第79話 修学旅行1
〜教室〜
1週間後。11月になり、冬服で登校する季節になった。
「ゆっきーおはよう」
教室に入ると、玲那がいつものように挨拶してくれた。
「おはよう玲那、だいぶ涼しくなってきたな」
「そうだね。ゆっきー、今月はどんなイベントがあるか知ってる?」
「えっと、修学旅行だっけ?」
「そう、修学旅行だよ!あーしたちのクラスは北海道に行くみたいだから楽しみだね」
玲那はすごく嬉しそうな顔をしていた。
「俺は北海道行ったことないからすごく楽しみだよ」
「このあと班決めがあるから一緒の班になろうね」
「ああ、そうだな」
俺は玲那と約束を交わした。
数分後、京極さんと足利さんも教室に入ってきた。
「前田君おはよう!」
「おはよう〜」
「2人ともおはよう」
2人は俺の席まで来た。
「ねえ、前田君。私たちと一緒の班にならない?」
「私も前田君と思い出作りたいの〜」
2人とも俺を誘ってきた。どうやら京極さんたちも玲那と同じ気持ちみたいだ。
「もちろんいいぞ」
俺は即答した。断る理由なんかないからな。
「2人とも、ゆっきーと距離近くない?」
玲那が横から指摘してくる。
「だって前田君は私の数少ない理解者なんだもん!」
「私も前田君と距離詰めたいからね〜」
「りっ理解者?」
俺は京極さんの発言に疑問を持った。
「前田君は私と同じ北朝派で共産主義を推してるからね!」
「...」
俺の適当な返事をここまで引っ張ってくるとは思わなかった。
でも...俺が京極さんに合わせなかったら、今美少女に囲まれているという状況も生まれなかったんだよな...
そういった点では京極さんに感謝しなくてはいけないと思った。
〜教室〜
この日の5時間目に班決めに加えて移動中の席順も決めることになった。
修学旅行は3泊4日で、1日目に網走、2日目に阿寒湖、3日目に野付半島、4日目に釧路という順番で回ることになっている。
北海道は広いのでバス移動がメインだ。なのでバス内でどう座るのかを決めることになる。
「ねえ、ゆっきーは誰の隣に座りたいの?」
玲那がいきなり俺に聞いてくる。
「え、いや俺は...」
「あーしはゆっきーの隣に座りたいって思ってるよ!」
「え〜私も前田君の隣に座って共産主義の魅力について語りたいんだけど...」
京極さんが玲那に対抗してくる。
「まあまあ、修学旅行は3日間あるから1人ずつ交代すればいいんじゃない〜?」
足利さんが2人を妥協させる案を提案してくれた。
「じゃあ何日目に誰が前田君の隣に座るのか決めよっか」
京極さんが2人に呼びかける。
「あの、俺は何をすれば...」
「ゆっきーちょっと待ってて、今からじゃんけんで順番決めるから!」
「わ、わかったよ」
玲那に対して、俺は何も言い返せなかった。
順番決めの結果、俺の隣は1日目が京極さん、2日目が玲那、3日目が足利さんに決定した。
「よし、これで決まったね。ゆっきー、今回の修学旅行であーしたちと最高の思い出を作ろうね!」
玲那がまっすぐな目で俺を見つめた。
「ああそうだな、色々と準備することも多いけど俺たちならきっと忘れられない思い出ができるはずだ」
席決めを終えた俺たち4人は修学旅行を楽しみにしながら下校した。
1週間後、修学旅行の前日になり俺は荷物の準備をしていた。
「お兄ちゃん、忘れ物とかしないようにね?」
夏希が俺に指摘する。
「大丈夫だって、心配するな」
俺は着替えなどをカバンの中に入れて玄関の前まで運んでおいた。
そして、風呂に入ってから携帯を確認すると足利さんからメッセージがきていた。
「ん?足利さんからだ。『今から通話したい』...か」
足利さんからのメッセージを見て、俺はすぐに足利さんに電話をかけた。
『もしもし〜前田君?元気?』
『ああ元気だけど、急にどうしたんだ?』
『いや〜旅行が楽しみなのと緊張で眠れなくてね〜。ちょっとお話ししたくなっちゃった。ごめんね、迷惑だったよね』
『いや、全然そんなことないよ。喋ってた方が眠くなるかもしれないし...そうだ、どうせならビデオ通話にする?』
正直、俺も少し緊張している。
『いいね〜じゃあ画面切り替えるよ〜』
俺の携帯の画面に足利さんの顔が表示される。
風呂上がりなのか、髪を下ろしている状態だった。
『それで、どんな話すればいいんだ...』
俺は言葉を詰まらせてしまう。
『私から振るけど、前田君は夏祭りの時の答え、いつまでに出せそう?』
『う、それは...』
『できれば今年中には決めてほしいかな〜』
『...わかった、じゃあ来月のクリスマスまでには決めるよ』
俺は自分で期限を決めることにした。
『待ってるね〜。...ふぁあ、ちょっと眠くなってきたかも...』
画面越しの足利さんが伸びをする。その姿を見て、俺はとんでもないことに気づいてしまった。
『ぶっ!?』
足利さんは、下着姿の状態でタオルを首からぶら下げていたのである。伸びをしていることで足利さんの大きな胸がプルプルと震えていた。
『ちょっと足利さん!服!』
『え...?あ!〜〜〜っ!ごめんね!』
足利さんはすぐに顔を真っ赤にさせた。
『えっと、どこだったかな...』
足利さんは後ろにあるタンスの中を漁った。後ろを向いていることで、足利さんのむっちりとした太ももやお尻が画面越しに表示される。俺は思わずガン見してしまっていた。
『見つからない...こっちかな...』
足利さんはお尻を揺らしながら服を探す。
『あった〜』
足利さんは急いで立ち上がる。立ち上がった反動で大きな胸がふるんっと揺れて、肩にかかっていたタオルがぱさりと落ちた。
『わわ!?』
足利さんはタオルを踏んで後ろに倒れてしまう。
『はう!?』
足利さんは尻餅をついてしまった。
『いてて...』
『だ、大丈夫か...?』
『うん、ちょっと待っててね...』
足利さんは一度画面の外に移動してから、服を着て戻ってきた。
『おまたせ〜』
足利さんは黄色いパジャマを着ていた。
『前田君、そろそろ眠れそう?』
『いや、さっきので余計眠れなくなっちゃったんだけど...』
『そっか...まあいざとなったら移動中に寝ればいいんじゃない?着いたら私が起こすよ〜』
確かに、そういう手もあるな。
『ありがとう足利さん、本当に助かるよ』
俺は足利さんにお礼を言って、通話を終わらせた。




