なろうの感想機能について思うところ
2024年10月8日に感想区分が廃止になりました。
───公式ブログ
https://blog.syosetu.com/article/view/article_id/4766/
※感想が少ないことに対し、あくまで個人的な分析と、私見をまとめたものです。
───はじめに
感想区分廃止の理由について思う所があったため、「小説家になろう」にて感想数が少ない傾向の私見をまとめました。
お品書き
・「小説家になろう」での感想の課題
・結論
・なろうでのネタバレ防止について
・必要以上に感想数が少なく見える現状
・他読者の感想に反応できない制限
・ネタバレ防止として不十分な設計
・改善提案の概要
・改善提案の詳細
・まとめ
───「小説家になろう」での感想の課題
「小説家になろう」で感想数が少ない理由は様々な要因が考えられますが、特にサイトのデザインやレイアウトに問題があると私は考えています。
◆結論
ネタバレ防止対策が十分に機能しておらず、これが感想数減少の主な原因と考えられます。
───結論
・「小説家になろう」ではネタバレ防止対策が不十分であり、その結果、感想の投稿数が減少している。
・感想欄がエピソードごとに区切られているため、感想が少なく見え、投稿のハードルが上がっている。
・他の読者とのインタラクションが不足しており、感想を書く動機が弱まっている。
次項からは、分析の詳細について触れています。
※「小説家になろう」は以下、なろうと表記。
───なろうでのネタバレ防止について
まず、読んでいる小説で先の展開をネタバレされる事ほど、冷める行為はありません。
そのため、感想を見る際に1つ手間が増えるように設計されています。
ただ、そのネタバレ防止対策が不十分で、それが原因で感想が減る事に繋がっています。
───必要以上に感想数が少なく見える現状
該当のエピソードから感想欄へ遷移すると、そのエピソードの感想しか見えないようにデザインされています。
ネタバレ防止の為の工夫ですが、読者は毎回感想を送る訳でもないので「感想が無い作品」のように見えてしまいます。
感想が全くない所に、自分の感想を投下するのは若干ハードルが高いと思われます。
また、他の人の感想に触れる機会が多いほど、「自分も感想を書いてみようかな?」と思う機会が増えますが、その機会損失にも繋がっています。
───他読者の感想に反応できない制限
なろうでは、他の読者の感想に対し何も反応できません。
おそらく、感想欄が荒れることを防ぎ、作家との直接的なやり取りに限定する意図があるのでしょう。
しかし、この設計では、読者の承認欲求や共感欲求が満たされず、結果として感想を書く動機が弱まっています。
別の感想として意見はできますが、その結果、感想が減少する状況を助長しています。
読者同士がヒートアップして感想欄が荒れる場合、別の感想として乱立するためです。
この状況に陥った場合、多くの作者は感想欄を閉じるという選択を迫られています。
これは、非常に残念な状況と言えます。
───ネタバレ防止として不十分な設計
なろうでは、感想の表示がエピソード指定か、全てしかありません。
他の人の感想を見てみたいと思った場合に、その読者が最新話まで読んでいないと「他の読者の感想でネタバレされる可能性」が跳ね上がるのです。
このリスクを避けるために、読者は感想欄へ近づかなくなります。
「普段から近づかない≒馴染みがない」という構図が出来上がり、結果として感想は減ります。
一般的な理由よりも、この構造上の問題によって、必要以上に減っているのが現状だと分析しています。
───改善提案の概要
まず、ネタバレ防止機能の改善が最も重要なステップです。これにより、読者が安心して感想を投稿し、他の感想を見る環境が整います。
また、他の読者の感想に対するリアクション機能を導入することで、感想を書く動機が強化されます。
それと併せ、感想欄を閉じるケースを低減させる自浄作用へも働きかけていきます。
5点の改善案を提案致します。
①感想区分で「ネタバレあり一言」を用意する。
②感想に対し、通報機能を用意する。
③感想に対し、他読者も三段階の反応をできるようにする。
④感想フィルタに「最初から現在のエピソードまで」を用意する。
⑤本編側のページ内にも数件の感想を表示する。
次項で、各提案の詳細について触れます。
───改善提案の詳細
①感想区分で「ネタバレあり一言」を用意する。
まず、感想区分を復活させて、区分内容を次のように変更します。
・良かった点(ネタバレなし)
・ネタバレあり一言
感想欄を表示しただけでは「ネタバレあり一言」の内容は表示されず、該当の感想を選択して「ネタバレ感想を読む」という1工程が必要な設計に変更します。
