第13話 ゴールデンウィーク3
〜幸晴side〜
俺はお菓子と飲み物(お茶)を持って部屋に戻った。
「戻ってきたぞー」
「「...」」
何故か玲那と足利さんが互いに見つめあっている。
「一体何があったんだ?」
「なっ何でもないよ、ゆっきーの話を夏希ちゃんから聞いてたの」
「前田君は気にしなくていいからね〜」
「そこまで言うなら深く突っ込まないけどさ...」
もしかして、男である俺には言えない話なのか?
俺はお菓子を置いてから、自分がいた場所に戻った。
「前田君、お茶を持ってきたってことは今からみんなで闘茶でもするの?」
「...は?」
京極さんがよくわからないことを言ってくる。
「闘茶っていうのは、飲んだだけでそのお茶の産地を当てるゲームだよ!それを今からやるのかなーって思ったの」
「いややらないよ、今度はいつの時代の話なんだ?」
「前田君、今は700年くらい前の話をしてるんだよ〜」
足利さんがフォローしてくれた。でも700年前って言われてもピンとこない。
「私の先祖がよく高一族と闘茶やってたらしくてさー。高師直って人が強かったらしいよ。」
「高一族...?」
どうやら玲那も知らない人のようだ。
「私の家に代々仕えていた執事だよ〜」
足利さんが玲那に教える。
「さすが名門のお嬢様...」
「師直はね、めちゃくちゃ強かったんだよ。しかも私と同じで左に偏ってる人だし、合理主義者で忠臣で私の先祖とも仲良しだったの!」
「じゃあ今でも足利さんの家にその高一族がいるのか?そんな破天荒な人が側にいたら変な影響受けそうで危なそうだけど...」
「...」
俺が質問をすると足利さんは俯いてしまった。
「ちょっと前田君!なんてこと聞いてるの!?」
京極さんが驚いた顔で言う。俺は何か機嫌を損ねるようなことを言ってしまったようだ。
「高一族はね、もうこの世にはいないの!しかも危なそうって何?師直が足利家の為にどれだけ頑張ってきたのか知らないくせに!それに前田君北朝派なのになんで同じ北朝派の師直に対して否定的なこと言うの!?」
京極さんが衝撃の事実を伝えた。
「京極さん、あんまり責めちゃダメだよ。前田君、私は気にしてないからね?」
足利さんが俺を見つめながら言ってくる。これは良くない流れだな...
「ねーそんな風に言ったらゆっきーかわいそうでしょ?」
玲那が俺を庇うように言った。
「ゆっきー、あーしはゆっきーの味方だからね?辛いこととかあったら、いつでもあーしに話してね?」
玲那は優しい声で語りかける。こう言う事態で肯定的なことを言ってくれるのはすごく助かる。
「もっと前田君を左に持っていけたらいいんだけどなー」
京極さんが小さく呟く。一体何を企んでるのだろうか。
「京極さん、あーしからも言うけどみんなそれぞれ違う考え方があるんだからゆっきーに思想を押し付けるのはやめてね?」
「うっ...ごめんなさい」
京極さんが急にしおらしくなる。この人、表情がコロコロ変わって忙しいな。
「とりあえず、お菓子食べよ〜?」
足利さんが仲裁に入ったことで、空気の悪化を免れることができた。ちなみに夏希はこの一部始終をずっと観察していた。
その後は特に衝突は発生することはなく、3人が帰る時間になった。
「じゃあね前田君!楽しかったよー!」
京極さんが笑顔で手を振る。笑うと可愛いんだけどな...
「お邪魔しました。前田君、今後もよろしくね〜」
足利さんが深くお辞儀をする。やはり名門出身だからか、動きが滑らかだ。
「ゆっきー、またいつでも誘ってね!」
玲那が元気よく言った。
「また来てください、お兄ちゃんに何かあったらすぐ伝えますね」
「いや何かって何が起こるんだよ...」
夏希がよくわからないことを言って今回の集まりは幕を下ろした。
「いやーお兄ちゃんモテモテだったね!」
「どこを見たらそうなるんだよ」
途中変な流れだったと思うんだが。
「お兄ちゃんにちゃんと友達がいて、私も嬉しいよ」
そういえば、みんなを呼んだのは俺がぼっちじゃないことを証明する為だったな。
俺は途中からそのことが抜け落ちていたような気がした。




