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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER ONE
6/40

SIXTH:○○のなかま

 \ピコン/

【臨時称号:平原のなかま を獲得しました】

 ┣取得条件:平原の賢者の一人に特定のアイテムを30こあげる。

 ┣フィールド:平原の中に限り、自分からモンスターに攻撃しないかぎり、モンスターは攻撃してこない。

 ┗この称号は24時間後に消滅する。


 どうしてこうなった………


 いや!わざとじゃないの!わざとじゃないんだよ!

 平原に咲いてる花がね!幾つも種類があったんだよ!

 そして私には収集癖があるの!


 そしたらね!淡い青の小鳥が榎の頭に止まったのよ!


 攻撃してこないし、可愛がったりスクショしたりしてたら、手元の花をいきなり30輪も奪われたのよ!


 そして今。○○のなかま(不殺の呪い)を食らったってわけ。


 レアなんじゃねえのかよ!私の運はどうなってるの!?

 良いの!?悪いの!?


 あと普通アイテム渡す系のイベントは「YES/NO」の選択肢があるでしょ!

 なに勝手に奪って飛び去ってくれてるんだよ!うぎゃあああああああクソ鳥め!!

 平原子兎かわいいいいいい!!!!膝に乗ってるうううううう!!


 え?子兎殺して称号消せば良い?何を言ってるんだ親友を(ry


 さて、行き場のない怒りでも悲しみでもない叫びはこれくらいにして、今後を考えましょうか。


 レベリング場は森と平原潰れた。あとは東の海(平均レベル20)か灼熱火山(平均レベル60)かダンジョン(最低難易度推奨LV15〜)か、どうしようかなあ。(現在レベル7)

 森のなかまもそうだけど、説明に「フィールド:平原」って書いてるから多分「ヌシの森」「封印平野」以外でも、全ての森と平原で効果が発揮されると思うんだよね。


 ならここは諦めよう!

 このゲームのことだ。狩り以外にもレベルを上げる方法くらいあるに決まってる!


 そこでこの方!一匹エンカウントした平原馬プレーンホース

 こいつは元から穏やかで、人が近づいても襲わない(後ろから近づいたら蹴ることはある)良い子です!

 こいつの蹴りはダメージ多めな上、ノックバック+状態異常:スタンもある結構エグめなものだけど、良い子です!

 ポーション使う羽目になりましたけど、後ろから近づいた私が悪いので、良い子です!

 馬刺しのしゃぶしゃぶにでもしてやろうかとも思いましたけど、悪意はないので大目に見ます!


 ゲームで馬を見つけたらどうする?

 私の場合は狩るか乗るの二択だね。

 ということで狩って……ゴホン。乗ってみます!

 この子と共に草原を駆け、街から街へと旅歩いてみたいと思います!


 頭から振り落とされた。はいそうですかしゃぶしゃぶに…


「なにやってるんですか?」


 突然頭の上から声が降ってくる。

 声の主は「恋する少年」…愛称「レンくん」だった。


「恋さん!なんでここに?」

「掛かっていたイベントが終わったので様子見に来たんですよ。」


「よくここが分かりましたね」

「椿に聞いたら、多分平原だって言われたので。なんで森じゃないんですか?」


「森のみんなは親友。そして平原のみんなも親友になった」

「ちょっと何言ってるか分からないですけど、取り敢えず馬に乗りたいんですか?」


「え?あ、はい」

「野生の馬にそんなすぐ乗れるわけ無いんですよ。リアルでは最初は紐一本のせるとこから始めて、そこから少しずつ慣らしていくんです」


「そこまでのリアリティあるんですか!?」

「余裕でありますよ。馬に乗るには街で買わないと。連れて帰ろうとしても野生は平原出るのを嫌がりますし、テイムとかありそうなんですけど見つかってないですかr……なんですかそのオオカミ」


「マイフレンド」

「そうじゃなくて」


「…マイテイムモンスター」

「詳しく」


「はいこれ」


『テイムについて』の欄と、テイム時の条件を見せる。


「ほうほうふむふむ。この【森のなかま】の条件のせいで今まで発見されてなかったんですね。じゃあ馬にも【平原のなかま】が必要なのか?こんなに大掛かりな要素がずっと隠しなわけないんですから何処かのタイミングで何かしらのイベントがあると思いますけど…」

