はちみつ入りのホットミルクと熟睡
「…ねぇ、そろそろ寝た方がいいんじゃ…」
「まだ寝たくない」
いじらしげに彼女はそう言い、僕の身体にひしっと
身を寄せる。
現在時刻は午後の10時…明日も仕事は早いんだしと
説得してみるが、聞く耳を持たない。
仕方ない、最終兵器として彼女が好きなアレを
作ることにした。
ちょっと待ってて、と僕は彼女から離れて
キッチンに向かう。
彼女のお気に入りの、可愛らしい花の模様が描かれた
耐熱グラスに牛乳を入れ、温めてから
砂糖代わりのはちみつを入れる。
そう、そのまんま。
はちみつ入りのホットミルクだ。
「っ!それ…」
「君が寝ないなら、これは僕が飲んでしまうよ?」
きっと僕はさぞ意地の悪い顔をしているだろうな、
と思っていると彼女にグラスをひったくられた。
そして一口、口に含んだ彼女は何故か僕の頭を掴み、
口付けた。
思わず、彼女の突拍子のない行動に驚きそのまま
飲み込んでしまった。
あぁいや、別にそれでいいんだけれども。
けど、まさかこんな事されるとは思ってもみなかった。
飲み込んだのを確認し、彼女がゆっくりと離れてく。
そして、ふにゃりと笑ってこう言った。
「…仕返し。じゃあ、おやすみ」