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第19話 体育祭6

〜教室〜


イスを戻し終えると、みんな疲れていたのか帰りの会が終わった途端一斉に帰宅していった。


「じゃあな幸晴、あんまり落ち込むなよ」


拓人が荷物を持って教室を出た。


「前田君、また明日!」


京極さんもすぐに帰っていった。

俺も帰ろうと思ったが、細川さんとの約束があったことを思い出して再びグラウンドへ向かった。


〜放課後 グラウンド〜


俺がグラウンドに着くと、既に後片付けが始まっていた。


「悪い、少し遅れた」

「大丈夫だよ〜私たちも来たばっかりだし」

「先輩方は昨日運んだイスを元の場所に戻してください」


既に到着していた足利さんと俺に細川さんが指示を出す。


「細川さん、私は何すればいいの?」


別方向から駆けつけた夏希が細川さんに聞く。そういえば昨日手伝うって言ってたな。


「夏希さんはテントの片付けを手伝ってください」

「了解!」


夏希と細川さんは本部のテントを撤去しに向かった。


「前田君、これで最後だから頑張ろうね〜」

「そうだな」


俺と足利さんはイスを持って体育倉庫へ運んでいった。


〜夏希side〜


私はテントを畳みながら、細川さんに質問した。


「ねえ細川さん、今日のお兄ちゃん見てて何か変わったとことかあった?」

「いえ、特にないと思いますが...」


うーん、進展なしか...

私は進展を促すために、とある作戦を思いついた。


「細川さん、ちょっと協力してほしいことがあるんだけど...」


私は細川さんに作戦の内容を話す。


「...協力するのはいいですけど、その作戦は本当に成功するのですか?」

「大丈夫、やってみる価値はあると思うから!」


私と細川さんは、テントを片付けてから作戦を実行した。


〜幸晴side〜


「よし、これで最後だな」


俺たちはイスをすべて体育倉庫の中にしまった。


「疲れたね〜」


これでやっと帰れる...そう思った俺は体育倉庫の扉を開けようとした...が


「あれ?開かない!閉められてる?」


何と入り口が閉まっていて出られなくなっていた。


「誰かが片付け終わったと思って閉めちゃったみたいだね〜」

「誰かいませんかー!」


俺は近くに人がいると思って叫びながら扉を叩いたが、反応はなかった。携帯は持ってきてないし、他に助けを求める手段もない。


「これはまずいね〜。護良親王(もりよししんのう)早良親王(さわらしんのう)源頼家(みなもとの よりいえ)と同じ状況になってるね」


俺とは対照的に足利さんはあまり動揺していなかった。


「誰だよその人たちは...」

「護良親王はね、後醍醐天皇の皇子で鎌倉幕府を倒すために全国の武家に令旨を配っていた人だよ。倒幕を成し遂げた後は、尊氏公と征夷大将軍職を巡って争うことになるんだけど、後醍醐帝に見放されてこの鎌倉の地に幽閉されたの。その後北条一族率いる幕府の残党が護良親王を擁立しようとしたから、それを防ぐために足利直義(尊氏の弟)が『あなたには今から死んでもらいます』って言って抹殺したんだよ」


そんな人がいたのか...


「もしかしたらこの状況は護良親王の呪いかもしれないよ。足利家に恨みを抱いて亡くなってるし、護良親王を消し去った直義は原因不明の謎の死を遂げちゃったからね〜」

「怖いこと言わないでくれ...」

「早良親王は桓武天皇の弟で、平城京から長岡京に遷都することになった時に反対派に擁立されて捕まって幽閉されて餓死した人だよ。その後桓武天皇の親族が次々と謎の死を遂げていったことで怨霊になったと噂されるようになったよ〜」

「長岡京?平安京じゃないのか?」


平安京の前って平城京だった気がする。


「実は平城京から平安京に移動する間に長岡京が首都だった時代があったんだよ〜」


知らなかった...


