表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/100

第2話 出会い2

玲那と帰っていると、2つの道に分かれた。


「玲那の家はどっちだ?」

「あーしはこっち。」


玲那は右の道を指差した。


「じゃあここまでだな。俺はこっちだから」


俺は左を指差した。


「そうみたいだね...ゆっきー。明日ここで待ち合わせして一緒に学校行かない?」

「いいよ。一緒に行こうか。」

「じゃあ、明日7時半にここに集合ね。」

「りょーかい」

「また明日ね」

「おう、また明日」


俺は家の方へ向かった。


「ただいま」

「おかえり幸晴」

「母さん、ただいま」


夕食を食べ終わったら俺は部屋の中でくつろいでいた。そこへ夏希が部屋に入って話しかけてきた。


「お兄ちゃん、今日一緒に帰ってた人って誰なの?」

「なんだ見てたのか」

「うん」

「席がとなりの姫川玲那だよ、仲良くなったから一緒に帰ってた。」

「ふーん。珍しいね」

「そうだな。結構話しやすい子かも」

「よかったじゃん、じゃあ私寝るね。おやすみ。」

「ああ、おやすみ」


俺もそろそろ寝るか。

こうして、俺の転校生活初日が終わった。


翌日。


「お兄ちゃん、朝だよー!」


夏希がいつものように起こしにくる。


「わかったから毎回乗らなくていいって」

「え?お兄ちゃんってこれが好きなんじゃなかったの?毎朝私の太ももの感触を味わうことができて嬉しいでしょ?」

「いや違うから!ってこんなやりとりしてる場合じゃない!」


俺は急いで朝の支度を済ませて家を出た。


「ゆっきーおはよー」

「玲那、おはよう」


俺たちは昨日約束した場所に集合した。


「ゆっきー、もう学校には慣れてきた?」

「いや、まだ校舎の中とか全然わかってないよ。」

「ならあーしが案内してあげる。早めに覚えておけば移動教室とか迷わずに済むでしょ?」

「それは助かるよ。じゃあいつにしようか?」

「今日の昼休みでいい?」

「いいよ」


玲那と色々話している間に学校に到着した。


〜教室〜

教室に入って席に着くと、後ろの席に座ってる男の子に声をかけられた。


「前田君...だっけ?昨日は色々話しかけられていたな」

「そうだけど君は?」

「俺の名前は神崎拓人(かんざきたくと)だ。よろしくな」

「よろしく」


俺は神崎と握手をした。

その後、京極さんが話しかけてきた。


「前田君、昨日はいきなり南北朝正統論の話振っちゃってごめんね。私、思想強めなのは自覚してるんだけど止まらなくなっちゃうことがあるの。」

「え、いや、別に謝らなくていいって」

「皇室ネタは今後控えるから、これからもよろしくね。」

「よろしくね、京極さん」

「はあ〜よかった、ドン引きされてなくて」


京極さんの表情が一気に明るくなる。この人、黙ってれば可愛いんだけどなぁ。


「よかったね〜京極さん」


いつの間にか隣にいた足利さんが安堵しながら言った。


「前田君、よかったら私たちと連絡先交換しない?」


今度は足利さんが俺に話しかけてきた。


「いいけど、急にどうして?」

「前田君は私の家柄を聞いても普通に接してくれたからね〜。足利家って聞いただけで一歩引いた態度を取る人が多いから。」


正直、俺は足利家のことは教科書に載っていることしか知らないから偏見とかは持ちようがなかった。


「だから、前田君とは仲良くなれそうだと思ったんだよ〜」

「そうだったのか、俺は歴史には詳しくないけどこれからよろしくね足利さん」


こうして俺は2人と連絡先を交換した。


「ゆっきーモテモテだねー」


隣の席の玲那が俺をいじってくる。


「いや別にモテてるとは違うと思うけど...」

「ねぇねぇ、ゆっきーってどんな女の子が好みなの?」

「そういう話題はちょっと恥ずかしいんだが...」

「あっ性癖とかでもいいよ」

「もっと恥ずかしいわ!」


この後も俺は玲那にからかわれた。転校して2日目にして3人の女の子と連絡先を交換するなんて、めちゃくちゃリア充なんじゃないかと思った。


昼休みになり、俺は早速玲那に校内を案内してもらうことにした。

玲那と2人きりでいるところをクラスメイトに見られるのは少し気まずかったが、今更そんなことを気にしても仕方がないと思い割り切った。


「ゆっきーどこ行きたい?」

「そうだな……とりあえず理科室に行ってみたいかな。」

「おっけー、じゃあ行こっか!」


玲那が俺の手を引いて歩き出す。


「ちょっ、手握らないで!?」

「え?ダメなの?」

「ダメじゃないけど周りの目もあるしなんか恥ずかしいというか」

「ふーん、ゆっきー意外とウブなんだね」

「う、うるさい、早く行くぞ」

「はいはい、わかりましたよー」


出会ってから度々思うんだが、この子距離感バグってないか...?


「ここが理科室でーす」

「へぇ、結構広いんだな」

「じゃあ次は体育館に行くよー」

「お、おう」


俺たちはまた手を繋いで歩いた。


「ゆっきーって身長何センチ?」

「175cmだけど」

「うわー、高すぎ。あーしは160くらいしかないからさ、ゆっきー羨ましいなー」

「そうかな」

「そうだよ!身長が高い分、いっぱい景色が見れるじゃん?あ、じゃあさじゃあさ、あーしのこと抱っこしてよ」

「はぁ?」

「いーじゃん!お願いお願いお願い!」

「ええ⋯わ、わかったよ⋯」


圧に屈して俺は仕方なく玲那を持ち上げようとした。しかし...


「おい、これどうやって持つんだよ」

「お姫様抱っこだよ」

「マジか……」

「ほら、早くやって」

「わかったから急かすなって」


俺は玲那をお姫様抱っこした。


「うわ、ゆっきー力持ちだね」

「そ、そりゃあ男だからな、てかお前軽いな」

「えへへ、ありがと♪」

「よし、下ろすぞ」

「待って、もうちょっとこのままがいい」

「しょうがないな⋯⋯」


結局、俺は玲那を下ろしたのは5分後のことだった。


「ゆっきー次どこ行きたい?」

「そうだな……音楽室行ってみたいな」

「おっけー」


俺たちは再び手を繋ぎながら歩いていた。


「そういえば玲那ってなんで俺にこんな優しくするんだ?」


俺は前から思っていた疑問をぶつけた。


「だってゆっきー面白いもん」

「それだけなのか?」

「うん、それだけ」

「変なやつだな」

「ゆっきーもね」

「はぁ?」

「冗談冗談」


その後も俺は玲那に校内を案内された。


「ゆっきーは部活入る予定はあるの?」

「今のところはないな」

「じゃあ放課後暇なんだね?」

「まあ、そうなるかな」

「ならさ、また一緒に帰ろ?」

「いいけど」

「やったー!」


玲那が俺に抱きついてきた。玲那の柔らかい胸の感触がシャツ越しに伝わってくる。


「ちょっ、だからそういうのやめてくれ!」

「えー、嫌なの?」

「いやそういうわけじゃないけど……」

「じゃあいいじゃん!」

「いやでも周りからの視線が痛くて……」

「そんなの気にしないでよ〜」

「わ、わかったから離れてくれ……」


こうして俺は玲那に校内を一通り案内され、昼休みが終わった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