FOURTH:ギルドと有名人
なんかポイントの上がり方が速い!
日間SF部門21位だって!微妙に凄い!凄い?凄い!
「レベル1しか上がってないね。柊ならもっと行けたと思うけどなあ」
「いや〜途中熊に殺されたし、リス様に【森のなかま】貰ってから森の動物殺したく無くなってさ」
「うわ両方レアモンスターじゃん。運が良いのか悪いのか」
「リス様レアモンスターなの?」
「それはもう。元々レアなのに、普段からどんぐり30個も持ち歩いてる奴なんかそうそう居ないんだから、【森のなかま】はかなりレアだよ」
「どんぐり集めてたら出現するとかじゃないんだ」
「どんぐり集めてたら偶に寄ってくることもあるらしいけど…どっちにしろ低確率だから検証できないんだよね」
「ふーん。ところでこれどこに向かってるの?」
現在、馬車に乗っている。別の街に行くらしい。
運賃は椿が出してくれた。ワープもあるらしいけど一度行って登録する必要があるらしい。
「東の島国、和風の国の『宵ノ国』だよ。そこに拠点があるから」
「拠点?」
「そ。始まりの街から近い割にレベルが高いとこ。結構綺麗なとこだよ」
「ふーん。拠点で何するの?」
「私の使ってない装備あげるよ」
「…なんかずるい気がするな」
「上位勢へのコネは仲間入りの第一歩だよ。まあパワーレベリングとかはしないし、そこまでずるくないでしょ」
「まあいいか」
ヌシの森を抜けると、海。
そして、大量に連なったイカダ。
「ここ歩けばつくよ」
長さは瀬戸大橋くらい?だいぶ長かった。
「よし、とーちゃく!」
広がるのは和風の風景。
広がる竹林、低い建物、瓦屋根、櫓門。
和風系好きなんだよね。椿もだけど。
「こっちこっち」
町には難なく入れた。なんかモンスターとエンカウントしないな。椿がなんかしたのか?
「はい。ここ」
………ギルドハウス?
「我らがギルド、『戦国ノ兵』!少数精鋭トップギルドだよ!」
「聞いてないけど」
「だって柊、いっつもソロでやろうとするんだもん。偶には一緒にプレイしよ♡」
「だって私人付き合いとか苦手だし…PSも普通だし…」
「え?」
「え?」
「え?は?いやいやいや。柊PS人外じゃん。」
「え?どういうこと?」
「??? ああ!いつもソロだから自分で周りとの比較ができないんだ!」
「え?何?」
「結論から申し上げますと、あなたは人外です」
「突然の罵倒!?」
「前世では『孤高の剣聖』なんて呼ばれてたの知らない?」
「なにそれ」
「前前世では『魔法賢者』なんて呼ばれてたの知らない?」
「冗談よしてよ」
「…柊は周りの評価気にしなさすぎ。運動神経は確かに普通だけど、あんた異常なほど頭いいでしょ」
「まあ確かに全国模試一位とったことあるけど、ゲームと関係ないじゃん」
「いやスキルの使用タイミングとかクールタイム計算とか戦局の見方とかが…あと反射神経は普通に良いし…いや。なんでもない」
「??」
「ま、人付き合いに関しては気にしないで。ウチのギルドは基本自由だから」
「まあ…椿が言うなら良いけど…」
「おっは~皆~新人連れてきたよ~」と、椿がおもむろに戸を開ける。
「ほらほら柊、入って!」
言われる儘にギルドハウスに入る。
「お、新人?」
「リア友なんだけどね。聞いて驚け、かの『孤高の剣聖』兼『魔法賢者』の柊です!」
「え?」
「マジか」
「つーかその二人同一人物なの?」
「椿ちゃん騙されてない?」
「騙されてないよ!偶に一緒にプレイしてたもん」
「確かに『孤高の剣聖』も『魔法賢者』もアバターそっくりでPNも同じ『柊』だから同一人物説は流れてたけど…………確かにこうしてみると似てるな」
「え?何?なんの話っすか?」
「DSOとMBO知らないとわからんか。別ゲーのトッププレイヤーだよ」
「二人とも常にソロで、インタビューも無視して報酬だけ獲って去っていく、謎のプレイヤー」
なんか良く分からない話が進んでいく………
「………ちょっと確認するね。DSOやってた?」
「え?あ、私?はい」
「レベルは?」
「一応カンストしましたけど………」
「得意戦法は?」
「氷属性でフィールドを滑りながら加速斬撃ですね」
「……古龍の洞窟でプレイヤー助けたことあるよね?金髪青目の少年」
「えぇと…………ああ!あの弓使いの子か。ん?なんで知ってるの?あそこには他に誰も……」
「会いたかったです柊さん。サインください」
「そういや恋くん、『孤高の剣聖』のファンだったな」
「ストップストップ!柊困惑中!」
なに?なにがどうなってるの?
