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モモンガ・リリの変なレンジャー魔法  作者: HILLA
ラポシューディブル大森林
17/64

17.「モモ」でよかったんじゃないの?

『リリ、もう行っちゃうの?』


翌日、私は昼食後、みんなにお別れを言いに回った。といっても、この村でメインに話していた3人とダオちゃん達にだけだ。


『うん、ここにはダオちゃんを送り届けに来ただけだからね』


『そっかー、もっと長く一緒に居たいな』


ダオちゃんは、寂しそうに顔を俯かせている。


『リリ殿、どこかに行く予定があるのか?』


私を背中に乗せてくれているジオさんに問われ、私は首を横に振った。


『目的地は無いんですが、やりたい事が決まっていないので、色んな物を見て、何をするか決めたいと思っているんです』


『ここに住んだままでは決められないのか?』


『うーん、ジオさん、シオさん、ダオちゃんのことは好きなので離れ難いですが、やっぱりこの世界を見て回りたいという気持ちが強くてですね。そのうち、ふらっと来ますので、その時は歓迎してくれたら嬉しいです』


『もちろんよ。私も聖獣様関係なく、リリ様が大好きよ』


『ありがとうございます、シオさん』


『リリ、絶対に遊びに来てね』


『絶対来るよ。約束』


4匹で和やかに話しながら、外に出られる塀の近くに向かった。


昨日イザコザがあった場所には、クークーさん達が見送りに来てくれていた。餞別の果物や野菜を渡され、次から次へとポッケに入れていく。


「……本当にそこに入るんですね」


ランランさんの感嘆の声に苦笑いを向けた後、改めてクークーさん・ランランさん・族長さんに向き直り、お礼を伝える。


「こんなにも食糧を分けていただき、ありがとうございます」


「とんでもございません! 聖獣様のおかげで、私共の村は間違いを犯さずに済み、ダオも生きております。心より感謝いたしております。誠にありがとうございました」


頭を下げる族長さんに倣って、クークーさんとランランさんにも腰を折られる。


「いえいえ。今回のことは、偶然が重なっただけのことです。いい方向に転んでくれただけです。それに、私は通訳をしただけですので、あまり感謝しないでください」


「しかし、聖獣様がおられなければ、取り返しのつかない——


「ストップ。感謝は本当にもういいです。だから、今後私が遊びに来た時は、友人と接するように温かく迎えてください」


本当にね。私、聖獣様じゃないんでね。ここまで崇められると罪悪感が半端ないんですよ。だから、気軽でお願い。


「友人だなんて畏れ多い。ですが、それがお望みとならば、私達はそのように致します。いつでもお越しください。お待ちしております」


「はい、また遊びに来ます。皆様、お元気で」


大きく手を振り、ジオさんの背中から塀に向かって飛んだ。そして、爪を引っ掛けて尖先(きっさき)までよじ登り、振り返った。


『リリ! 絶対遊びに来てね!』


『リリ殿ー、待っているからなー』


『できるだけ早くだと嬉しいわ』


元気に声を投げてくれる3匹と、頭を深く下げている3人に向かって、『またね』と笑顔で応え、近くの木に飛び移ったのだった。


ボアアーノを旅立った私は、ダオちゃんと出会った川まで戻り、一路西側に向かって歩を進めた。


レンジャー魔法の使い方を学んでからは、毎夜グレーレンジャーにお世話になり、快適な睡眠時間を手に入れている。癒されすぎて、起きたら元気マックスである。


ポッケの中に食べ物はたくさんあるが、木の実やキノコが目に入った際にはイエローレンジャーに来てもらい、賞味可能かどうか教えてもらっている。


どうしてイエローレンジャーが食事担当かって?


それは、決まっているではないか。一説に、イエローレンジャーはカレーが大好物というネタがある。つまり、料理が上手でもおかしくない。だから、イエローは料理担当だ。もちろん得意料理は、あらゆるカレーである。


と、まぁ、設定できるレンジャーが13色あったので、ぶっちゃけノリで、全色面白がって能力を変えたからですよ。


やっちゃった感が、本当に半端ない。狂花した魔物と出会ったらどうすんの? 全色戦闘要員にした方がよかったんじゃない? と不安があるが、実はそこまで心配していない。


グレーレンジャーに寝床を依頼した時に教えてもらったことだが、モモン・ガーは一度に13匹まで呼べるそうだ。13匹までなら色が被っても問題ない。実際、クークーさん達の家を建ててもらった時は、グレーさん6匹に来てもらっている。


この説明を受けた時、全色同時に呼ぶと13匹になるからだろうなぁと閃き、やっぱり全色戦闘要員で、決めポーズとかあったんじゃないだろうかと、モモン・ガーに申し訳なくなった。本当、自由気ままに設定してすまん!


後、イエローレンジャーを呼んだ時に気付いたことだが、マントはそれぞれの色のマントだった。グレーレンジャーは灰色のマントに生成色で「桃」、イエローレンジャーは黄色のマントに生成色で「桃」と書かれていた。


余談だけど、イエローレンジャーは耳の間にコック帽が乗ってました。可愛い。柄はプラチナの体毛の子でした。本当に可愛い。


ということは、みんなそれぞれの色のマントを着け、必ず生成色の文字の「桃」が書かれているということになる。モモン・ガーなら、せめて「モモ」でよかったんじゃないの? と思うが、これについては私が原因なので何も言うまい。デザインに口を出さないぞ。


まぁ、そんな感じで、日々新しい発見をしながら楽しく過ごしている。


あ、もう1つ。これも余談なんだけど、川の水はティアマーレ湖から離れれば離れるほど炭酸が弱くなっている。今は少しピリッとするくらい。


もしかして、この炭酸は、含んでいる魔力の量に比例するんじゃないだろうかと思ったりもしている。調べようがないので、真実は闇の中である。






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