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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
ラポシューディブル大森林
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2.話せるの?

さて、皆さんはモモンガのことを、どれくらい知っていますか?


日本で飼えるモモンガは2種類で、アメリカモモンガとフクロモモンガになります。アメリカモモンガはリスの仲間なんですが、フクロモモンガはカンガルーやコワラの仲間なんですよ。だから、子供を育てる袋がお腹にあります。


びっくりですよね。モモンガはぜーんぶ、リスの仲間だと思ってましたよね。私もチャメルに出会うまでは、そう思ってました。


深い息を吐き出しながら、枝を床に、幹を背もたれにして座り込んだ。


鏡が無いから絶対とは言い切れないけど、色味的に私はチャメルの姿になっている。


いや、もう全力でツッコミたい。「人間じゃないんかい!」と。


見上げると、穏やかな風に吹かれた大きな葉っぱが、少しだけ揺れている。


まぁ、チャメルの転生権利を使用してだから、モモンガで当たり前か。文句言ったらチャメルに悪いしね。そもそも人間が居ない世界かもしれないしね。


うん、この世界の説明、必要だったなぁ。遠い目しちゃう。


ってかさ、チャメルなら可愛いは約束されているから、モモンガでもいいの。私もチャメルのこと愛しているし。


空に向けていた視線を、お腹に向けた。


なーんで、本来なら分かりにくい袋が、半月の形したポッケになって存在感あるのかなぁ? 猫型ロボットじゃないよ、モモンガだよ? これ、本当になんでなの?


「なんて言ってても仕方がないし、夜の内に行動……あれ? 私、喋ってる?」


ワナワナしながら両手で口元を隠した。


「え? え? これ、モモンガ語? モモンガって、『プクプク』『ジージー』『ワンワン』『ククク』とかじゃないの? 日本語って感じがしないけど、日本語に聞こえる……あれか? 転生特典で、どの言語でもオッケーだぜ! ってやつ? でも、私には言葉が分かるけど、他の生き物には鳴き声でしか聞こえないとか……わっかんないわー。お父さーん、お母さーん、助けてー! って、もう会えないんだよね。最後に手紙くらい残しておきたかったなぁ。大好きだよって」


目を伏せると、涙が滲んでしまいそうだったので、慌てて顔を上げた。


今は感傷に浸っている場合じゃない。ここが安全かどうか分からないのだから、とりあえず行動に移らねば。


「まだ夢みたいな感覚もあるしね。だから、今は置いておこう。モモンガは夜行性だから、夜のうちに動かないと眠たくなっちゃうからね。ん? だから転生時間が夜なのかも。ありがとう、アルパカさん」


まぁ、我が儘を言うなら、詳しく教えてほしかったけどね。


「よっ」と立ち上がり、右と左のどっちに進もうか悩んで、わずかに月が傾いている右を選んだ。月に向かって進んでみるのだ。


といっても、私の知ってるお月様じゃないけど。もっと無機質っぽいというか……クレーターがなくて向日葵のような形をして……ん? ライオンか?


「ふぅ」


オーケー、オーケー。今は考えない。先に情報収集。


目の前の枝は近い距離にある。普通にジャンプして届く距離だ。でも、この姿でジャンプをしたことはない。


緊張しながらも胸を高鳴らせ、ひょいとジャンプしてみた。綺麗に着地でき、体の軽さに感動する。


なにせ20代後半から、ジャンプなんてしたことない。スキップもない。子供を助けようとした時の疾走は、ものすっごく久しぶりだった。足がもつれなくて本当によかったと、今更ながら思う。歩くことや階段を上ることは出来るけど、運動なんてしないアラサーだったから仕方がないのだ。


——正直に言うと、エスカレーターとエレベーターを活用していました。だから、長い階段だと上れるかどうか微妙です。悪しからず……


ジャンプなんて失敗しようがない。と、楽しくジャンプを繰り返していたら、ジャンプでは届きそうにない枝を発見した。見つけてしまった。


皆さんも知っている通り、モモンガという生き物は、手足を伸ばし、飛膜を広げ、滑空できるのだ。


ここまで軽く跳べるのだがら、初めてだとしても、きっと飛ぶことができる。


瞳をキラキラさせながら、ガバッと飛び立った。空の旅を楽しめると思っていたのに、一瞬で飛び移っていた。


あれ? と首を曲げて、後ろを振り返る。


うん、普通のジャンプじゃ届かない。2メートルほどある。


まぁ個体によるが、モモンガは秒速16メートルと言われているので、瞬間移動並みの速さで飛び移っていてもおかしくはない。だって、2メートルほどだ。「もしかして、ジャンプでもいけた? 何分、モモンガ人生お初でして……てへ」と、誤魔化すように毛繕いしてもおかしくはない。


※過度の毛繕いはダメだよ。毛が抜けちゃうからね。ストレスからかもしれないから気をつけてあげてね。


「慣れるためには動かねば」と何も考えず、移動を繰り返したのだった。






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