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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER TWO
37/40

THIRTYSEVENTH:遊び(デスゲーム)

【START】


【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が上位スキル・改《(たわむれ)》を使用】


「『改』って何!?」というコメントが多数。


【柊 がスキル《炎狼流闘武拳舞》を使用】


「炎狼流…何!?」というコメントが多数。


 遊狼王を中心に結界が展開される。

 上空に現れたのは、紙風船、けん玉、サイコロに風車かざぐるまなど。

 スキルの演出が凝っている。文字通り「遊び」がテーマのモンスターらしい。


 こちらに来る素振りは見せず、様子を伺っている様だ。


 同接数が増えてきていて嬉しい限りだが、あまりにも急。

 一応SP、MP、HPは満タンの状態ではあり、特に回復アイテムが減ってきているわけでも無いが心の準備というものがある。


「これ使うと私遠距離攻撃できないから、榎と恋くんに任せるね」

「えっちょっ」


「《縮地》」


 直後、柊さんが遊狼王の目の前に瞬間移動。


「《二段撃》」


 素早い掌底を二連撃。

 しかし遊狼王はふわりと消える。


「うわぁっ!」


 直後僕の背後に出現。前足で殴られ大きくノックバック。

 咄嗟にストックしていた小石を投げて地面に激突する衝撃を無効化する。


 にやにやと笑う遊狼王。


「…リュカオン。なんか喋ったら?」

「え?何言ってるんですか?」


 ちらっと柊さんの方を見ると、こちらも笑っている。

 プレイ動画見てても思うけど、若干柊さんってバトルジャンキーなとこがあるよね。活き活きしてるのなんかかわい…


『確かに。黙って遊んでもつまんないもんね』

「喋った!?」

「狼王たちはみんな喋ってたからね」


 炎狼王が喋ってるとこなんか見たこと無いけど。


『ただのじゃれつきっていうのも面白くないよね〜』

「声が想像以上に若いですね」

「年齢は不明だけどね」


『 《変身(へ〜んしん)》 』


 突如、遊狼王から青い煙。

 中から出てきたのは…


「「子供?」」

『ヒトガタモード!狼だと大きすぎて森の中じゃ動きにくいからね〜』


 青髪青目、狼の装飾の入った白い服に、獣耳と狼の尻尾の少年。


『かわいいでしょ♡』


 コメント欄が大盛り上がり。同接数も増える増える。いつの時代もケモミミには人は弱いものらしい。

 そういえば柊さんの戦闘を生で見るのは久しぶりだな。

 共闘か…今更だけどちょっとテンション上がってきたな。


『じゃあそうだな…一種目目いっしゅもくめ!』


 なにやら「良いこと思いついた」とでも言うような顔で叫ぶ。




『重力グチャグチャ!? 鬼ごっこ in デンジャラスアスレチック〜!』


 視界に大きなヒビ。

 パリィンと割れ、次の瞬間には視界一面星の海の謎空間。

 平らな浮島、四角い物体、星型の岩などが漂い、僕らはその内の一つの大きめな球体の上に居た。


『僕にタッチできたら君たちの勝ち。死んだら負けね!』

「これはこれはわかりやすい説明どうも!《超速突進》」


 柊さんが物凄いスピードで遊狼王まで飛んでいく。


『聞いてなかったの?重力グチャグチャだよ♪』


 次の瞬間、僕は横方向へ落ちていき、漂っていたラグビーボール型の岩の上に着地する。

 柊さんは上方向に落下し、ハート型の岩の上に着地した。


『ここでは落下ダメージは無いからどんな高さから落ちても安心だよ〜!』


 たくさんの浮遊物が漂う。これを渡って上空でクルクル回っている遊狼王のところに行けばゴールか。


「アスレチックはちょっとズルしまーす」


 ゴール付近の岩に直接矢を撃って、位置交換。


『あ、ずるい!』


 タッチしようとすると、空中でひらりと躱す。


「躱すなよ!」

『鬼ごっこなんだから躱して当たり前でしょ。あとリュカも攻撃するからね!』


【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス がスキル《覇狼刃》を使用】


 慌てて小石と位置交換して躱すと、元いた場所が真っ二つに切断される。


 遊狼王が斬撃を撃ちまくるが、できるだけ遊狼王の視界に入るように躱し続ける。


『良いスキルだね。楽しいや…え?』


 遊狼王の背後に柊さん。


