NINTH:洞窟と海
逆立ち腕立て伏せは中々にきつかった…
筋肉痛は無いのになんか筋繊維がちぎれてる感覚がする…
あとSPが削れる削れる
回復スキル《癒し》で回復できるから良いけどさ。
《癒し》は超優秀スキル。発動するとその間何もできないけど、ジリジリとリジェネ形式でSPもHPも両方回復してくれるスグレモノ。
多分MPも回復すると思う。0だから知らんけど。
そして筋トレとは筋繊維をちぎり、回復することでより強力な筋肉ができる事を利用した行為だ。
回復速度が高ければ、筋トレに限界は無い。
それを理解した漢達が覚醒してからはもう…地獄だった…
なんだよ片手逆立ちジャンピング手入れ替えって…曲芸かよ…
おかげでLVはなんと17まで上がった。ポイントを全部STRに振ると(やけくそ)、なんか付いてきたこの称号。
\ピコン/
【称号:筋肉愛 を獲得】
┣獲得条件:筋肉を海の漢達に認められる
┣効果:STR上昇(大)
┣効果:アバターに相応の筋肉がつく
┣備考:筋肉管理を怠ると剥奪される
┗筋肉 is パワー
アバターに腹筋が追加された!
STRが爆上がりした!
「柊〜どんな感じ…ブフォ」
「椿…なんか筋肉ついたんだけど」
「い、いやまあゴリラ感は無いからなんか美体って感じ。イケメン感が増した」
「まあTHE・ムキムキって感じじゃないから良いけど…」
なんか…形容するなら女子レスリング選手みたいな感じの筋肉かな。
「これ…もっとSTR上げたら刃●とか終末のワル●ューレみたいになるのかな…」
「それはそれで見てみたい」
STR上げたく無くなってきた…けど私のジョブSTR上げなくて何を上げるんだと言わんばかりのものだからなあ。
「そのレベルなら海で狩りできるんじゃない?」
「そういえばギリギリできそうだね。じゃあ狩りしてくるね〜素材は魚で良いよね」
「OK。プロテインは任せた!」
◆◇◆◇
私はリアルではあまり泳げないが、ゲームなら別だ。
何故って?呼吸ゲージは在っても苦しくないし、水が目に入っても痛くないし、何より死んでも大丈夫。
恐らく私みたいな人結構いると思うね。
海底探索。
めっちゃ綺麗。
【海魚に発見された】
あ、待って私パンチできない。水中じゃんここ。 ←馬鹿
向かってくる魚。
攻撃手段のない狼と人。
ここからこの全国一位の優秀な頭脳で導き出される答えは……
逃げろ!
【海魚がスキル《回転突進》を使用】
ぎゃああ!
ボスッ
その時、足場が消えた。
サンゴに隠れるように、小さな洞窟。
足がハマった。
偶然にも攻撃を回避できたものの、動けない。
あ、呼吸ゲージがヤバい。
死んだなこれは。
【新ダンジョンを発見した 子蟹の大冒険:推奨LV25〜】
ん?
まさかこの洞窟が?
【転移を開始】
視界が歪む。
◆◇◆◇
目を開くと、そこは洞窟だった。
幸いにも空気がある。
推奨LV25か…キツイかもしれないがまあ行ってみるか。
【「未確認」に発見された】
未確認?誰にも見つかってないってことか。
見た目はイカ。但し飛んでる。
マ●オのゲッソーみたい。
【「未確認」がスキル《烏賊墨小銃》を使用】
うわっ危な!速いよ!
ダッシュで近づくき殴ろうとするも、上へかわされた。
おいこら!私には遠距離攻撃手段が…いや、あるか。
石を掴み、全力で投げる。
カカカッと壁に当たり、ゲッソ…じゃなかったイカに命中。
【「未確認」に430のダメージ】
生きてる。もう一発!
