢中になったら周りが見えなくなるタイプだ。子供連れなら、それじゃダメだと思うぞ。めっ!


「あれ? 門って何時に閉まるんですか?」


「国によって異なりますが、サンリカ国は18時ですね」


18時……そこから休憩せずに歩いたとしても8時間……ここに辿り着ける? だって、モモンガのスピードで1日かかるんだよ。無理じゃない?


「ここは街から1日半くらいはかかると思うんですけど」


首を傾げられてしまった。ググマップには1ルートしかなかったけどな。そもそも森だからね。突っ切るルートしかないよね。


「あ! 1日、いや2日くらいならウスリーではなく、コモウェルの門に行けると思いますよ」


「ウスリーとコモウェルは、隣町で近いってことですか?」


「はい。ソニア川を挟んで、街が分かれていますから」


ティアマーレ湖から伸びている川のことだよね? そんな名前が表記されていた気がする。そして、私がググマップで目指していた場所がコモウェルで、でも、ここからはウスリーの方が近いってことか。


まぁ、適当に画面をタップしただけだもんな。詳しくないんだから、そんなこともあるよね、あるある。


「ねぇねぇ、リリはここで何をしていたの? ここに住んでいるの?」


背中側から声が聞こえて、体を横向きにした。影で目元は見えないが、ルカラウカくんの両頬は上がっている。


「私も旅をしている途中でして、街を見てみたいと思ってここまで来たんです」


「どうして旅をしているの? 人間に興味があるの?」


「人間に興味というより、どんな街なのかなぁって方ですね。文化とか食事とか、そっちの方に興味があります。後、自分自身が何をしたいのか分からないので、色んな物を見て決めたいと思っているんです」


「リリって、モモンガなのにカッコいいね」


「そうです。可愛いだけと思って油断していると、カッコよさにハートをぶち抜かれちゃいますよ」


「ふふふ。僕、もうぶち抜かれちゃった」


ぐぅ! 可愛いかよ! 天使かよ! 私もぶち抜かれて、キュンキュンしてるよ!






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