「柊はね!自分がさいつよだって無自覚だったんだよね。二つ名のことも初耳だって。元々掲示板もまとめサイトも見ない子だし、ずっとソロだからね」
「「「「「マジか」」」」」
「柊始めたばっかりで、今レベル2だから、間違ってもデコピンとかしちゃ駄目だよ?」
「つーかその恰好何?露出高いな」
「ああ。それは私のレア職のせい。椿、情報言っていい?」
「別に柊が良いならいいよ」
「〈狂戦士系☆☆☆〉のせいで、武器使用不可なんだよね」
「「「「「「ぶきしようふか」」」」」」
「だから今は篭手つけて殴ってる」
「「「「「「なぐってる」」」」」」
なんか引かれた?
「……とりま、自己紹介しよっか」
「そ、そうっすね。あ、俺『野良猫』っす!職は盗賊系の〈忍☆〉っす!」
「僕は『恋する少年』。職は弓兵系の〈狙撃手☆〉です」
「私は『しゃもじ』。大盾系の〈城壁人間★〉だよ」
「俺は『戦士君』。剣士系の〈双剣士☆〉だよ」
「そんで俺が『信長』。剣士系〈魔剣豪☆☆〉で、ギルマスだ。あともう一人、『落雷』ってのがいるんだけど、今はいない。椿から招集かかってたけどサボった」
「あっはい。私は『柊』で、狂戦士系の〈見習い狂戦士☆☆☆〉です。よろしく」
「見習い狂戦士とは」
「狂戦士って見習うものなの?」
知らん。
「ていうか★ってなんですか?」
「なんかだいぶレアの職で、だいぶ特殊なやつ。効果は秘密♡」
気になるな。
「ちょっと倉庫つかうね…あったあった。はいこれ」
〔緋武者の脛当て レアリティ:☆☆ 品質:AA 耐久99/99〕
┣足のDEF UP(中)
┣常時状態異常:返り血(小)
┣スキル《踏ん張り》使用可能
┗足のSTR UP(小)
備考:例え吾が死のうとも、此の門だけは決して通さぬ。
〔緋武者の肩当て レアリティ:☆☆ 品質:S 耐久88/88〕
┣肩のDEF UP(大)
┣常時状態異常:ヘイト集中(中)
┣スキル《二段撃》使用可能
┗AGI UP(小)
備考:負け戦?関係あるか。吾が生命、只君主に捧げる迄。
「癖強くない?」
「ダンジョンの宝箱からゲットしたけど、このあとすぐこれより良いのが手に入ってお払い箱になった装備。どうせ使わないからあげるよ」
いやいやレベル2の初心者が使うやつじゃないでしょこれ。いろんな意味で。
常時状態異常のデメリットの代わりに装備条件なしの強力装備。
「着てみてよ」
「え、あ、うん」
装備っと
〚装備〛
頭:なし
首:なし
胸:布きれ
胴:なし
右肩:緋武者の肩当て
左肩:なし
右腕:森子狼の骨と毛皮の篭手(両手装備)
左腕:森子狼の骨と毛皮の篭手(両手装備)
右手:武器使用不可
左手:武器使用不可
両脚:緋武者の脛当て
両足:なし
アクセサリー1:戦士の御守
アクセサリー2:なし
アクセサリー3:なし
特殊装備:なし
まだ空欄結構あるなあ。
装備欄多すぎでは?
「うっわイケメン」
「武者鎧を着た露出高めのワイルドイケメン女子とか、何処の二次創作だよ」
「柊さん、スクショ撮っていいですか?」
「え?い、良いけど…なんで?」
「カシャ。《印刷》。これにサインください」
「え?え?」
「柊、書いてあげなよ」
「え…あ…うん…え?」
いわれる儘にサインを書く。なんで私のサイン?価値あるの?
基本レアリティは下から順に
E、D、C、B、A、AA、S、SS、SSS。
ただ、ユニーク装備や消耗系装備は
☆、☆☆、☆☆☆、☆☆☆☆、◇、◇◇……で表される。
ユニーク装備は現在3000種類以上確認されていて、運営は頭がおかしいと言われている。
現在確認されている最高レアリティは「◇◇」。平たく言えば、☆×6。しかし上がり方的にまだもっと上も在ると予想されている。
余談。柊はさり気なく敬語とタメ口両方試して、周りの態度と反応を見て今後の接し方を考えている。
そんなだから友達が少n… デュクシ(´Д⊂≡(-_-メ⊂)