第64話 文化祭5
〜教室〜
玲那と足利さんが教室でメイド服を着る。
「ゆっきー、どう?似合ってる?」
「すげぇ...似合ってる」
玲那はミニスカのメイド服を着ていた。ミニスカから伸びる白い太ももがとても眩しかった。
「前田君、私のはどう?」
足利さんのメイド服はロングスカートだった。
「足利さんのもすごくいいよ、絶対人集まるって」
俺が感想を言っていると、京極さんがある提案をした。
「ねえ、せっかくみんなメイド服着てるからちょっと練習しよ。前田君はお客さん役で、入り口の前に立ってくれる?」
「わかった」
俺は教室の入り口へ移動する。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
京極さんがゆっくりとお辞儀をする。こういうところはすごく綺麗に見せてくるあたり、育ちの良さがわかる。
京極さんが俺を椅子に座らせて、メニューが書かれた紙を渡した。
「...んん!?何だこの『中華人民共和国が好きな人向けの特別サービス』は!?」
俺はメニュー名を見て驚いた。
「ああそれは私が考えたやつで、中華人民共和国が好きな人に対して、オムライスにケチャップで中華人民共和国の国旗を描くサービスだよ」
「それ頼む人いるのか?あと何で毎回中華人民共和国って略さずに言うんだよ。普通に中国でいいだろ」
俺がツッコミを入れると、京極さんは顔色を変えた。
「前田君!中国って書いたら中華民国の略だと誤解されるかもしれないでしょ!?私が毛沢東派じゃなくて蒋介石派だと思われちゃう可能性があるんだよ?...あっそうだ!『天安門事件(6.4)』でもいいかも!」
天安門事件...?
「京極さん、流石に天安門事件はやりすぎだよ〜」
足利さんが止めに入った。
「天安門事件って何?」
「触れちゃいけない事件だよ」
玲那が足利さんに質問したが、足利さんは明確な答えを返してくれなかった。
「じゃあ天安門事件は入れないでおくよ」
京極さんが納得してくれて、俺は安堵していた。
「あっそうだ、私クラスの出し物以外にも出演しなきゃいけないイベントがあるからそろそろ帰るね」
「京極さんって何かに出るのか?」
「うん、ライブ的なやつやるんだけどただ歌をカバーするだけじゃつまんないから、替え歌作って歌うことにしたよ。前田君よかったら見に来てね」
「わかったよ」
京極さんの歌か...ちょっと気になるな...多分思想強めになるんだろうけど。
そして、俺たちはこの辺で解散することになった。
〜自宅〜
「ただいまー」
「お兄ちゃんおかえり〜、来週の文化祭ってお兄ちゃんのクラス何出すの?」
夏希がいつものように出迎えてくれた。
「俺らはメイド喫茶やることになったわ、そっちは何やるんだ?」
「こっちはね、お化け屋敷やることにしたよ。いろんな仕掛けがあるからお兄ちゃんも来てよ」
「え、まあいいけど...」
夏希が仕掛けを考えたとすると色々と不安になるが、俺は出し物以外の予定がないので行くことにした。
「お兄ちゃんのクラスってメイド喫茶やるって言ってたけど、お兄ちゃんもメイド服着るの?」
「いや着ないよ!実の兄を何だと思ってるんだ!俺が着るのは執事服だよ」
「...そっか、執事か」
夏希は明らかにテンションが下がっていた。
「お兄ちゃんメイド服似合いそうなのに」
「だから似合わないって...俺の女装とか誰得だよ」
俺はそう言いながら自分の部屋へ移動した。
〜自室〜
「ん?玲那からだ」
携帯を確認すると、玲那からメッセージがきていた。
『ゆっきー、文化祭であーしと一緒に出し物見て回らない?ゆっきーが行きたいところとか教えてほしいの』
これはちょうどいい、玲那と一緒に出し物回る時に夏希のクラスに行けるな。
俺はすぐに玲那に返信を送った。返信を送った数分後、今度は足利さんからメッセージがきた。
『前田君、文化祭終わったら一緒に後片付け手伝ってくれない?もちろん今回も恩賞は用意するよ〜』
マジかよ、これは手伝うしかないな。
俺は足利さんにもすぐに返信を送った。