「源頼家は源頼朝の息子で鎌倉幕府2代将軍だよ。頼朝の死後将軍職を継ぐんだけど、僅か3ヶ月で13人の御家人たち

(北条時政(ほうじょう ときまさ)

北条義時(ほうじょう よしとき)

梶原景時(かじわら かげとき)

比企能員(ひき よしかず、

大江広元(おおえの ひろもと)

和田義盛(わだ よしもり)

足立遠元(あだち とおもと)

三浦義澄(みうら よしずみ)

安達盛長(あだち もりなが)

八田知家(はった ともいえ)

中原親能(なかはら ちかよし)

二階堂行政(にかいどう ゆきまさ)

三善康信(みよし やすのぶ))によって実権を剥奪されちゃったんだよね。頼家の親政を防ぎたかった北条さん率いる御家人たちは、頼家を幽閉してすぐに抹殺したよ。その時頼家はめちゃくちゃ暴れたから、紐で首絞めてから刺したらしいよ」

「ヒエッ...」


壮絶な最期に一瞬だけ悪寒が走った。


「頼家には4人の息子がいたんだけど、長男は北条義時に燃やされて次男と三男と四男は義時によって斬首されたよ。現在頼朝の子孫の(みなもと)さんがいないのは義時が全部消したのが原因なんだよね」


義時は源氏に何の恨みがあったんだろうか。


「もちろん義時に対して他の御家人たちは反発してたよ。でも梶原さんも比企さんも和田さんもみんな義時によって一族全員抹殺されちゃったんだよね。それを見てやりすぎだと思った後鳥羽上皇が義時追討の院宣を出すんだけど、義時はすぐに朝廷に対して反乱を起こして、後鳥羽上皇を隠岐島へ流して上皇に協力した貴族たちもほとんど消されたよ」


なんかとんでもない人を知ってしまった気がする。無慈悲というか人の心がないというか。


「ちなみに義時は足利家と婚姻関係を結んでいるから、私の先祖でもあるんだよね」


ということは足利さんは義時の血筋も受け継いでいるのか。


「あの...足利さんは粛清とかしてこないよね?」

「大丈夫だよ〜、私には権力はないけど、前田君のことは守りたいって思ってるし」

「...それなら大丈夫か」

「あれ?その顔はまだ信じきれてない感じだね〜、顔が引きつってるよ?」


正直俺は、先ほどの話と今の状況のせいで恐怖心を抱いていた。


「前田君、今から安心させてあげるからちょっとじっとしててね〜」


足利さんが正面から俺を抱きしめてきた。足利さんの豊満な胸が押しつけられる。


「足利さん!?」

「私は本気で前田君のことを守りたいって思ってるんだよ。前田君はさ、私が足利家の人だって聞いても普通に接してくれてたでしょ?大抵の人は家柄を知った途端、距離を置いちゃうんだよね。ひどい時は逆賊の子孫だって言われることもあった。先祖が悪いって言って墓まで破壊する人もいた。周りから腫れ物扱いされてすごく悔しかったけど、私にはどうすることもできなかった。でも前田君は違った。校則を変えることに協力してくれたし、今日だって私のことを女の子扱いしてくれたでしょ?」

