TWENTYSIXTH:怨霊氷王
マジで自分でもドン引きするほど誤字が多い…
なんでこんなんがSF部門月間2位に……?
見つけ次第じゃんじゃん誤字報告してくれちゃってください。面倒かったらスルーしてくれて構いません。
王冠が浮かび上がり、こちらを向く。
王冠が揺らいで、王冠の下に半透明の青年が出現。
背中には大剣を背負い、青い美しい衣を身に纏った、白髪蒼眼の青年だ。
『……眠い』
青年が呟く。めっちゃめちゃイケボ。
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世が上位スキル《凍》を使用】
青年の足元に霜が降りる。
直後、霜がこの部屋の床全体に広がり、雪の結晶の模様を描く。
そして、その模様から、大量の氷の槍。
咄嗟に空中へ回避。
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世がスキル《瞬剣戟》を使用】
青年が、剣を抜いた。
大剣の刀身は青と銀。冷気を纏っていて、いかにも氷属性って感じ。
青年が、ブレる。
同時に大剣が私の髪を切る。
ギッリギリで躱した。
「榎。大丈夫?」
『わう!』
大丈夫そう。
何気に回避が上手い榎くん。まあ私の装備やらの効果でヘイトが常に私にあるっていうのもあるけど。
「榎!槍プリーズ!」
『わう!』
《鉄》で出せるけど、普通にSP消費が痛いから、MPに余裕のある榎から木の槍を受け取り、先っちょだけ鉄にする。
で、投げる。
当たった…けど通り抜けた。
ならあの王冠が弱点かな?
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世がスキル《銀世界》を使用】
雪が降り、視界が白銀に染まる。
氷の矢が大量に出現。
発射。
全てが私を追尾してくる。
追尾系の攻撃と言えばこれかな。
「《縮地》」
躱しつつ接近。からの王冠めがけてパンチ。
青年は剣で防いだが、これで王冠が弱点と証明された。
まあブラフの可能性も考えておくべきか。
そこに私の背後から、追尾してきた氷の矢。
爆裂拳を打ち込みつつ幻影分身で相手の視界を塞ぎ、ギリギリで上空に超速突進。
キレイに氷の矢が青年に当たる。
大体剣で防がれたが、一本だけ王冠に当たり、HPが減るのを確認した。
オッケー弱点そこね。偶に玉座が弱点とかもあるからなあ。
『…何者だ?』
「襲ってきたのそっちでしょ」
『此方は貴様に眠りを妨げられた故』
「そう。それはすいませんでした。許してもらえないですかね」
『赦さん』
「さいですか」
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世が上位スキル《凍》を使用】
手を振り上げ、空中で拳を握る。
彼の拳を中心に空中に巨大な雪の結晶の模様。
この模様が変化し、円形の魔法陣になる。
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世が魔法陣式魔法《大氷槍》を発動】
魔法陣から氷の大槍が次々と出現。
「榎!《召喚》!」
『わうっ!』
榎がこちらにワープ。
直後さっきまで榎が居たところに大槍が複数突き刺さる。
私の所にも飛んできたが、少数。
こいつ榎から狙ってきやがった。許さん。
注目効果も絶対じゃないわけね。まあ当然だけど。
『ちっ』
「榎!広域魔法お願い」
『わう!』
一面に草や蔦、巨大な花などが生える。MPは消費したが、これで昨日闘技場で発見した効果が付く。
相手と自分の視界が塞がれる。
しかし私の視界の端にはマップがあり、一度視認した敵はマップ上の表示されるため、こちらからは居場所が分かる。
【フィールドが一時的に『洞窟』から『深草原』に変化】
『? 何の心算だ?』
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世がスキル《氷剣斬》を使用】
青年が剣を振り上げ、氷属性の飛ぶ斬撃を放つ。
バク宙で躱し、花が斬れたことを確認して、超速突進。
青年は剣で防御…いやカウンターの構えを取るが、無視。
「《爆裂拳》《二段撃》」
拳が剣で受けられるも、剣ごと破壊。
青年は吹っ飛び、ダメージも入る。
『かはっ…何を…』
やっぱこれ強いな。
野生戦士の効果、自然を狙う者に超特攻。
その上「血に濡れし大物狩り」の効果も出てるから、現在STRがヤヴァい。
一時的ではあるけど、超バフ。
反撃が来る前に草の中に隠れる。
ついでに分身も草の中に出す。
けど流石にHP多いな。まあこちらの売りは体力とSTRだけだから、こちらのステータスは持久戦向き。
望むところだ。
因みにこの草、たまーに薬草も混じってて、正しい草を食えば少量回復する。
毒草も混じってるけど、幽霊には効かないかな。
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世が上位スキル《魔剣召喚》を使用】
草で見えないが、何か新しい剣を召喚したらしい。
直後、青い閃光。
『わう!』
蔦が私の足に絡みつき、コケる。
同時に私の頭上を青い斬撃が通り抜ける。
『貴様、魔力感知に引っかからないな。まあその篭手の魔力で居場所はバレバレだが』
彼の手元には、黄金の片刃の両手剣。
それに絡みつく氷でできた青い薔薇のモチーフ。
刀身には見たことの無い文字。
めっちゃくちゃかっこいい。このゲーム制作陣には多分FF並のデザイナーが居る。
「榎ありがと!天才!」
『子狼の居場所は…こっちか』
「《召喚》」
『わう!』
『…ちょこまかと』
そのセリフ、思いっきり悪役ですよ。
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世がスキル《宵闇に君を照らす積雪》を使用】
スキル名ロマンチックだな。
「相手の位置が常に捕捉できる」かあ。今更なんで?