【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス がスキル《瞬間防殻》を使用】


「ちっ」


【柊 がスキル《爆裂拳》を使用】


 ドゴンと音が響いたが、遊狼王は無傷。


『あっぶな。油断も隙もない』


 ひたすら無言でアスレチックをこなし、スキルも使わずに接近していた。

 僕も奇襲作戦を察して意識をこちらに集中させたが、失敗の様だ。

 しかし、柊さんシュタッと近くの岩に着地し、少しニヤリと笑う。


『? 何する気…』

『わうっ!』


 次の瞬間ぽすっと間抜けな音がして、遊狼王の後ろから飛んできた榎が遊狼王の顔面を踏んづける。


【榎 がスキル《枯命》を使用】

【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス に1600のダメージ】


「強っ」

「榎!《召喚》!」

『うわぁくらくらする…。触れる時間が長いほど与ダメージ量が上がるのかな?それにしてもあの一瞬でこれかあ…もしかしたら未来の狼王かもね』





 ぱっと視界が変わり、こんどは闘技場の中。


『第二種目! 爆弾の雨!? ドキドキサバイバル with 暴れ闘牛〜』

「こんどは何!?」

「爆弾の雨?」


 カランと、後ろで音。

 振り返ると、映画やアニメで見たことある、物騒なものが転がっていた。


「「手榴弾」」


 ピンが抜けている。


「《くろがね》!」

「《風盾》!」


 爆発。威力は大した事ないが、攻撃範囲が広い上、なんか鉄の破片も飛んできた。


「ガチの奴じゃん」

『わう…』


『どんどん行くよー』


 空から大量に爆弾。

 風魔法で吹き飛ばしつつ防御スキルで身を守る。

 柊さんはなんか鉄の立方体みたいなの作って自分を覆っていた。


『今度は僕にダメージ入れられたら勝ちね〜』


 おしゃれな傘をさして雨がっぱ姿の遊狼王が言うと同時に、鋼鉄製の闘牛さん出現。

 真っ先に僕に突進してきた。


「《貫嵐一矢》」


 闘牛に矢を撃つと、進行方向を変え柊さんへ。


『あ〜ひど〜い。闘牛さんは攻撃するともうひとりの方へ行くからね〜』

「柊さんすいません!」


【柊 がスキル《縮地》を使用】


 バゴーンという轟音とともに鉄の箱が吹っ飛ぶ。

 しかし中に柊さんはいない。


「必殺。榎投げ」


 上空から声。

 見上げると柊さんが空中で榎とともに落下中。


「恋くんジャンプ!」

「は、はい!」


 風魔法で跳び上がり、柊さんをキャッチ。


「《鉄》!」


 瞬時に二人の周りに鉄の球体が出現し、僕と柊さんを覆う。

 配信が見えない為、視点を一人称に切り替える。


 近っ。


「ありがと」

「い、いえ。今僕なんにも活躍できてませんし」


「そんな事無いと思うけど」

「さて…どうします?もう数秒後には闘牛にぶっ飛ばされると思いますけど」


「大丈夫。榎、お願い」

『わうっ!』


【榎 がスキル《成長》を使用】


 ガクンと鉄球がなにかに掴まれ、ぐんぐん上がっていく感覚がする。

 直後ドシンと衝撃を受けたが、特にふっとばされもせず、まだぐんぐんの上がる。


『こりゃすごい』


 鉄球が解けると、そこは大木の上だった。


「どんぐり成長させただけだけど、深緑魔法で形もある程度制御できるからこんなふうにエレベーター替わりにもなるんだよね」

「すご…」


 ご丁寧に葉っぱで傘もついている。


「でもどうしよう。一旦スキル解こうかな…でもやり投げじゃ当るきがしないし…」

『わうっ』

「じゃあここは僕に。流石に良いとこ無しは嫌なので」


【遊狼王リュカオン=ヴェルディクス が上位スキル《楽故》を使用】


『いちゃいちゃは終わった?』


 カラフルな爆弾が大量に飛んできた。

 しかしそこには既に三人共居ない。


『あれ?』


 矢が遊狼王の後頭部に迫るも、回避。


『あぶなっ。何処行った?』

「《恋時雨》」


 大量の矢の雨。

 闘牛に当たる。


【魅了効果発動 成功 鋼鉄暴牛 が状態異常:魅了 を受けた】


「え、その牛魅了入るんだ」


 牛が爆弾の雨を跳ね除けながら遊狼王に突進。


『やめなさい』


 遊狼王が指を鳴らすと、キルコマンドでも打ったかのように闘牛さん即死亡。

 しかし、その瞬間、隙。


【CRITICAL! 遊狼王リュカオン=ヴェルディクス に3560のダメージ】

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