THIRTYEIGHTH:遊狼王戦と新スキル
「何今のスキル」
「スキルセット《想恋弓術》の一つ、《私の想いを知らない君と、君の想いを知らない私》です」
「なにそのポエミーなスキル名」
「一定時間、お互いがお互いの姿が見えなくなるスキルですね。使い勝手は悪いですけど相手の足音も匂いも何もかもわからなくなるので、どんな索敵にもかからないというスナイパーには少しうれしい機能もあります」
「じゃあなんでリュカオンにヘッショ決めれたの?」
「勘」
あぁ…そう。
『もしかしてゼンの後継者?』
ゼン?誰だろう
「あの人のこと知ってるんですね」
『あのヘタレエルフ、まだ生きてるんだ』
「もう逝きました」
『ふーん。つまんないの』
マジでなんの話?
『さてと、じゃあ最終種目いっくよー』
「まだあんの!?」
「まだあるんですか!?」
『最後は単純! 絶望鬼ごっこ in あそびの森!』
絶望鬼ごっこ?
「最初の鬼ごっこと何が違うんですか?」
『単純だよ♪』
リュカオンの結界が崩れ、気がつくと元いた森の中。
『リュカが鬼ね』
…マジで?
リュカオンの目が妖しく光り、子供の姿から大狼の姿に戻る。
『死んだら負けね!ほらほらにげてー!』
言われずともとうに逃げ始めている。
『制限時間3分間!よーいスタート!』
【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が上位スキル《王獣速》を使用】
遊狼王が一瞬で間合いを詰める。
『おそいおそーい』
【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が高位スキル《狼衝》を使用】
【恋する少年 がスキル《位置交換》を使用】
【恋する少年 がスキル《位置交換》を使用】
私と恋くんが位置交換。
直後に恋くんが真横に現れる。
連続で「恋くん↔私」「恋くん↔小石」と転移したらしい。
「一応MP消費あるんであんまり頼り過ぎないでくださいね」
「了解」
ここまでで7秒。キッツ。
『いいねぇ。そんなすぐに死んじゃったらつまんないもんねぇ♡』
多分恋くん居なかったら死んでたけどね。
私が居たとこ物凄いクレーターできてるし。
『じゃあ、あそぼう!』
【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が極位スキル《あそぼう》を使用】
ジグソーパズルのような模様が地面に広がる。
咄嗟に恋くんの手を取ってジャンプ。
すると遊狼王を中心にジグソーパズルが砕けていき、その下からは大量の包丁が飛んでくる。
「《鉄》!」
榎から魔力をもらってツタで周りの木に捕まりながら下方向に鉄の盾。
包丁の次は巨大な狼の頭。
空中から生えてきて噛みついてくる。
「〚風鎌よ廻り狂い裂け〛!《旋風刃》」
【恋する少年 がスキル《詠唱省略》を使用】
【恋する少年 が魔法《旋風刃》を使用】
360°に風の斬撃。狼頭に当たり怯んだ隙にツタのフックショットモドキで回避。
続けざまに炎の刃付きの巨大殺戮独楽。おまけにビーム撃ってくる小達磨(約20個)も出現。
ビームはどんぐりをばら撒き、
【榎 がスキル《成長》を使用】
木の壁を生やして防御。
コマは避けるしか無い。
『逃げ回るだけじゃつまらないよ〜♪』
【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が高位スキル《死爆玩具》を使用】
【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が上位スキル《狼王速》を使用】
【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が上位スキル《牙に遊狼》を使用】
今度はコマと達磨が爆発。
なんかいかにも爆発しそうなエフェクトがあったため回避は余裕だったが、出てきたのは気持ち悪い数の木製狼型人形。
そいつらが一斉に襲い掛かる。
更に上空に遊狼王が出現し、噛みつこうとしてくる。
