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第46話 夏祭り5

俺は沈黙したまま頭を抱える。その間も花火の明かりが俺たちを照らしていた。


「「「...」」」


3人とも、俺が答えるのを待ってくれていた。

俺は目を閉じて転校後のことを振り返った。



玲那は、俺が転校した日に最初に話しかけてくれた人だった。時々からかったりしてくることもあったけど、とても根がしっかりしてて生徒会にも逆らってしまうくらい強い子だ。見た目は派手だけど、料理上手でオシャレで女子力も高い。



京極さんは、転校初日に最初に質問してきた人だった。左に偏っていて過激な思想の持ち主ではあるが、歴史が苦手な俺に毎回話してる内容を教えてくれる丁寧な一面もある。舞や隆俊が話しかけてきた時も、突っかかれるくらい精神が強い。



足利さんは、最初会った時は名門のお嬢様でびっくりした。だが話してみると意外と気さくで慈悲深い性格だということがわかった。俺がいろいろやらかしてしまっても決して怒ったりせず、いつも俺のことを助けてくれていた。



みんながいなかったら、俺は今みたいな楽しい学園生活を送ることはできなかっただろう。3人のおかげで俺の灰色の人生に色がついた。

誰がいいかなんて正直すぐには導き出せない。


「ゆっきー...あんまり無理しなくて大丈夫だからね」


玲那が心配そうにしながら話しかける。


「ごめん、こんなこと言っちゃダメなのかもしれないけど...今すぐには決められないんだ」


俺は顔を上げて3人に伝える。


「みんなすごく魅力的だし、俺にはもったいないって考えちゃうんだ...」

「そっかー...じゃあこれからもアプローチし続けていいってことだね!」

「えっ?」


玲那から予想外の言葉が出てきた。


「ゆっきーが決めるまで、あーしは今まで通りやっていくから、これからもよろしくね!」


俺に向かって、玲那は堂々と宣言した。


「それなら私も姫川さんに負けないようにアプローチしていくよ〜」

「私も前田君にもっと共産主義に興味持ってもらえるように頑張るよ!」


玲那に続くように、足利さんと京極さんも俺にはっきり聞こえるように言った。

...京極さんだけ方向性が違うような気がするけど。


「みんな...こんな優柔不断な俺のために、本当にありがとう」


俺は改めてお礼を言った。


「いーよ、あーしたちも急に言っちゃったからね。でもゆっきー、さっきより嬉しそうにしてるね」

「そりゃあこんな綺麗でスタイル抜群な美少女3人に迫られたら嬉しいに決まってるだろ...」


自分で言ってて恥ずかしくなってきた。


「美少女だなんて嬉しいこと言ってくれるね〜」


足利さんも恥ずかしそうにしていた。


「もう暗くなってきたし、そろそろ帰らない?」

「そうだな、今日はもう帰って休みたいし」


京極さんの提案で、俺たちは帰宅することにした。打ち上がっている花火が俺たちのことを照らし続けていた。



〜帰り道〜


「今日も楽しかったねー」


京極さんが歩きながら言った。


「来週は肝試しに行くから、みんな忘れないようにね!」

「肝試しってどこに行くんだっけ?」

「えっとね、東勝寺跡に現地集合でそこからみんなで歩いてくよ」

「でも暗い中歩くのって怖くない?」


玲那が心配そうに言う。


「大丈夫だよ!まだ明るいうちに行く予定だし」


京極さんは平気そうだった。


「東勝寺って北条さんが建てた寺だったよね〜?」


足利さんが京極さんに聞いた。


「そうだよ!鎌倉幕府3代執権の北条泰時(ほうじょう やすとき)が建てた寺だよ。北条泰時は御成敗式目を制定した人で北条一族の中でも名君として有名だよ」


御成敗式目...なんとなく聞いたことがあるな。


「武士の間で初めてできた法律だったよね?」


どうやら玲那は知っていたみたいだ。


「その通り!後の建武式目や武家諸法度も参考にしている制度だよ。ちなみに建武式目と武家諸法度は、室町幕府と江戸幕府の基本法だよ」

「やっぱり京極さんって歴史詳しいよな」


俺は思わず感心してしまう。


「ゆっきー...これ中学で習ったやつだよ」

「マジかよ、全然覚えてなかったわ」


どうやら俺が歴史苦手なだけだったようだ。

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