第50話 肝試し4
〜帰り道〜
俺たちは来た道を引き返すことにした。
「幽霊出なかったねー」
京極さんが少し残念そうにしながら言う。
「いや、もし取り憑かれたりしたらどうするのよ...」
玲那は京極さんとは違い、肝試しが終わって少し安堵していた。
「でも、この辺はさっき歩いた道だからまだ安心できるね〜」
足利さんが俺の右隣を歩きながら言った。ちなみに左隣は玲那が歩いている。
「頼むからもう何も起こらないでくれよ...」
俺は念じながら歩いたが、その思いは届かなかった。
「...ん!?」
今度は足利さんのスカートが捲れ上がったのだ。今は風も吹いていないのに一体どうなっているのだろうか。
「前田君、見た...?」
足利さんがスカートを押さえながら言った。ここは正直に答えよう。
「うん...紐しか見てないよ」
「〜〜〜っっっ!!」
足利さんの顔が一気に赤くなった。少し気まずい空気になってしまう。
「...見てしまってごめんなさい」
俺は素直に謝った。
「ゆっきー...そんなにあーしたちのパンツが見たかったの?」
玲那に呆れた様子で言われてしまった。こういう時、どうすればいいんだろう...
「...?」
俺は助け舟を求めようとして、京極さんに目線を送った。
「前田君、もしかして私のパンツも見たいの?」
京極さんが俺の予想の斜め上の発言をしてきた。
どうやら京極さんを頼った俺が間違っていたみたいだ。
「何でそういう解釈になるんだよ...」
「この中でまだ私だけ前田君にパンツ見せてなかったからだよ」
「京極さん、別にあーしたちも見せたくて見せてるわけじゃないからね?」
玲那も少し恥ずかしそうにスカートを押さえていた。
「でも前田君はパンツが見えてしまった状況になると思わず見ようとしちゃうんだよね?」
京極さんは話を続ける。
「それは...否定できないな」
「じゃあ私が前田君に対してスカート捲ってパンツ見ていいよって言ったら見るの?」
「いや見ないって!京極さんは俺のことを何だと思ってるんだ?」
少なくともわざと見てしまうのは違う気がした。
「なるほど...男心って結構複雑なんだね」
「...そうなのか?」
俺は今のやりとりで、京極さんがいると必ず事態がややこしくなってしまうことを確信したのだった。
一本道を抜けて、俺たちは最初の集合場所まで到着した。
「はあ、ここまで来れば安心だね」
玲那が安堵した様子で言った。
「前田君はドキドキした〜?」
足利さんが、俺に聞いてくる。
「うん、ドキドキしたよ...色んな意味で」
「なら目的は達成されたね!」
京極さんが自信満々に言ってくる。
「目的?」
「実はね、今日は前田君をドキドキさせるのが私の目的だったの。それで今日誘ったんだよ」
「そうだったのか...」
なんか、この夏休みドキドキすることばかりだった気がする。
「ゆっきー、もうすぐ夏休み終わるけど2学期もよろしくね!」
玲那が俺に言ってきた。そうか、もう夏休みも終わるのか...
「まだ暑いのに、休みが終わるだけで夏が終わる気分になるよね〜」
足利さんもしみじみとしている。
「2学期は、文化祭とか修学旅行とかイベントが盛り沢山だから思いっきり楽しもうね!私も学級委員としてみんなを導くから!」
京極さんが堂々と宣言する。
前も言った気がするけど、京極さんって学級委員だったんだよな。
俺たちは2学期の始業式の日に会う約束をして解散した。
〜夏希side〜
「帰ったみたいだね...」
私と細川さんはお兄ちゃんたちが解散するところを見届けた。
「これで先輩方も距離が縮まっていくといいですね」
「細川さん、私たちも帰ろうか」
「そうですね、先輩方にバレないように違う道で行きましょう」
こうして、私たちの作戦は無事に成功したのだった。




