第48話 肝試し2
〜幸晴side〜
俺たちは心霊スポットを目指して歩いていく。一本道なので迷う心配はないと思うが、風の音以外何も聞こえてこないのが逆に不気味だった。
「ねえ、前田君ってもし幽霊が出てきたらどんな話してみたいと思ってる?」
京極さんがすごいことを聞いてくる。
「ちょっと待て、何で幽霊と会話すること前提なんだよ」
「ほら、幽霊だってお話ししたいと思ってるだろうから何か話題とか用意しておいた方がいいかなって思ったの!」
「ええ...」
俺は京極さんの発言に困惑してしまう。
「私だったらね、先祖の主君である北条高時に会って『北条さんって結局平氏のどこ系の家だったの?』って聞いてみたいと思ってるよ」
京極さんはすごく楽しそうだった。だが、俺には何の話をしているのか全くわからなかった。
「前田君、今の話は北条一族の先祖の系図が不明瞭になっていて、真相を確かめたいっていう意味だと思うよ〜」
足利さんが横から助け舟を出してくれた。
「ありがとう足利さん、今の補足が無かったらマジで何もわからなかったわ」
「ねえ、そういう話してたら本当に出てきちゃいそうじゃない...?」
玲那が少し不安そうにしながら言った。本来はこういう反応が普通なんだけどなぁ...
そう思っていると、俺の目の前に突然蜘蛛が降りてきた。
「うわああぁぁぁあああ!!?」
「ゆっきー!?」
俺はびっくりして思わず隣にいた玲那に抱きついてしまった。玲那の温もりが俺に安心感を与えてくれる。
「もーただの蜘蛛じゃん、驚きすぎでしょ」
京極さんはそう言いながらぶら下がってる蜘蛛を手で弾いた。強いな。
「京極さんは平気なのか?」
「うん、だって今私は幽霊と会いたい気分だからさ、邪魔されたら排除するしかないでしょ?」
「そこまでして心霊スポットへ行きたいのか...」
「あの、ゆっきー...そろそろいいかな?」
玲那は顔を赤くしながら言っていた。
「えっ?ああ悪い!」
俺はすぐに玲那から離れた。
「まあゆっきー相手だからいいけどね...」
玲那は恥ずかしさと嬉しさが混ざったような表情をしていた。
「...むぅ〜」
そこへいつものように足利さんからの視線が俺に突き刺さった。
「前田君、怖かったら私にくっついてもいいんだよ?」
足利さんが両手を広げて言う。
「え?でも...足利さんに手出したらこの前の夏祭りみたいにとんでもない目に遭うんじゃないのか?」
「そうだよ、この前の人は足利家に危害を加えようとしたからあんな目にあったんだよ」
京極さんが続けて話した。
「1569年に本圀寺の変っていう事件があるんだけど、その時に足利将軍に手を出した人が明智光秀によって刺されちゃったの」
「え?明智光秀!?」
超有名人の名前が出てきて少し驚いた。本能寺の変を起こしたことしか知らないけど。
「手を出すっていっても、前田君なら滅ぼそうとはしてこないって信じてるからね」
足利さんが俺の肩に手を乗せて言ってきた。
「いや俺にそんな力無いから」
「みんな、そろそろ進まない...?」
玲那が呼びかける。
「そうだな、早く済ませよう」
俺たちは再び歩き出した。
〜夏希side〜
私たちは茂みの後ろでお兄ちゃんたちを追跡していた。
「うーん、京極先輩全然驚いてくれないね」
「あの人は合理主義者なので、心霊現象などは信じないと思います」
細川さんが別の案を考える。
「京極先輩は先頭を歩いているので、後ろの人たちに仕掛けがバレる可能性があります。なので京極先輩以外の3人を狙ってみてはどうでしょうか?」
「いいね、次はそれでいこうか」
まだ目的地に着くまで距離があるので、それまでに何とか仕掛けなくてはいけない。
「でも、こういうのも面白いですね」
細川さんは歩きながら言った。
「細川さんが笑ってる...」
「...?そんなに珍しいですか?」
「うん、細川さんっていつも硬いというか事務的な感じだから」
「私だって人間なんですから笑う時くらいありますよ」
笑ってる細川さんを見て私はお兄ちゃんにも見せてあげたいと思った。




