レバーだらけのロボット
宜しく御願い申し上げます!
掘削式炭鉱作業用人型ロボット、CVA−06号は、この現場に就役してから、はや十余年を経ていることもあって、相応には老朽化が激しく、搭乗する操縦士も、愚痴っっぽく、「このポンコツめ!もっと、きびきび動いてくれやぁ!」 などと、しきりに零しているようだった。 CVA−06号の操縦士である初老と思しき作業員は、なにやら忙しなく両手をあっちへこっちへと動かしていた。 動かして、がしゃがしゃ、音を立てながら手や脚をしきりにロボット内部の操縦席の内壁やら何やらにぶつけているようだった。 男は、また愚痴るように、それでいて決して憎々(にくにく)しげにではなく、呟いた。 「こいつぁ、な。アナログなんだよ。まるっきしな。一から十まですべてこのレバーの動きでアクションを指示しなきな、一ミリたりともうごかないんだぜ━━。 見ると、どうやら、ロボットの機内に備えられたレバーとやらの数は、ひとつやふたつのような感じはしなかった。 初老と思しき男は、どこか誇らしげに、ひとつひとつを説明するように、呟き始めた。 こいつはなぁ、右の手首を右回しに回すレバーでな・・・。 ちぃっ! こっちは、腰の第一関節を左回りに回すレバーでな!たああっ・・・! 言いながらまた、激しくがしゃがしゃ音をさせる。 これが右の脚首の十字靭帯を前に向けて倒すレバーでな、くううっ・・・。 男が急激にあっちこっちのレバー動かすと、男の両腕は、残像となって、まるで阿修羅像とでもいうように、いくつもの分身となって増えたのだ。 ━━がしゃがしゃ、がしゃっ。がしゃー!ぎい。 これが左手薬指の第一関節を手前に引くレバーでな、うおおうっ! これは右の瞼閉じるレバーじゃ、ひやっは・・・。これが、右の鼻の穴を・・・、うぐおっ! 最近では、すべてを自分で学んでひとの力を借りもせず、自由に動き回るというA.I.とやらが搭載されたロボットも開発されていると聞くが、そうしたA.I.ロボットの方が、ひとに反抗するような手段もち合わせていると言うから、これよりまだ幸せそうだな、と思うのだった。
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