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第28話 海水浴7

お昼になり、俺たちは昼食を食べることにした。拠点に戻った俺たちは各自用意してきた弁当を取り出す。


「さっきの波はすごかったね!全てを飲み込む勢いだったよ」


京極さんが先程のことを話題に出す。今更だが京極さんはあれを受けてよく無事だったな。


「あーし達が移動した途端襲いかかってきたよね」

「あれはきっとこの由比ヶ浜に沈められて溺死した人の怨念だと思うんだよね」


京極さんが怪談じみた話をしてくる。


「一体誰が沈めたんだ?」

「さっき話題に出した源頼朝だよ。頼朝が1185年に平家を滅ぼした後、弟の義経と対立を起こして、義経の息子をこの由比ヶ浜に沈めちゃったんだよね。義経本人は東北まで逃げるんだけど、逃亡先にいた奥州藤原氏に滅ぼされちゃったの。奥州藤原氏は1190年に頼朝によって消されたよ。この東北攻めで、頼朝の天下は確固たるものになったの」


京極さんが丁寧に解説をする。まさかここにきて頼朝は冷たいという話につなげてくると思わなかった。


「何で頼朝ってそんな酷いことしちゃうの?」


玲那が質問する。


「自分に反対する勢力が義経の息子を擁立する可能性があったからだよ。身内ほど信用できない存在だから滅ぼさなきゃいけなかったの」

「沈められた本人は何もしてないのにね...」

「さっきの波は足利さんを狙ってたんじゃないかな?足利さんだけハプニングが起こったのは頼朝と同じ清和源氏だからだと思うの」

「いやあれは俺のせいだから...」

「......」


足利さんは顔を真っ赤にさせて下を向いている。やはりさっきのことを引きずっているのだろう。


「ねえゆっきー、せっかくだからおかず交換しない?」


玲那が話題を変える。


「ああ、いいけど...」

「はい、あーん」


玲那が箸を使って、唐揚げを俺の口元まで運んできた。

俺は玲那の箸を咥える。これって関節キスになっちゃうんじゃ...


「どう?美味しい?」

「うん、美味しいよ」

「前田君、すっごく嬉しそうな顔してるね」


京極さんが指摘してくる。

そりゃ『あーん』が嫌いな男はいないだろう。それに水着姿の金髪でポニーテールの巨乳ギャルにあーんしてもらえるなんて今後ないかもしれないからな。


「じゃあ私も分けてあげるね、はいあーん」


京極さんがスプーンで弁当の中にある炒飯をすくって差し出してくる。俺は間接キスになってしまうことにドキドキしながら頂いた。


「あー...んぐっ!?」


だが、京極さんが差し出した炒飯はお世辞にも美味しいとはいえなかった。味が全然しない...

「あれ?美味しくなかった?」

「いやそんなことないよ」

「そう?それならいいんだけど...」


俺は京極さんが差し出した炒飯の味を忘れるために、自分の分の昼飯を急いで食べた。



「はぁー美味しかったね、この後は何するの?」

「私はこれ使ってビーチバレーしたいと思ってるんだけど...」


玲那の問いに京極さんが答えた。京極さんはビーチボールを用意していた。


「お〜いいね、食後の運動にピッタリじゃない?」


足利さんも乗り気になっている。

4人だから2対2でやれそうだな。


「柵とかないけどどうやるんだ?」

「そうだね...地面に線引くだけでいいんじゃない?チーム分けはあみだくじで決めようよ」


京極さんが枝を使って線を引いていく。

そして、チーム分けの結果は俺、玲那vs足利さん、京極さんチームに決まったのだった。


「3回勝負で先に2点取った方が勝ちね。負けたチームは勝ったチームにジュース奢るってことでどう?」


京極さんがルール説明をする。


「いいよ!京極さんには負けないからね!」

「私だって姫川さんには勝ちたいもん。姫川さんは敵だから」


玲那と京極さんがバチバチに火花を散らしている。ていうか敵って何だ?


「足利さん、どうして京極さんは玲那を敵視しているんだ?」

「それはね〜2人は全然違う派閥に属してるからだよ。長くなるから省くけど、私たちが水着買いに行った時に色々あったんだよね〜」

「そうだったのか」


いつのまにか一緒に買い物行くようになってたんだな。


「その時は大丈夫だったのか?」

「うん、2人とも今日という日を楽しみたいという気持ちは同じだからね〜」

「まあ、今日は特別な日だもんな...」


そして、両チームがそれぞれ線の前に立って試合が始まった。

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