「《位置交換》!」
木の枝と転移。
「MPもうあと一回分くらいしか無いです!」
「マジで?」
土煙から遊狼王の青い目がこちらを向く。
あと1分45秒。
【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が上位スキル《狼王速》を使用】
その瞬間遊狼王が目の前に出現。
とっさに遊狼王におもいっきり恋くんをぶん投げ、私は《超速突進》で思いっきり離れる。
【恋する少年 がスキル《位置交換》を使用】
ちゃんと意図が伝わったらしく私が遊狼王の上空に転移。
そして恋くんは榎と一緒に木の上にいる。
「恋くん!私死ぬけど報酬は山分けだよ!」
「え!?ここで死なれたら絶対勝てませんよ!?」
「大丈夫!私が死ぬのは勝ってから!榎!全力で恋くん守って!」
『わうっ!』
「《狂化》」
◆◇◆◇
リスポーン地点の宵の街のギルドハウスにて。
『まけた〜!何百年振りだろ!』
目の前の椅子に座るのは青髪青目の獣耳少年。
「急にめっちゃ強くなったと思ったら勝った後すぐ死ぬんですからビビりましたよ」
あの後、遊狼王にノックバック技の「撃体靠」撃ちまくり、周りの雑魚を殴りまくるという強硬手段によって、残りHP7%くらいでギリギリ耐えた。
その後《狂化》の継続ダメージで死亡。
「あれは諸刃すぎる剣だからね」
「僕あんまり活躍できませんでした」
「いやいや恋くん居なかったら流石に死んでたよ」
『わうっ!』
『だからってたったLV58の女の子とLV78の少年に負けるとはね〜。一応LV120あたりと戦うつもりでやったけど。
じゃ、お待ちかねの景品だよ。三勝したから僕の書庫から好きなスキルブック三個ずつ持ってっていいよ。
但し極位スキルと高位スキルは禁止ね』
視界が歪み、次の瞬間、目の前には大きな図書館。
遊狼王に案内されてそこを通って、更に奥の銀の扉を開く。
そこにはアンティークな大きめの本棚。
銀の装飾が施されている。
どうやらコレ全部スキルブックらしい。
『極位や高位スキルが欲しいというそこの君。僕に一人で勝ってご覧。挑戦権は一回だけだから注意してね』
何もない虚空に向かって遊狼王が喋る。多分恋くんの配信カメラがあるのだろう。
「金色の扉がありますね」
『そっちは高位スキル置き場だよ』
「じゃあもっとLVあげてから来れば良かったな」
『そうだね〜。君たちは転移者として僕に初めて完全に勝ったからね。じゃあちょっとボーナスをあげる』
「ん?」
『はいこれ』
渡されたのは、シンプルな青い本。
薄っぺらい、ノートのようなもので、表紙には子供の字で、「ひでんのしょ」と書いてある。
〔スキルブック『常夏の思い出』 レアリティ:唯一無二 消耗アイテム〕
┣獲得条件:最初に遊狼王に完全勝利する。
┗効果:高位ユニークスキル《狼王速》を獲得
『それも三冊のうちだから、いらないなら良いよ』
「要ります」
あのスキルか。めっちゃ速かったもんなあれ。
「二人合わせて三冊ですよね」
『うん』
「あ、じゃあ私、榎、恋くんでいいじゃん。恋くんはいこれ」
「え?」
「ん?」
『わう?』
「いやいやいやいや!どう考えてもそれは柊さんのものでしょ!」
「そう?じゃあ遠慮なくもらうけど…」
遠距離系だから要らないのかな。私は正直《超速突進》があるけど…でもあれまっすぐにしか進めないし、なにかに当たらないと止まれないんだよね。
ま、《縮地》もあるし、良いかな。
「じゃあ榎、これあげる」
『わう!?わうわう!』
喜んでる。
「なんか悪いですけど、じゃあ僕はこれで」
『上位スキル《狼王耳》だね。中々良いスキルだよ』
「恋くんは索敵用?じゃあ私は…これ!」
『ほうほう。それ選ぶか〜』
「何にしたんですか?」
本を後ろに隠す。
「ヒミツ」
投稿頻度一時期に比べて激減りですいません。
せめて週一では投稿したいけど無理なときもありそうです。
このイベントの推奨レベルは二人のレベルを超過しています。
別に適正レベルでいけば無理ゲーではありません。