「足利さん...」

「だから信じてくれる?」


足利さんが慈愛に満ちた目で見つめてくる。

俺は静かに頷いた。


「ていうか暑いな...」


俺はあたりを見ると上の方に窓があることに気づいた。


「あの窓さえ開けられれば、脱出できそうなんだけど...」

「前田君、私のこと肩車してみて。ちょっと届くかどうか確かめたいから」

「わ、わかったよ...」


俺は足利さんを肩車して窓に近づいた。俺の両肩に足利さんの柔らかい太ももが乗っていて心地よかった。


「届きそうか?」

「う〜ん、ちょっと無理そうかな〜」


足利さんが手を伸ばしても、窓には届かなかった。


「窓からは出られそうにないな...」


俺は足利さんを下ろした。


「万事休すだ...うっ...」


俺は暑さでふらついてしまう。


「前田君、大丈夫!?」


足利さんが俺の体を支えた。


「ごめん、一旦横になっていいか?」

「なら私が膝枕してあげるよ」


足利さんにマットの上で正座してもらい、俺は足利さんの太ももに頭を乗せた。


「しばらくこうしてあげるね〜」


足利さんは俺の頭を優しく撫でてくれた。


「足利さん、ありがとう...」

「あとは風を送りたいけど...そうだ、うんしょっと」

足利さんは正座したまま体操服を脱いだ。体操服を脱いだ瞬間、足利さんの水色のブラに包まれた胸がぶるんっと揺れた。


「これであおいであげるね〜」


足利さんは体操服をあおいで俺に風を送ってくれた。


「どう、涼しい?」

「ありがとうございます...」


足利さんのブラに包まれた胸を見て、俺は心から感謝した。

閉じ込められて何分経ったのだろうか。時計がないから時間もわからなかった。本当にこのまま終わるのか...?


ガチャン


その時扉が開く音がした。


「お2人とも大丈夫ですか!?」


扉を開けたのは細川さんだった。


「細川さん!よかった、マジで助かったわ」

「あの...お2人はどうしてそのような状況になっているのですか?」

「「あっ...」」


細川さんに指摘されて、俺たちはすぐに離れたが、また新たな誤解を生んでしまいそうな状況だ。


「細川さん、誤解だよ〜...いっ!?」


足利さんは立ち上がってよろけてしまう。正座で足が痺れてしまったのだろう。


「足利さん危ない!」


俺はふらついたまま動いてしまい、バランスを崩してしまった。そして足利さんのブルマを掴んでずり下げてしまった。


「!!??」


ブルマが脱げたことで、足利さんの水色のパンツが晒された。俺は下着姿になった足利さんを目に焼き付けていた。


「ちょっと前田君!?」


足利さんは顔を真っ赤にさせていた。


「ご、ごめんなさい」


足利さんはすぐにブルマを履いて体操服を着た。


「...前田先輩は女の子の下着姿を堪能することによって、安らぎを得たかったのですね」

「どうやったらそういう解釈になるんだよ...」


俺たちはすぐに体育倉庫から出た。長いこと閉じ込められていたと思っていたが、実際には15分ほどしか経っていなかった。


「いや〜天はまだ私たちを見捨ててなかったんだね〜」

「すみません、もっと早く気がついていればよかったのですが...」

「細川さんのせいじゃないよ。もう夕方だし、早く帰ったほうがいいな」

「私は他の場所も確認する必要があるので先に行きますね」


細川さんはその場から立ち去っていった。


「私たちも帰ろうか、早く着替えたいし」


足利さんが着ていた体操服で汗を拭った。俺はすぐに顔を逸らした。なぜなら体操服がめくれたことで、下着が見えてしまっていたからだ。


「どうしたの?」

「ちょっと足利さん!見えてるって!」


「えっ...っっっ!?」


足利さんは急いで体操服を下げた。羞恥心で顔が真っ赤になっている。


「ごめん、また見苦しいものを見せちゃったね...」


気まずい空気になる。こういう時、何ていうのが正解なんだろうか。


「そんなことないよ、むしろ冥福だよ」


俺は正直に答えることにした。


「本当に?」

「うん、生きる希望になったし、借り物競走のときに押しつけられた時も...極上の感触だったから」


少なくとも、今の光景も目に焼き付けておかなければいけないと思った。


「そんなに嬉しかったの!?...でも前田君がさっきより元気になってくれて良かったよ〜」


俺たちはグラウンドを出てようやく帰宅した。これで長かった体育祭も終わったのだった。


〜夏希side〜


私は一足先に学校から出て、細川さんから状況を聞くことにした。


『細川さん、お兄ちゃんたちどうなってた?』


メッセージを送ると、すぐに返信がきた。


『以前よりも仲良くなっていました』


おっいいね!順調に進展してる!

私の倉庫の鍵を閉めて危機的状況を産み出す作戦は上手い方向に作用したみたいだ。


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