【「未確認」に429のダメージ 「未確認」は死亡した】
【「未確認」に命名する権利が与えられた】
┗入力してください「***********」
なんだこれ。
ええっと…あったあった。『命名について』
『命名とは、世界で最初にそのモンスターを発見したor倒した時に与えられる権利です。
但し、この場合の「世界で最初に」の制限はプレイヤー以外にもNPCにも適応されるため、「スライム」「森子狼」など、有名又は数の多いモンスターの場合は既に名前がつけられている場合があります。
対象となるモンスターは主に「秘境のモンスター」「ダンジョンモンスター」「新種のモンスター」等です』
なるほど。
私が初めて見つけたダンジョンのモンスターだから名前がないのか。
うーん…これでいっか。
【名称:墨銃士イカくん に設定した。変更は設定した本人にのみ可能】
『わう…』
なんだよ榎。私のネーミングに文句があるのなら聞こうじゃないか。
よし、次。
分かれ道とかは適当に進む。
気持ち悪いくらい罠が無い。LV25ならもっとあってもいいと思うけどなあ。
お、なんかデカいのがいる
【「未確認」に発見された】
見た目はタコ。ただし巨大。
通路を塞ぎ、うねうねしてる。
なんか同人誌に登場しそうな奴だな。乙女の敵だね。うん。
打撃が効かなそうな見た目してるなあ。どうしよう。
【「未確認」がスキル《蛸墨大砲》を使用した】
広範囲攻撃ぃ!
躱せないから目を腕で守る。
【289のダメージ】
視界は問題なし!結構食らったけど!
うおっ!?
あっぶな。普通に腕で殴ってきた。目が潰れてたら死んでたな
『わう!』
【榎が「未確認」にスキル《カミツキ》を使用した】
【「未確認」に266のダメージ】
殴る。案の定弾き返された。
はいここで問題。装甲の硬い敵を倒すにはどうすればいいでしょう。
1、急所を狙う
2、連続で攻撃する
3、渾身の一撃で攻撃する
正解は
急所を渾身の一撃で連続で攻撃するでした! (脳筋モード)
ということであのつぶらな瞳を狙いたいと思います。
ん?でもヤツの目を殴るにはまず目の前の足を突破しないといけない?
はっはっは。私を馬鹿にしているのかい?
リアルではともかく、ゲーム内でのアクロバティックなら極めたと言って良いレベルだよ?
剣も杖も持ってないなら尚更だ。
横薙ぎ巨大足。
ジャンプで躱す。
空中で突き巨大足。
天井を手で受け、天井を押し上げて下へ回避。
からの壁へジャンプ。
すぐに8本中6本の足がこちらを狙うも、ギリギリ間に合わず壁キック。
足総抜き。
からの眼球確認!
パンチ…しようとするも、残りの2本で防がれた。だが…
「馬鹿でしょ君」
その2本はさっきまで榎を止めていたものだ。
隙をついて榎が突進。頭にカミツキ。
その時一瞬怯んだのでその隙に私も目へパンチ。
結果。
【レベルアップ LV17→LV18】
【「未確認」に命名する権利が与えられた】
┗入力してください「***********」
だいぶ久しぶりな、骨のある戦闘!(骨無いけど)
いやあこれぞゲームの醍醐味よ。
【名称:墨門番タコくん に設定した。変更は設定した本人にのみ可能】
ドロップアイテムは…墨袋とデカい足2本(約25kg ×2)。
そう言えばタコの足は高たんぱく質だったよね。
……狩るか…
◆◇◆◇
\ピコン/
【称号:巨大蛸、巨大烏賊殺し を獲得】
┣取得条件:大型蛸、烏賊系モンスターを一定時間内に10体以上撃破する
┗効果:大型蛸、烏賊系モンスターへの物理、魔法攻撃特効
\ピコン/
【レベルアップ LV21→LV22】
調子乗って500kg溜まった…殆どストレージ限界質量。
あと途中榎が殺されたけど10分で復活した。 ←めっちゃ焦った
もう一匹、棘乱射してくるウニが出てきてHPごっそり削られたからなあ。
(命名、棘散弾銃兵ウニくん)
HP残り一割☆
目の前にはボス部屋☆
……唆るな。
死んでも無一文だし、落とすアイテムもそんな大事なものは無いし、見るだけ…
ちらっと開けると、中には何も居ない。
多分入ったら姿を現すとかだろう。
部屋の周りに空いた大量の大穴から…巨大ウツボとかかな?
『わうわうっ!わう!』
「…そうか榎は行きたいか…」
『わう!?わうわう!』
「なるほど…良し、行くか!」
『くーん…』
榎も行きたがってることだし、折角ここまで来たんだから行こう!
ノーダメ縛りのボス戦(初見)か〜。なんて楽しそうな響きだろう。
ギイィと、扉を開く。
「隠しダンジョン」は運営陣が手掛けた本気のダンジョンとは違い、AIが簡素に作ったダンジョン。
規模は小さく、複雑な仕組み等は無いが数は大量にあり、今もなお人知れず制作、更新され続けている。
だが大量にあってもフィールドの広さが尋常ではないので見つけた人はラッキーである。
あ、ちょっと今忙しいので、投稿できない日もあるかもですけど、見放さないでください。