第12話 ゴールデンウィーク2
〜幸晴side〜
5月3日になり、俺は部屋の片付けをしていた。京極さんへの返答も決まったし、前回と違ってちゃんと対策できているはずだ。
俺がそう考えていると、自宅のチャイムが鳴った。ついに三人が来たみたいだ。
「私が開けるねー」
夏希が玄関のドアを開ける。俺もすぐに出迎えにいった。
「ゆっきー、来たよー」
「お邪魔します〜」
「ここが前田君の領国なんだね」
「...っ!!」
玲那たちを見た瞬間、夏希は目を見開いて驚いていた。
「お兄ちゃん、みんなレベル高すぎじゃない!?っていうか本当に友達いたんだね!」
夏希のやつ、マジで俺が友達いないと思ってたのか?あと京極さん、領国って言い方おかしいだろ...
「だからぼっちじゃないって言っただろ...まあいいや、俺の部屋は2階だから案内するよ」
俺は三人を自室に案内した。
〜自室〜
「ここがお兄ちゃんの部屋でーす」
「へー、ゆっきーの部屋意外と片付いてるじゃん」
玲那が辺りを見回しながら言う。
「そりゃあみんなが来るんだから片付けるだろ」
「もしかして、見られたくないものも片付けたんじゃないの?」
京極さんが余計なことを言ってくる。
「おっと、前田君の秘密が明らかになる感じかな〜?」
足利さんも便乗してきた。
「あーしはゆっきーの性癖とか知りたいんだけど」
玲那まで興味を示してきた。これはよくない流れだ。
「何で性癖なんだよ...そういう系のは隠してないから探す必要ないって」
「ということは、前田君はそっち系に興味ないってことなの?それはそれで心配なんだけど...」
何故か京極さんが心配そうにこちらを見つめてくる。
「いや、ちゃんと興味あるから心配しなくても大丈夫だよ。それより夏希にみんなのこと紹介しなきゃな」
俺はこれ以上詮索されないように話題を変えた。
「じゃああーしから妹ちゃんに自己紹介するね!名前は姫川玲那、呼び方とかは何でもいいよー。夏希ちゃんだっけ?これからよろしくね!」
「は、はい!よろしくお願いします!」
夏希は玲那の出すギャルオーラに圧倒されていた。
「私の名前は足利由理、足利家の末裔だよ。よろしく〜」
「足利家ってあの有名な足利家ですか?」
「そうだよ〜」
「めちゃくちゃ偉い人じゃないですか!」
足利さんの出自に驚く夏希。俺も最初は驚いたんだよな...
「私が京極美紀だよ!宇多源氏佐々木流で、北朝派の思想強めな左翼なんだ!」
「...?」
「ちょっと待て京極さん、色々盛りすぎだって」
ツッコミ所が多すぎる。
「え?ここは別に盛ってないよ?」
京極さんは自身の胸に手を置きながら言った。
「そこじゃないって!自己紹介の方!」
俺は目を逸らしながら伝えた。
「前田君、私が北朝派でいつも思想強くて左に偏っていることくらい知ってるよね?だったら伝えなきゃダメだと思うの」
「初対面の人に言っても伝わらないだろ...」
「よくわからなかったけど、お兄ちゃんの周りってすごい人たちばっかりなんだね」
「まあいつも振り回されてるんだけどな」
「それで前田君は今日どっち派か答えてくれるんだよね?」
そうだった、京極さんはずっと俺の答えを待っていたんだった。
「俺は色々調べたけど、南朝派になることにしたよ」
「おー!ついに決めてくれたんだね!」
京極さんの表情が一気に明るくなった。
「それで、前田君はどうして南朝を選んだの?」
「漢民族である南朝は北朝に制圧されたけど、文化や風習は残り続けていたっていうのが理由かな。」
「お兄ちゃん何の話してるの?」
「実は京極さんとの間で色々あってだな...」
俺は京極さんとのやりとりを説明した。
「何だか難しいことばかり聞かれてたんだね」
「もう慣れてきてるけどな」
その時、夏希は何かを思い出したかのように話題を変えてきた。
「そういえばお兄ちゃんさ、今日来てくれた皆さんに何かおもてなしした方がいいんじゃないの?」
夏希から痛いところをつかれる。
「それもそうだな、下からお菓子取ってくるからちょっと待っててくれ。」
俺は一度自分の部屋から出ることになった。部屋の中のものが漁られていないか祈りつつ...
〜夏希side〜
私はお兄ちゃんが部屋から出た隙をついて、先輩方に質問することにした。
「あのー質問したいことがあるんですけど、皆さんはお兄ちゃんのことが気になってるんですか?」
「うん!気になってるよ!」
京極先輩が真っ先に答えた。
「「え!?」」
足利先輩と姫川先輩が驚いている。
「本当ですか!?」
「だって私が色んな質問してもちゃんと答えてくれるからね。それに私と同じ北朝派だからもっと仲良くなりたいって思ってるよ!」
なんか、思ってた返事と違うような気がする...
「え?でもお兄ちゃんはさっき南朝派って言ってましたけど...」
「あーそれは中国の魏晋南北朝時代の話ね。前田君は日本の南北朝時代で北朝派だったんだよ」
京極先輩は自信に満ちた表情で話してきた。私はこれ以上詮索するのは難しそうだと思った。
「あーしも気になってるかな。ゆっきーはあーしたちの為に校則変えてくれたからね。足利さんも気になってるよね?」
「う、うん...気になってるよ。私と普通に接してくれるから話しやすいんだよね〜」
おっこれはなかなかいい反応!ここはアドバイスしなくちゃ!
「お兄ちゃんには積極的にいけばいいと思いますよ!実はお兄ちゃんは過去にNTRされたことがあって、女性に不信感を抱いちゃってるみたいですよ」
「え〜そんなことがあったの?」
足利先輩が驚いている。
「だからあーしが手繋いだり抱きついたりしても反応薄かったのね」
姫川先輩が納得した様子で言った。
「じゃあ前田君に対して優しく接しなくちゃね〜」
「足利さん、私負けないからね。ゆっきーの閉ざされた心はあーしが開いてみせるから」
「私だって前田君の重い過去を塗り替えちゃうんだからね〜」
おー、お互いに対抗心を持ってぶつかっている!こういうのは見てて面白いんだよね。
「あ、あれ?二人とも急にどうしたの?」
京極先輩は困惑していた。私はこの人だけ周りと違う世界で生きているんじゃないかと思った。




