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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER TWO
32/40

THIRTYSECOND:完全勝利

 植物との対話が可能。


 榎ほどではないにしろ、木々の言っていることがぼんやりとわかる。

 とはいっても彼等から聞けるのは「現在位置」とか「敵の居場所」くらいで、私には榎みたいに操ったり、取り引きしたりはできない。


 だが木々草花を踏み荒らす人間の兵士の居場所くらいは一発でわかる。

 やっぱ森だといろいろ便利だな。


 ということで、敵を避けながら森の中を進んでいく。

 結構楽勝そうだな…と思ったのも束の間。あっさり空中捜査班に見つかって現在全速力で逃走中。


「あいつ速い!」

「やばいあいつPKプレイヤーだ!」

「いやなんか陛下と取り引きしたっぽい!逃走を手伝ってる!」

「あんな高レベルプレイヤー居たか!?」


『わう!』


【榎がスキル《成長》を使用】


 伸びた木や草が兵士たちの行く手を阻む。


「うわ。すごいな…ホントになんだその狼」

「相棒ですよ」

『わうっ!』


【〈親衛隊〉隊長 アレクサンドラ がスキル《水平遠斬》を使用】


「うっわアレックスまで来てる」


 草が全て斬られ、相手の視界に私が入る。


「《縮地》《爆裂拳》《二段撃》」

【榎が貴方を召喚した 5秒後に転移】


 即座にアレクサンドラとやらに縮地して思いっきりぶん殴る。

 剣で受け止められるも、剣ごと破壊し、鳩尾を貫通。


【PERFECTCRITICAL!】

【PN アレクサンドラ LV.79 をキルした】


「マジか」


 とりあえず殴ってみたらまさかの一撃。

「血に濡れし大物狩り」と「夜風に、凛として咲く」、その他諸々STRUP系の称号の効果に加え、元々のクソ高いSTR、更におまけにジョブによる大幅STRUPも加算され、現在攻撃力がヤヴァい。


 私の移動速度は速くないけど、超速突進と縮地もあるし、援護してくれるテイムモンスターもいれば回復効果もある。


 条件揃えば私、強くね?


 と思ったら敵が魔法を撃ってきた。

 何を隠そう、私の魔法耐性は文字通り0である。


 けっこう焦って躱すと、勘のいい誰かが気づいたのか、今度は魔法での飽和攻撃が始まった。


 私だって躱すのには限界がある。ということで、逃げます。


 榎のところに転移。”なかまを呼ぶ”の応用だが、めちゃめちゃ便利だ。

 これでだいぶ差が開いた。結構余裕で撒けそうだ。


 ジェイドは安堵した顔で私に抱えられている。










 ……さてと。


 ◆◇◆◇


「なあ。目隠ししてどこに連れて行く気だ?」

「追手のこない、()()なところです」


 ヌシの森。

 の、クマさんのとこの洞穴。


「目隠し外しますね」

「お、おう」


「え?悪熊?」

『ガウ』

「クマさん。一応まだ殺さないで」


「え?何?モンスターを従えれるの?」

「どこまで知っててどこから知らないのかわからない人ですね」

『フィヤ』


「わかってますよテンさん。こいつを連れてくる時は目隠ししましたし、追跡系のスキルも付けられてない事も確認しました。尾行もいません」

「ナチュラルに会話してる…」


「…さてと、ジェイドさん。ここなら誰も来ません。ゆっくり話をしましょうか」

「い…いや、ちょっと急いでるし…」


「よく考えてみれば、どうせ奴は第六感で私を嗅ぎつけてくるので、今貴方を殺しても奴がくるのが後か先かになるだけなんですよね」

あいつは一体何なんだ…」


「まあ兄に関しては一応養われてる身なんでできるだけ大目に見るようにしてますけど、別に貴方は殺して大丈夫なんですよ」

「ちょ、ちょっと話し合おう。今殺されるとマジで困る」


「だから今話しあってるじゃないですか。人をタクシー扱いしたツケというものを払って頂かないと」

「分かった!何が望みだ?」


「まあ、金、品、情報ですかね」

「多い…」


「殺しますよ?」

「喜んで!」


「……」

「な、なんだよ」


「ま、多分貴方はいざとなったら転移するつもりなので、とりあえず転移禁止にしますね」

「…………………え?」


 鉄で刃を作り、腕を切り落とす。

 ついでに榎に蔦で拘束してもらう。


「転移するには()()()()()()()()()()()()()()()()()ですもんね」

「……」


「ログアウトもちゃんとパネルタップが必要ですし。足とかでも押せますけど、妙な動きをすれば…分かってますね?」

「……」


 やっと演技じゃない、本気の焦りが見えてきた。


「装備は最強でも顔が露わになってる限りいつでも殺せるんですよ。覚悟してくださいね?」


 ◆◇◆◇


 〔時間の書 レアリティ:◇◇ 品質:S 消耗品〕

 ┣スキルのクールタイムを消去

 ┗五回まで使用可能


【1,000,000 Gを受け取った】


「さすが帝王。いいもん持ってますね」

「あのぅ…その本…最重要級の国宝でして…」


「へー」

「いやあの…返して…」


「何か?」

「いや…なんでも無いです」


「一つだけで赦してあげたんですから、そこは”ありがとうございます”じゃないですか?」

「あ、ありがとうございます」


「よろしい。さて、次は情報です。なんで私の事を?」

「強力なギルドとは良く情報交換してるので……あと楸とはリア友で…」


「なるほど」

「あいつは俺のスキルのこと知ってるんで…柊というプレイヤーを見つけたらと頼まれてて…」


「ふむふむ」

「で、さっきたまたま脱走中に君を見つけたので、ラッキーと思い…」


「なるほどね。つまりたまたまだったと」

「昔から運だけは良いんで…」


「私はこの状況を見るに、到底そうとは思えないですけどね」

「そう…ですね」


「ていうかそれは、私が素直に貴方を村まで送り届けていても楸に位置を教えるつもりだったってことでいいですよね?」

「いや…それは…」


「いいですよね?」

「……はい」


「ムカつくんで右足潰しますね」

「……」


 おっと。瀕死じゃん。マジで弱いんだ。


「榎、死なないように回復してあげて」

『わう』


「…」


 泣きそうで笑う。


「さて。たしかメクナ村でしたね。流石に可哀想なんで送ってあげますよ」

「…」


「返事は?」

「あ、ありがとうございます…」


「あ、楸に位置情報送ったらマジで殺しに行きますからね?」

「はい…」


 ◆◇◆◇


 メクナ村で待っていたのは、金の長髪の男。

 背中に杖、腰に剣を携え、イライラしながら待っている。


 PN:落雷


「あ、落雷さん。はじめましてですね」

「ん?…柊?あぁ新入りの…ん?」


「こちら、私の犬に成り下がった帝王のジェイド君です」

「犬のジェイドです…」

「お、おう…」


「貴方と待ち合わせしてるようなので、送ってあげてました」

「なあ…なんでこいつの両腕と右足が無いのか聞いていいか?」


「舐め腐った真似してくれたんで、教育しただけです」

「そ、そうか…」


「報酬はもうもらったんで行きますけど、次は無いですからね?」

「はい」

「お前…何したんだよ…」


「部下の言うことは聞くべきですよ。自業自得のジェイドさん」


 ◆◇◆◇


 さて。結果的に良いもん手に入ったし、灼熱火山に行きますか。

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