第6話 校則騒動3
〜放課後〜
家に着いた俺は、今の状況をまとめていた。
玲那たち→校則に不満を持っている
京極さん→生徒会に逆らおうとしている
足利さん→京極さんに擁立されている
「そして俺が、生徒会に目をつけられているって感じか...この状況、どうやったら解決するんだ...?」
「お兄ちゃん、ちょっといいー?」
「なんだよ夏希、何か用か?」
夏希が俺の部屋に入ってきた。
「あのね、同じクラスの細川さんから聞いたんだけど、お兄ちゃん生徒会に目をつけられてるの?」
「ああそうだけど、もうそこまで知れ渡ってたのか」
「それから、お兄ちゃんのクラス委員が生徒会に立ち向かうって噂されてるよ。お兄ちゃん生徒会に対して反乱起こすつもりなの?」
「いや、そこまで規模のでかいことはできないって。ただ校則に納得がいかない人が何人かいるから、それをなんとかしてもらおうと考えているところなんだ。」
「そうだったんだ、生徒会に逆らって大丈夫なの?」
夏希は少し不安そうな顔で俺を見つめる。
「正直うまくいくとは思ってないよ。でもみんなが動いてる中で、俺だけ何もしないわけにはいかないからな」
その時、俺の携帯に通知が届いた。
「お兄ちゃん、携帯鳴ってるよ」
「誰からだ?...京極さんか...」
俺は嫌な予感がした。
「クラスの人?」
「うん、ちょっと...いやかなり思想強めの人なんだ」
初対面でいきなり皇室の話をしてくるような人だからな...
俺は京極さんからのメッセージを確認した。
『前田君、明日私の交渉に一緒についてきてほしいの!まずは会長の周りを懐柔するために、細川さんを説得するの。細川家は700年前に私の先祖と共闘したことがあるから、きっと協力してくれるはずよ!』
「マジかよ...」
俺の予感通りの面倒くさい展開になってしまっていた。
「お兄ちゃん頑張ってね」
夏希はそれだけ言って部屋から出ていった。
もう少し心配してくれてもいいだろ...
〜翌日〜
昼休みになった途端、京極さんが俺の席へ近づいてきた。
「前田君、早速細川さんの所へ向かうよ!」
京極さんは真剣な目で俺の手を掴む。
「ちょっと京極さん!?」
そのまま勢いよく教室を飛び出して走り出した。
「待ってくれ、俺まだ何も返事してないんだけど!」
「大丈夫よ!前田君には今、足利家という強力な後ろ盾がついてるんだからもっと自信持って」
ダメだ、今の京極さんには何を言っても止められない。
「頑張ってね〜」
足利さんがニコニコしながら俺たちを見送っていた。
そして、あっという間に生徒会室に到着した。
「失礼します。細川さんはいますか?」
「!?」
急に礼儀正しくなる京極さんに動揺してしまう。
「はい、ここにいますよ」
生徒会室の中は細川さんしかいなかった。
「細川さん、お願いがあるんだけど校則のルールを改正してもらうように生徒会長を説得してほしいの。」
「それは何故ですか?」
「今の校則が厳しすぎるっていう意見が私たちのクラスから出てるからなの!私は学級委員として、みんなを救いたいから」
「みんなといっても、あの時逃げていった人たちだけですよね?そんな少人数のために動かなくてはいけないのですか?」
まずい、痛いところを突かれている。
「それはそうよ!スカート丈くらい自由にさせるべきだと思うの!それに、細川さんと私は700年前に先祖同士が協力してたんだから、今回も手を取り合うべきだと思わない?ほら、私たちは同じ足利軍同士でしょ?」
「何年前の話を持ってきてるのですか。それに私は足利家の一門衆で、あなたはただの外様じゃないですか。」
「うっ...それはそうだけど...」
「それと、京極家は建武の乱と観応の擾乱で足利家のことを2回も裏切ってるじゃないですか。そんな節操なしの一族には協力できません」
マジかよ、京極さんの先祖忠義心なさすぎだろ。
その後、京極さんは何も言い返せずに生徒会室から出ていった。俺もすぐに京極さんについていった。
「前田君、交渉失敗しちゃってごめんね。」
教室に戻る途中で、京極さんが話しかけてきた。
「俺は正直途中から2人が何の話をしているのか全然わからなかったぞ」
「えっそうだったの!?どの辺からわからなくなってた?」
「一門衆とか外様とか言ってた所からだな」
「ああそこからね、まあ細川さんの言う通り私の一族は足利さんから見たら外様で、細川さんは足利家の分家の一族よ。」
「あと、京極家が2回裏切ったってどういうことだ?」
「え?そんなに気になるの?...ちょっと長くなるけどいいかな?」
京極さんは真剣な目で俺を見つめてきた。
そして、家の歴史について語りはじめたのであった。