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第10話 選択

〜教室 休み時間〜


生徒会との交渉から2週間が経過した。色々あった4月もようやく終わろうとしていた。

校則が変更されたことで、みんなの服装も少しずつ変わっていった。


「幸晴...ここは楽園だと思わないか?」


後ろの席に座っている拓人が話しかけてきた。


「どうしたんだよ急に」

「いや、校則が変わったことと暖かくなってきたことが重なってミニスカ女子が増えただろ?俺たちはタダで太ももを拝むことができるようになったからな」

「確かに...ギャル以外の人たちもスカート短い子が増えているな」

「それに、この高校は靴下が自由だから色んな長さの子を見て楽しむこともできるぞ」


周りの女子を見ると靴下が膝上、膝下の子がいた。


「拓人って色々な視点で女子を見てるんだな」

「逆に幸晴がもっと興味持つべきだと思うんだよな」

「女子の太ももにか?」

「そうだ」


拓人はゆっくりと頷いた。その直後、俺は後ろから声をかけられた。


「前田君、ちょっといいかな?」


声をかけてきたのは京極さんだった。拓人と太ももの話をしていたせいで、俺の目線は京極さんのスカートと靴下の間に存在している絶対領域に吸い寄せられていた。


「俺に何の用だ?」

「前田君ってこの前北朝派だっていうことを私に言ってくれたよね?それで気になったことがあったんだけど、中国の南北朝時代も北朝派なの?」

「...え?何?中国?」


唐突な質問に俺はついていけなかった。


「そう!中国にも南北朝時代があって、そっちだとどっち派なのかな〜って思ったの」


ここはどう答えるのが正解なのだろうか...そうだ、この場にいる拓人に聞いてみよう。


「なあ、拓人はどう思って...」

「悪い幸晴、ちょっとトイレ行ってくるわ。京極さんの相手ができるのはお前だけだからな」

「おい置いてかないでくれよ!」


拓人はその場から立ち去ってしまった。きっと思想を押しつけられると思ったのだろう。

こんなことになるなら、あの時その場しのぎで北朝派なんて言わなければよかった。


「...?もしかして中国の方はあんまり詳しくないの?」


俺が悩んでいると京極さんは察してくれたようだ。


「実はそうなんだ。一体いつの時代の話をしてるんだ?」

「439年から589年までの話だよ?」

「いや西暦だけじゃ分かんないって...」


とりあえず大昔の話だということしか伝わってこなかった。


「そっか...一から話すと長くなるから、またあとで伝えるね」


そう言って京極さんは自分の席へ戻っていった。一体何だったんだろうか...


「ゆっきー大変そうだね」


今度は隣の席の玲那が声をかけた。玲那は短めの靴下を履いているので、広範囲の生脚を拝むことができる。


「玲那は今の話分かるのか?」

「うーん、京極さんほど詳しくないけど大まかな流れはわかるかな」


マジかよ...玲那って派手な見た目に反してちゃんと勉強してるんだな。


「2年から世界史始まるから、ゆっきーも予習しておいた方がいいと思うよ?」

「そうだな...」


その後は何事もなく時間が進み、放課後となった。


「前田君、ちょっと渡したいものがあるんだけど...」


俺が教室から出ようとすると、足利さんが声をかけてきた。


「どうしたんだ?」

「前田君の為に恩賞用意してきたから、これ受け取ってほしいの」


足利さんは俺に扇子を渡してきた。俺は扇子を開いて驚愕した。何故なら金銀で彩られている派手なものだったからだ。


「こんな高そうなの受け取れないって」

「そうなの?これから暑くなってくるし、あると便利だと思うけどね〜」


俺は扇子を見てあることに気づいた。


「足利さん、このサインみたいなのはなんだ?」

「それは尊氏公のサインだよ〜。実際に合戦で使ってたもので、私の家に代々伝わる家宝なんだよ」


何故そんなものを渡そうとしたのだろうか。


「そんな国宝級の物は受け取れないって...俺には安物で十分だから」


俺は足利さんに扇子を返すと、荷物を持って教室を出た。


「...国宝級じゃなくて、本物の国宝なんだけどね〜」


〜自室〜


俺は部屋で携帯を確認すると、京極さんからメッセージが来ていることに気づいた。


「ん?今日話したことの内容を伝えたいって?...長いな」


明日また京極さんに質問されてもいいように、俺はメッセージを読むことにした。


『前田君!早速中国の南北朝時代について説明するね!

 南北朝時代(魏晋南北朝とも呼ぶ)は中国の三国志から隋の統一までの分裂時代を指していて、約400年くらいあって日本よりずっと長いの。だから順を追って話すね。184年に発生した黄巾の乱によって400年続いた漢王朝は滅亡して、魏、蜀、呉の三つの国に分裂したの。この三つの国が争った結果、晋が勝って中華統一を成し遂げたの。その後北方から5種類の異民族がやってきて晋は南へ避難したことで、中国は再び分裂したわ。5種類の異民族が16個の国を建てた時代を五胡十六国時代って呼ぶよ。南へ避難した晋が420年に宋に乗っ取られて、北は北魏が439年に統一したことで、南北朝時代が始まるの。南朝は宋から始まって、斉、梁、陳の順番で交代するの。北朝は北魏が東魏と西魏に分裂して、その後東魏が北斉に、西魏が北周に乗っ取られるわ。そして581年に北斉を倒した北周が隋に乗っ取られて、589年に南朝陳を倒して、中国は再び統一されたの。


ここまでの流れ

後漢

魏、蜀、呉

西晋

華北 五胡十六国 華南 東晋

華北 北魏 華南 宋

華北 北魏 華南 斉

華北 西魏、東魏 華南 梁

華北 北周、北斉 華南 陳


年表

184年 黄巾の乱 魏晋南北朝時代の始まり

220年 後漢滅亡 魏が成立

221年 蜀が成立

222年 呉が成立 

263年 蜀が滅亡

265年 魏が滅亡 晋(西晋)が成立

280年 呉が滅亡 西晋が中華統一

316年 西晋が滅亡する

317年 東晋が成立

386年 北魏が成立

420年 東晋が滅亡 南朝宋が成立

439年 北魏が華北を統一する

479年 南朝宋が滅亡 南朝斉が成立

502年 南朝斉が滅亡 南朝梁が成立

535年 北魏が東魏と西魏に分裂する

550年 東魏が滅亡 北斉が成立

556年 西魏が滅亡 北周が成立

557年 南朝梁が滅亡 南朝陳が成立

577年 北斉が滅亡

581年 北周が滅亡 隋が成立

589年 南朝陳が滅亡 隋が中華統一

    魏晋南北朝時代が終わる


追記 前田君がどっちを選んだとしても、私は前田君の気持ちを受け入れるからね!』


俺はメッセージを読んで頭を抱えそうになった。


「一回読んだだけじゃ理解できないくらい複雑だということしかわからねえ...」


俺は究極の選択を迫られたのであった。


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