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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER TWO
40/40

FOURTYTH:打算的デート(?)

「じゃあまた明日〜最後まで見てくれてありがとね〜」


 配信を終えたらしい。


「さて、そろそろ落ちますね。」

「まだ11時ですよ?配信にしては終わるの早くない?」


「それは…僕今日はゲーム3時からやってましたし」

「8時間も!?」


「いえ。15:00じゃなくて03:00」

「20時間!?」


「最近だと3〜7はFPS配信、7〜19は次の大会の練習、19〜20が休憩、20〜23がAWOって感じですかね。配信休みのときはメンバーで合同で動画撮ったり、普通に休暇とったりですね。

 まあ休暇中もゲームしてるか動画見るくらいしか無いんですけど」


 そういえば、(24話の最後でも言ったけど)リアルの恋くんは病室で寝たきりなんだっけ。

 あんまり触れないでおこう。


「そういえば、出演料払わなきゃですね。何が良いです?」


 待ってましたそのセリフ。

 さて、計画実行。


「じゃあ、また一緒に来てほしいところがあるんだよね」

「え?また鬼畜戦闘ですか?遊狼王とかもう絶対御免ですよ?」


「いや次は戦闘じゃないよ。あと、これから見るものは誰にも内緒ね」

「……え?」


 ◆◇◆◇


 配信切り忘れはしてない…よな?

 よし、OK。


 信長さんは…まだ配信中か。

 あ、野良猫くんとやってる。


 さっきコメント欄に信長さんいたけど…ああ、晩飯休憩で来たのか。


 位置情報を非公開っと。


「…はい。準備できました」

「おっけー。じゃあもうちょっと近くに来て」


 言われるままに近くに寄る。

 なんか良い匂いするんだけど。


 さっきはあんなだったけど…今度こそデーt…いやいやまさか。


「じゃあ行くよ」


 柊さんがインベントリから、何処かで見たことある気がする一枚の赤いチケットを取り出す。


【柊 がアイテム《地獄へ》を使用】

【恋する少年 の資格を確認:オールクリア】

【非正規通行による制限として、強制称号《地獄への招客》取得】

【地獄先行招待枠 を一つ使用 残り:壱】

【恋する少年 は非正規通行のため、称号《TO THE UNDER WORLD》は獲得不可】


 何?これ。


【転移を開始】


 足元が「ヒュッ」と、落ちる感覚。

 思わず目を瞑る。




 ……何も起こらない。

 いや、なんか暑い。

 周りから街の中のような人の賑わいの声。

 パッシブスキル《狼王耳》のおかげか、以前よりよく聞こえる。


「なんで目ぇ瞑ってるの?」


 耳元で囁かれ、ビクッと目を開ける。


 …


 ……


 ………


 …………なんですかここ。


「なんですかここ」

「地獄だよ」


 なるほど。どうやら僕は死んだらしい。


 そっかぁ。命に別状は無いハズだったと思うけどなあ。

 事故から1年たったのに今更死ぬとは、不思議なこともあるもんだ。


 …冗談はこのくらいにして。


「なんですかここ」

「だから地獄だって」


「説明になってないですよ。なんかマップが二倍にふえてるんですけど!」

「多分ケルベロス倒したら来れるようになるとこだと思う。私は別の方法で来たけど」


「どんな!?」

「正直どのイベントを踏めば来れるのかわかんないんだよね…

 狼王巡りか、自然のなかまか、森神之獣か…多分森神だと思うけど」


「ほぼ初耳なんですけど」

「どれであれまず『なかま』シリーズ三つ集めなきゃだから狙ってやるなら相当むずかしいと思うよ」


「とりあえず、なんで僕をここに?」

「いやぁ、さっき手伝ってくれたお礼的な?」


「え?いやお礼をするのは僕の方だと…」

「いいから!おもしろいものとかモンスターとかいるから、ちょっと一緒に巡ろ!」


 そう言って彼女は僕の手を引く。

 これって…もしやとは思ってたけど…確実に…もしかしなくても

 デーt…


 ………やっぱり今日、僕死ぬのかな…?


 ―――――――――


 その後、他のプレイヤーが居ない秘密のエリアで食事をし、おみやげ交換し、軽く探検し、武器防具を見て回った。


 彼女へのおみやげはクソ高かったけど、今日全体でみれば圧倒的に黒字である。

 あとあの喜んでた顔…かわい…いやなんでもない。


 ―――――――――


「それじゃあ、また明日ね」

「はい。また明日」


 夢中で3時間もやってしまった。

 彼女も一緒に落ちるようなので、同じタイミングでログアウトを押す。


 ああ、今日は楽しかった。


 視界が、暗転する。



 ◆◇◆◇



「ふぅ」


 23時間ぶりに、()を開ける。

 まっくらだ。


 ちらりと自分の身体の左側を見る。

 いつもは見るだけで最悪な気分になる「姿」を見ても。今日は不思議と落ち着いていた。


 ベッド横のボタンを押し、車椅子に乗る。


 トイレに行って、体を拭き、牛乳を飲み、歯を磨く。

 今日は薬は飲まずに、眠る。


 僕は久しぶりに、良い夢をみた気がした。



 ◆◇◆◇



 遊狼王とのデスペナでさらにお金が減った。

 今度は大半金庫に預けたおかげであまり減っていないが、恐ろしいことにあの金庫、使用量として一割取られる。

 このままでは恋くんからお金を受け取っても足りない。

 しかし、だからといって報酬を増やしてほしいというのは図々しすぎる。

 私はこの優秀な頭脳で、一つの計画を思いついた。


 まず、恋くんを地獄に連れてくる。

 ↓

 そこで地獄観光をしつつ、さりげなく装飾品店へ連れてくる。

 ↓

 ここで、さりげなく例の首飾りがほしいとほのめかす。


 結果、GET!


 ふっふっふ。我ながら最低な計画だ。

「百万Gください」より「首飾り買ってください」のほうが要求として通りやすいに決まっている。

 実際は後者のほうが圧倒的に高いにも関わらずだ。


 ただ、「おみやげ交換」という名目で受け取ったため、タダではない。こちらからあげたのは70万ほどのもの。もちろんこちらの方が安いが…まあそこそこ良いものだし、喜んでたから…罪悪感は感じる必要はないだろう。

 ないで良いよね?


 まあこの”地獄”の情報と交換にはなるが。

 でもまあここを知られても困ることはあまりないからいいけど。

 秘密にしているのは、ただただみんなの驚いた反応がみたいというだけだし。


 その後はカモフラも兼ねて地獄を観光。

 恋くんとのプレイはけっこう楽しく、モンスター討伐もさくさく進んで、気づけば3時間も経っていた。


 恋くんが落ちるようなので、私も落ちる。


 明日は朝から大学か…でもこの首飾りを試したいなぁ。


 ちらりと明日の予定のメモを見る。

 余裕はある。特に明日は影響少ないかな。


 よし。サボろ。

補足:

恋くんが感じた良い匂い → 髪飾りの効果。

恋くんの制限      → 地獄でのクエスト等受注不可。

柊           → デートの自覚無し。椿と遊びに行く感覚で観光していた。

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