第15話 体育祭2
〜放課後 グラウンド〜
1週間後、俺は細川さんの手伝いをする為に倉庫まで来た。もう放課後だが5月中旬なので結構暑い。
「お待たせ〜」
少し遅れて足利さんもやってきた。足利さんは体操服を着ていた。ぴっちりとした体操服をきているので制服よりも体のラインがよくわかるようになっている。
「何で体操服なんだ?」
「この方が動きやすいと思ってね〜」
「すいません、遅れました」
細川さんも走ってくる。
「!?」
「前田先輩?何を驚いているのですか?」
俺は驚きを隠せなかった。なぜなら細川さんも体操服を着ていたからである。細川さんの普段隠されている太ももが夕陽に反射してとても眩しく輝いていた。視線を上げると細川さんの胸が体操服を押し上げていて、引き締まったお腹が見えている。清楚系な人が体操服を着ると非常にギャップが大きくなることを実感した。
「いや、細川さんの体操服姿に視線が引き寄せられたんだ」
俺は正直に答えた。
「そうですか、前田先輩は体操服が好きなのですね」
俺が細川さんを見つめていると、足利さんからの視線が刺さった。
「むぅ〜」
振り返ると、足利さんがジト目になってこちらを見ていることに気づく。
「あのー、足利さん?」
「前田君はそんなに清楚系がいいの?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど...」
もしかして妬いてるのか?
「細川さんは清楚系な上に可愛いもんね〜。真面目でしっかり者だし」
「ちょっと足利先輩!?急に何を言ってるんですか!?」
細川さんが顔を赤くして恥ずかしがっている。
「細川家にはいつもお世話になってるからね、特に高一族亡き後はずっと私の家を支えてきてくれたし」
高一族とはおそらくゴールデンウィークの時に京極さんが話してた人たちのことを指しているのだろう。
「私の家の話はいいので、先輩方はこの倉庫の中にあるイスを運んでください」
こうして、俺たちは本部で使うイスを運ぶことになった。
イスを運んでいる途中で、俺は足利さんに弁明することにした。
「足利さん、さっきは本当にごめん。俺、体操服があんなに刺激的だとは思わなかったんだ」
「別にそこまで怒ってる訳じゃないよ〜」
よかった、足利さんが慈悲深いおかげで助かった。
「前田君も男の子だし、見てしまうのは仕方のないことだよね〜。私の先祖の友達(兼好法師)もつい見てしまうって言ってたし。でも...」
「でも...?」
「私のことも見てほしかったな〜」
足利さんは少し恥ずかしがりそうにしながら言った。俺はもっと足利さんの体操服姿も見つめなければいけないと思った。
俺は罪滅ぼしとして、足利さんに提案をした。
「足利さん、俺...体育祭が終わったら片付けも手伝うよ」
「本当に!?それは嬉しいけど、無理しないでね?」
「ああ、大丈夫だよ。足利さんの体操服姿でモチベを保つから」
「前田君...ありがとうね」
その後、俺たちは作業を終えて倉庫に戻った。
「お疲れ様です、今日は本当にありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
細川さんからご丁寧にお礼を言われる。そんなに大したことした訳じゃないんだけどな。
「前田君、明日も頑張ろうね〜」
俺は明日も2人の体操服姿を見られることを楽しみにしながら帰宅した。
〜自宅〜
「ただいまー」
家に着くと、妹の夏希が出迎えてくれた。
「お兄ちゃんおかえり。細川さんから聞いたんだけど、体育祭の準備してたんだって?」
「そうだけど...」
俺は嫌な予感がした。
「準備を手伝ったのはいいけど、足利先輩と一悶着あったみたいだね」
やはり夏希は細川さんから今日のことを吹き込まれていたようだ。
「確かに一悶着あったけど、今はもう解決してるからな」
「お兄ちゃんはもうちょっと女心が理解できるようになった方がいいよ?それに足利先輩が機嫌損ねたりしたら大変なことになりそうだし」
足利さんが怒るとこなんて想像できないんだが...
「明日は私も手伝ってあげるから、お兄ちゃんが足利先輩とのわだかまりが溶けるようにフォローしてあげるね」
そう言って夏希は自分の部屋へ戻っていった。今後細川さんと話すときは、全部夏希にも伝わることを意識しなくてはいけないと思った。
〜夜 自室〜
「ん?着信が来てる」
明日の体育祭に備えて早めに寝ようとした俺だったが、着信によって妨害されることになった。
「誰からだ?...うわ、京極さんだ」
俺は京極さんからの長文メッセージを読んだ。
『前田君、明日の体育祭頑張ろうね!
体育祭は絆の力が試されるから共産主義の人たちの思想を参考にするといいよ!
共産主義だけだとピンとこないと思うから具体的なエピソードも伝えるね。
1950年に発生した朝鮮戦争でアメリカと同じ資本主義を採用した李承晩(韓国)を倒す為に金日成(北朝鮮)がスターリン(ソ連)、毛沢東(中国)と結託してマッカーサー(アメリカ)と戦ったの。
だから私たちのクラスも20世紀の共産主義国みたいに結束力を発揮しようね!』
まずい、京極さんから俺が共産主義側の人間だと完全に誤解されている。
俺は誤解を解く方法も考えなくてはならないと感じたのだった。




