第83話 修学旅行5
〜部屋〜
1日目の就寝の時間になり、俺たちは布団の中に入った。ちなみに寝る時の順番もバスの席順と一緒に既に決めておいてある。俺の隣は1日目が京極さん、2日目が玲那、3日目が足利さんという順番になっている。
「おやすみー」
「「「おやすみ」」」
玲那が部屋の電気を消した。明日のために早く寝るべきなんだろうけど、いつもと枕が違うせいでなかなか眠れなかった。
「ねえ、前田君まだ起きてる?ちょっと伝えたいことがあるんだけど」
京極さんが小声で囁いてきた。
「うん、まだ起きてるよ。どうかしたのか?」
「その...今まで私の話を聞いてくれて本当にありがとうね」
なんだか言い方がこれから消えてしまいそうな人みたいに感じる。
「ほら、私って思想強いし左翼な部分があるからみんな離れて行くことが多かったの。でも前田君は私の話を無視するようなことはしなかった」
「...」
京極さんは話を続ける。
「あっ左翼でも別に日本のことが嫌なわけじゃないからね。今こうして北海道へ修学旅行をしに行けているのは、第二次世界大戦の時に日本軍がソ連からの攻撃を必死に防いでくれていたおかげだし...今日という日が楽しめたのも、北海道がソ連に制圧されなかったからだしね...」
「...なんかそういう話をされると、俺たちの存在がすごく小さく感じてくるな」
京極さんはさっきより眠そうにしていた。
「そういえば、来月はクリスマスがあるからまたハロウィンの時みたいに私たちでパーティーしない?」
「うちならいつでも空いてるから大丈夫だよ」
「よかった...その時は前田君のためにプレゼント用意するから楽しみにしててね...」
京極さんはそのまま眠りについていた。
新しい楽しみを提案してくれたことに俺は感謝しながら寝ることにした。
〜翌日〜
窓から差し込む朝日で、俺は目を覚ました。
「...んん、もう朝か」
いつもなら夏希に起こされているので、少し新鮮な気分だった。
「ん?何か布団の中が暖かいな...!?」
布団に違和感を感じた俺は、布団をめくった。そこには俺の上に乗って寝ている京極さんがいた。美少女がくっついている事実にドキドキしてしまっていた。
「う〜ん、あっ前田君おはようー」
京極さんも目が覚めたようだ。
「京極さん、そろそろ降りてくれないか...」
「あっごめんね、すぐ降りるから」
京極さんが降りた後、隣の布団を確認したが誰もいなかった。どうやら玲那と足利さんはもう起きているみたいだった。
「ゆっきーおはよう」
「昨日は京極さんと色々楽しめたみたいだね〜」
玲那と足利さんが制服に着替えて戻ってきた。
「2人とも見てたのかよ...」
俺はそう呟きながら、朝の準備をすることにした。
〜バス内〜
朝の支度を終えて、朝食を済ませた俺たちはバスに乗って出発した。2日目は網走から摩周湖へ移動することになっている。
「ゆっきー、今日も楽しもうね」
隣に座っている玲那が満面の笑みで言った。
「ああ、修学旅行なんて人生に一度しかないイベントだからな...寒いけど」
バス内はまだ暖房が効いておらず、俺は震えが止まらなかった。
「ゆっきー寒そうにしてるね、あーしが暖めてあげるね」
玲那は座ったまま俺と腕を組んできた。制服越しでも玲那の柔らかい胸の感触が伝わってきた。
「あの、玲那さん?当たってるんだけど...」
「いーのいーの、あーしがやりたくてやってることだから」
昨日はバスの中で眠ってしまった俺だったが、今日はドキドキで眠気が吹っ飛んでしまっていた。
「ねえゆっきー、昨日の夜は京極さんと何してたの?」
「えっそれは...来月家でクリスマスパーティーやろうっていう話をしていたんだ」
「マジで!?いいじゃん!あーしも参加する!京極さんって何か用意するの?」
玲那がすごい食いついてきた。さらに距離が近くなり、玲那の胸もさらに強く押しつけられた。
「確か、プレゼント用意するって言ってたかな...」
「だったらあーしも用意するね!」
「あっありがとう...楽しみにしてるよ」
俺の来月の楽しみがもう一つ増えたのだった。




