第3話 出会い3
〜放課後〜
「ねぇ、ゆっきー今からどこかに遊びに行かない?」
「いいけど、どこに行くんだよ?」
「それはついてからのお楽しみだよ」
「わかった」
俺は玲那についていくとクレープ屋についた。
「ここのクレープすごく美味しんだよ」
「へぇ〜」
「店員さんいちごクレープください。ゆっきーは?」
「俺はチョコバナナクレープをください」
「こちらがいちごクレープとチョコバナナクレープです。」
店員さんがクレープを手渡した。
「「ありがとうございます」」
「あそこの公園のベンチで食べよっか?」
「そうだな」
二人でクレープを食べてると玲那がこちらを見つめていた。
「ゆっきー、ひと口ちょうだい。」
「え?俺のやつを?」
「...ダメ?」
玲那がこちらを上目遣いで見てきた。
「いいよ」
俺は赤面しながら言った。
「やったー♪ゆっきーやっさしい」
玲那がこちらに近づいて一口食べた。
「こっちも美味しい!」
「ゆっきーこっちも食べる?」
「俺は大丈夫」
玲那はニヤニヤして言った。
数分後、俺たちはクレープを食べ終えた。
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
二人は帰り道について分かれ道で別れた。
「ゆっきー、また明日ね」
「また明日」
二人とも自分の家に向かった。
家について夕飯を食べると疲れてたのかいつのまにか寝ていた。
それから二週間後。
〜教室〜
1時間目が始まる前の時間。
「前田君、ちょっといいかな?」
休み時間に京極さんが話しかけてきた。
「どうしたの、また思想ネタ?」
「いやいや違うよ!私ってそんなに思想ネタのイメージ強いの?」
「そりゃあ初対面の時の話題がアレだったし...」
出会っていきなり南北朝時代の話をしてきたからな。
「まあその話は置いといて、前田君って姫川さんと一緒に帰ってるよね。」
「ああ、そうだけど」
「やっぱり、姫川さんみたいな子が好きなの?」
「え!?いやそんなことは...向こうから声かけてくるだけだって」
「ふーん、仲良さそうに見えるけどね。姫川さんスタイルいいし、存在感あるもんね。」
「俺から見たら京極さんも存在感あると思うけどな。」
「え?本当に!?私の一族って蛍大名って呼ばれるくらい小さい家なんだけど...」
「蛍大名...?」
「うん、安土桃山時代にそう呼ばれてたんだよ。でも前田君の中で私のことが印象に残ってたみたいでよかったー」
「嬉しいのか...」
少なくとも初日の京極さんのインパクトは凄かったことは間違い無いだろう。
休み時間に廊下を歩いていると、黒髪ぱっつんの女の子がいた。どうやら道に迷っているようだった。俺はすぐに話しかけに行った。
「あのーもしかして迷ってる?よかったら道案内しようか?」
「え!?いいんですか?生徒会室に行きたいんですけど...」
「生徒会室はこっちだよ、ついてきて」
俺たちは生徒会室前に到着した。
「あの、ありがとうございます。その...名前聞いてもいいですか?」
「俺の名前は前田幸晴、2年生。君の名前は?」
「私は細川晴美といいます。1年生で生徒会の書記を担当しています。」
細川さんはとても丁寧な印象で、きっと育ちがいい子なんだろうなと思った。
その時、生徒会室のドアが開いた。
「あれ、前田君じゃ〜ん」
中から出てきたのは足利さんだった。
「足利さん?どうしてここに...」
「いや〜色々手伝ってほしいって言われてね〜、前田君はどうしたの?」
「俺は細川さんに道案内をしていたんだ。」
「足利先輩、手伝ってくれてありがとうございます!」
「いやいや〜いいってことよ〜。細川さんには先祖に助けてもらってるからね〜」
「先祖に?」
俺が疑問に思っていると、細川さんが説明してくれた。
「私と足利先輩は遠い親戚なんです。」
「え!?そうだったの?」
「そうだよ〜細川さんは室町幕府の管領を務めてた家柄でね、足利家の分家なんだよ〜」
「管領...?」
「幕府のナンバー2です。」
細川さんが補足してくれた。
「室町幕府には征夷大将軍の下に、三管領と四職がいるの〜。足利一門と有力守護大名で構成されていて、三管領が斯波さんと畠山さんと細川さん。四職が赤松さんと山名さんと一色さんと京極さんだよ〜」
「京極さんってそこに入ってたのか...」
どうりで最初に家柄のこと話してたんだな。
「細川さんの先祖が、私たち足利家のことを守るために自らの命を犠牲にしたことがあったの。」
足利さんは続けて話す。
「その人は足利家を守って敵から逃げるために隠れてたんだけど、敵軍に見つかって瓜一個と命を交換させられることになっちゃったんだよね。そして友達への最期の手紙を書いて首を刎ねられちゃったの。」
「その事件を知って、私は大切な仲間を犠牲にしたくないって考えるようになったんだ〜」
足利さんの顔つきが変わる。
「だから、細川さんや前田君がもし敵にやられそうになったら私が身代わりになるからね。私くらいの家柄の人の首ならきっと価値があるから。」
俺は、真剣にこちらを見つめる足利さんを見てカッコいいと思った。だけど...
「いや、そんな状況あり得ないでしょ...」
「足利先輩はもっと命を大事にしてください。」
「あれ?いいこと言えたと思ったんだけどな〜」
その後、俺は足利さんを連れて教室へ戻った。
俺が足利さんと教室のドアを開けると玲那が友達と喋っていた。
「そういえば、玲那最近となりの前田と仲がいいよな」
「そうかな」
「ウチもそう思う」
「アタシからしたら珍しいと思うぞ。もしかして、好きなのか?」
「そんなんじゃないよ」
「じゃあ、どうしてあそこまでやってるんだ?」
「ただなんとなく、ほっとけなくてね」
俺は3人が話しているところに近づいた。
「ゆっきーどこに行ってたの?」
「迷子になった後輩がいたから送り届けていた。」
「ヘェ〜そうなんだ」
「そういえばこの二人は?」
「銀髪の方が小林愛梨」
「よろしく〜」
「それでこっちのオレンジ髪の方が川口瑠璃」
「よろしく」
「えっと...俺は前田幸晴よろしく。」
すると、チャイムが鳴った。
「じゃあ、アタシ達席に戻るわ」
「オーケー、またあとでね」
「ゆっきー今日あーし瑠璃達と帰るけどいいかな?」
「了解」
6限目の終わりのチャイムがなった。
「ゆっきーまた明日ね」
「今日は一人で帰るか」
「なら今日は俺と一緒に帰ろうぜ幸晴」
「神崎か。いいよ一緒に帰ろうか」
「そうこなくちゃ」
俺は神崎と一緒に帰ることにした。
帰り道はたわいもない話で盛り上がり分かれ道で別れて帰った。
「今日も何ごともなく終わったな。疲れたしもう寝るか。」
この日はすぐに寝つくことができた。
登場人物紹介
細川晴美
主人公の後輩。生徒会に所属している。