これによって不用意なネタバレを大きく低減できます。
②感想に対し、通報機能を用意する。
上記の感想区分において「良かった点(ネタバレなし)」の欄にネタバレ情報を書いてしまう読者は、一定数いると思われます。
そこで読者同士で「この感想はネタバレの不適切な投稿だ」というのを指摘しあえる状態にするべきだと思います。
悪質なユーザーが通常の感想に通報するケースも考慮すると、作者側が通報数に応じ、ネタバレ扱いにするかどうかを設定できた方が望ましいです。
(この作品は1件の通報でネタバレ扱い、この作品は読者が多いので10件の通報でネタバレ扱い…等)
ネタバレ扱いになった「良かった点(ネタバレなし)」の感想は、「ネタバレ感想を読む」という1工程が必要とします。
作者が確認してホワイトリストに入れる事で、通報に関係なくネタバレなし扱いにする機能があれば、イタズラで目隠しされる期間も短くて済むでしょう。
③感想に対し、他読者も三段階の反応をできるようにする。
他の感想に対しても、最低限の意思表示をできた方が望ましいと思います。
次のような評価ボタンを提案致します。
・「いいね!」
・「なるほど」
・「うーん…」
良い、どちらとも言えない、良くない、の三段階の提案です。
一人のアンチの感想に対し、熱心なファンが他の感想で反論する状況を早く脱した方が良いと考えています。
その為には、感想に対しての通報だったり、「うーん…」のような意思表示ができるかは大きいと思います。
それがあるだけでも溜飲が下がり、ヒートアップして感想欄が荒れる事を低減できます。
多くの読者が「うーん…」をつけている意見は少数意見だと分かりますし、「いいね!」が多くついている意見はそれだけ共感を得ている感想として、感想を出す側のモチベーションに繋がります。
④感想フィルタに「最初から現在のエピソードまで」を用意する。
感想は、該当エピソードだけだとどうしても少なくなります。
その読者が読んだ所までの感想を表示する機能があると、他の感想に触れる確率が跳ね上がり、且つ、未読のエピソードの感想を避ける事ができます。
例えばスポーツなどでも選手の活躍を見る事によって「自分もやってみたい」という感情が沸くものです。
小説も同様で、多くの作家が色んな作品を生み出し、それを読む事で「自分も執筆してみたい」という感情に繋がります。
感想も例外ではありません。つまり見る機会が少ないという事は、出す意欲も引き出せないという悪循環に陥ります。それを緩和する必要があると考えます。
⑤本編側のページ内にも数件の感想を表示する。
これは、これまでの改善案を全て施行した上での提案となります。
評価の下にある「感想を書く」の所に、数件(2件程度でOK)の感想を表示します。
※過去分の感想件数も併設表示されているレイアウトだとより理想的です。
どういった基準で表示するかについては以下を提案します。
・通報が0件の「良かった点(ネタバレなし)」のみに限定する。
・同エピソードの感想で「いいね」が多くついている感想から順に表示する。
・表示件数に満たない場合は、過去エピソードの感想も対象とし、全体の中で「いいね」が多くついている感想から抽出される。
感想数の表示や人気感想の表示を本編ページに設置することで、感想欄へのアクセスを促すのを目的としています。
理由を補足します。
不用意なネタバレを避ける為に、本編のページ内に他者の感想を表示していないのが現状です。
ネタバレ回避のデザインを強化して、本編のページ内にプレビューがあるのが理想です。
前述でもありますが、感想を見る機会は感想を書く機会に直結していますので、それを単純に向上させようという案になります。
また、感想を送る側としてもそこに載るとテンションがあがりますし、多くの「いいね」共感が得られる感想を送るモチベーションに繋がります。
多くの「いいね」を得られるような、共感性が高くてポジティブな感想が増える事は、作家にとってもプラスに働くと予想しています。
作品の質が向上すれば、より感想も出したくなるという好循環が期待できます。
また、感想数も表示されていると、本編に表示されているプレビュー以外にも興味を持たせる事ができます。
感想を見に行く行為を身近にする事で、書く事も身近になると思われます。
───まとめ
なろうでの感想が少ないのは、単に日本人の文化や気質の問題だけでなく、サイトのデザインやレイアウトの問題が大きく影響しています。これらの改善を行うことで、読者同士のインタラクションが増え、結果として感想数の増加につながるでしょう。
一人の作家であり、一人の読者としてそれが改善される事を切に望みます。
2024年10月10日時点の、感想機能に対する分析と意見です。