「あ、【平原のなかま】なら今丁度我が手に」


「……マジですか」

「呪いですよこれ。レベリングができなくなる」


「LUK全振りとかしてませんよね?」

「流石にそこまで…そういえばエンカウントってLUKに左右されるんですか?」


「噂ではLUKの低い人は脳波干渉でリアル物欲センサーが発動するというのを聞いたことがありますけど。探しているアイテムが見つかりにくいとか、ガチャ運が下がるとか」

「マジならLUKは疎かにできないですね…というかガチャとは?」


「ああ。聖教都市に運命の教会っていうとこがあるんですけど、そこに祈りを捧げるとガチャが引けるんですよ。所持金と引き換えに武器とかアイテムとか出てきます。僕も行ったことありますけど、そこそこ良いのが当たりましたね」

「ほうほう」


 今度行ってみよ。


「ちなみに一回100万G」

「高」


「課金勢の溜まり場ですね。課金といってもリアルマネーで買えるのはGだけですけど」

「ところでこの馬どうします?」


「取り敢えずいろいろ試してみましょう。ふとした拍子に条件満たすかもしれませんし」


 ◆◇◆◇


 結論。分からん。

 ニンジンあげてもなでなでしても、何しても懐かない。むしろ鬱陶しがられてる気さえする。

 1時間以上試行錯誤したが、成果なし。


「…取り敢えず諦めましょうか」

「そうですね。それでは馬刺しに…」


「流石に可哀想ですって。こんな時間まで付き合わされて挙句の果てに殺されるとか」

「さっき蹴られてぶっ飛ばされたのを根に持っている私です」


「それくらいなら良いじゃないですか。このゲームレッドネーム以外デスペナルティ少ないんですから」

「…まあいいか」


 ケッ命拾いしたな!精々アニキに感謝しろ!  ←小物の捨てセリフ


「さて、どうしましょうか」

「レベリングできるとこないですかね。とりま榎のレべルを上げたいんで」


「そうですね……あ、ここなら……」

「どうしたんですか?」


「………あの……湖にでも行きませんか?」

「湖なら『瑕釣湖』ですね。平均レベル10ですけどちょっと遠いですよ?」


「僕のスキルで解決します」

「スキル?」


「はい」


 そう言って、恋さんが何もないところに向かって弓を引く。


「《超遠射》」


 無音で矢が飛ぶ。

 見えなくなるまではるか先に飛んだ。


「捕まってください」

「え?あ、はい」


 手を繋ぐ。


「《位置交換》」


 ぽすっと、平原に一本、矢が落ちた。

 同時に私は、ドボンと湖に落ちた。


「すいません!ミスったっぽいです!いつもは成功するんですけど!」

「大丈夫ですよ浅いですし。落下ダメージが少し入りましたけど」


 矢と自分の位置を入れ替えるスキルか。凄いな。

 あの距離、少しでも角度をミスったら全然違うとこに飛ぶのでは?


「矢の命中って補正スキルとかあるんですか?」

「いや?近距離なら無くはないですけど、遠距離は無いですね」


 じゃあこの人凄くない?勘でここまで正確に矢飛ばしたの?


「取り敢えず上がりましょう。状態異常:びしょ濡れがついて放置すると状態異常:風邪になることがありますから」

「頭おかしい運営も居たもんだ」


 ◆◇◆◇


 渡されたタオルを「使う」コマンドを押すと、体中の水分が吸収された。

 リアルなのかリアルじゃないのかどっちかにしろや。


「すいません僕のせいで。自信満々でミスるとか恥ずか死しそうです」

「いやいや。私だけだとここまで3時間は掛かってましたよ。ありがとうございます」


 結構ロマンチックな湖だな。

 夜月が湖面に映り、後ろの森と映える。

 キラキラと輝く水面に偶に、青い魚が跳ねる。


「綺麗な場所ですね」

「…そうですね」


 ん?なんか会話が続かない。

 なんか静かで気まずいぞ?


「あ、あの…僕にはタメ口で良いですよ?」

「あ、そう?じゃあそうするね」


「…っ!」


 どうしたんだろうさっきから。さっきまで普通だったのに。


「ちょ、ちょっと座ってください」

「え?レベリングしないの?」


「ちょっと話があるんです」


 んんん?私もそこまで鈍感なつもりは無いぞ?

 どこでフラグが立った?会話的に恐らくDSO時代に助けたプレイヤーってことくらいは分かるけど…まさか一目惚れ?

 ナンパの対応は慣れてるけどこれはガチっぽいぞ?

 どうしよ…


 取り敢えず、座る。

 恋さ…恋くんが少し離れて座る。


 顔が赤いぃ!確定だぁ!


「あ、あの、僕…ずっと…」





 ◆◇◆◇







 \ピコン/

【臨時称号:湖のなかま を獲得】

 ┣取得条件:湖の賢者の一人に特定のアイテムを30こあげる。

 ┣フィールド:湖の中に限り、自分からモンスターに攻撃しないかぎり、モンスターは攻撃してこない。

 ┗この称号は24時間後に消滅する





 どうしてこうなった……

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