第91話 修学旅行13
〜幸晴side〜
部屋を出た俺たちは下の階へ移動して朝食をとることにした。
「「...」」
玲那と足利さんは黙々と食べ進めていた。やはり先ほどの出来事が恥ずかしかったのだろう。
「ねえ、今日は釧路でお土産とか買うことになってるけど最後に私たちの写真撮ろうよ!」
京極さんが新たな話題を用意した。
「俺たち4人でってことか?」
「そうだよ、ここに来ることはもう無いかもしれないから思い出を残したいの!」
京極さんは続けて話す。
「私たちがこの世から消えてしまった後も、写真は残り続けるでしょ?後世の人たちに私たちがこの世に存在していたことを示したいの!」
「京極さんって本当に独特な価値観を持ってるよな...」
俺は思わずツッコミを入れてしまった。
「だって私には中国の皇帝みたいな強大な権力を持ってるわけじゃ無いから、写真だけでも残しておきたいって思ったの!」
「な、何かすごい壮大な話になってるな...」
京極さんにとって、この修学旅行はそれほど大事な出来事なのだろう。
俺たちは朝食を済ませると、バスに乗って最後の観光地である釧路へと向かっていった。
「着いたー!」
バスから降りた京極さんが走り出す。もう修学旅行最終日だというのに、どこにそんな体力が残っているのだろうか。
「あーし自撮り棒持ってるからこれ使って撮ろうよ」
撮影場所に到着すると、玲那がカバンから自撮り棒を取り出した。
「前田君が真ん中ね〜」
足利さんが俺の右隣に密着しながら言う。
「あーしはこっちね」
玲那は俺の左隣にくっつく。
「私は前にいるから、前田君は画面からはみ出さないように気をつけてね」
京極さんが俺の前に立ってスマホをセットした自撮り棒を持つ。
「あっそうだ、寒いと思うから前田君は私に抱きついちゃっていいよ」
京極さんがすごいことを言ってくる。
「ええ!?京極さんはそれでいいの?」
「だってくっついた方があったかいじゃん、ほらそろそろ撮るよ?」
「...」
俺は躊躇したが、寒いのは事実なので後ろから京極さんに抱きついた。
「あっ」
だが、俺の両手は京極さんの胸を触ってしまっていた。その瞬間にシャッターが切られたのだった。京極さんの胸は服越しでも柔らかかった。
「ごっごめん京極さん!」
「?何をそんなに動揺してるの?」
俺はすぐに謝罪したが、京極さんは全く動揺していなかった。
「いや、今触っちゃったからさ...」
「私は全然平気だから大丈夫だよ」
京極さんは微笑みながら言った。どうしてこんなに平然としていられるのだろう。
「ゆっきーって小さい方が好きだったの?」
「ちょっ玲那!これは事故なんであって...」
俺が弁明しようとすると、足利さんも口を挟んだ。
「前田君って...大きいのは嫌なの〜?」
まずい、足利さんの機嫌を損ねるわけにはいかない。
「そんなことないって!今までたくさん2人の胸の感触は味わってきたけど、とっても幸せだったから!」
俺は正直な気持ちを2人にぶつけた。自分で言っててすごく恥ずかしくなってきた。
色々あったが、3泊4日の修学旅行もようやく終わりの時が来た。釧路の観光を終えた俺たちは飛行機に乗って北海道を去っていった。
数時間後、俺たちは鎌倉に帰ってきた。
学校を出るまで俺たちは一緒に歩くことにした。
「いやー楽しかったねー」
京極さんはすごく満足そうにしていた。
「明日からまたいつも通りの日常が戻ってくるね〜」
足利さんもニコニコしながら言っている。
「でも、来月にはクリスマスもあるから休んでいられないよな」
「ゆっきー、来月はクリスマスの前に期末テストもあるからね!」
「...そうだった」
玲那が俺を現実世界へと引き戻した。