SPには…余裕あるね。
「《鉄》」
あいつに切られて死んだ草花を一部鉄に変え、360°から攻撃。
青年は全て斬り伏せる。剣術が上がってる?いやあの剣、軽いのか。
じゃあ攻撃力低め?いや重さを変えられる説もあるか。
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世が上位スキル《凍》を使用】
上空に、大量の氷の槍。
さっきから思ってたけど、《凍》って一文字スキルだよね。
《鉄》と同レベルの自由度ならだいぶ面倒くさいな。
鉄は冷やすと脆くなる…まあそれは急激に冷やした場合だけど。
今回は追尾機能切って標的絞らず範囲攻撃。
鉄の盾で榎を護りつつ、榎の魔力を貰って氷を蔦で掴み、それ越しに槍を鉄に変えて操作した上で細かい欠片にして飛散させ、氷の槍を割りまくる。
やっぱ当たり前だけど氷より鉄のが硬い。
あと氷の槍は質がいいらしく、だいぶ質のいい鉄になってる。
それなら…これならいけそうだな。
氷の槍が止んだところで、榎に作戦を伝え、飛び出す。
見つけれるっぽいから篭手は丸呑みしておいて、分身を出しまくる。
《鉄》は使えなくなるが、まあ撃つ直前だけつければいい。
『面倒な輩だ。ならば…』
【怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世が高位スキル《吹雪の日、子の屍を抱く母》を使用】
うん?
視界が白に包まれる。
吹雪で何も見えない。音も聞こえない。榎は…まあ大丈夫と信じるしか無いか。
私が咄嗟にしゃがむと同時に私の頭上を剣が通り抜ける。
『…何故躱せる』
「勘?私だったら狙うとしたらこのくらいのタイミングかなって」
周りは吹雪だが、まだかろうじてフィールドは深草原のようだ。
作戦は決行かな。
【榎が貴方を召喚しました。5秒後に転移します】
「《鉄拳》」
思いっきり剣を横から殴り、折る。
手応え的に多分この剣再生するな。脆すぎる。
その前に王冠めがけておもいっきりパンチ。
『――っ!』
よっしゃ結構ダメージ入った。けど隙が大きく、案の定すぐに再生した剣が脇腹に迫る。
けどそれは幻影……ってそういやさっき私の位置捕捉するスキル使ってたじゃん!
剣筋が直角に曲がり、無防備な私に迫る。
ここで転移。剣は空振り、私は篭手を装着する。
その間に榎はツタで洞窟の壁中を覆っておく。
榎やっぱり人語完全理解してるね。こんな細かい作戦もできちゃうんだから。
冷凍地竜肉を取り出し、鉄に変える。かなり質のいい鉄の完成。
これを鉄にした、壁に張り巡らせたツタと混ぜ合わせ、操作し、冠を固定する。
『っこ、この程度で!』
冠を固定した鉄は一瞬で凍りついたが、その一瞬があれば、《縮地》で十分。
「《超速突進》《溜めパンチ》《爆裂拳》《二段撃》《鉄》」
『っ!負けるかぁ!』
え!?この体勢から剣振れるの!?ヤバっ…まあどうしようもないか。
相手の雪が基になってる鉄で腕に重りを付けまくって威力上げまくった一撃。
うわSPからっぽになった!
相討ち覚悟で思いっきりぶん殴る。
一撃の威力だけはマジで今異常なほど強いし!
【《鉄心》発動!】
おっマジか。ラッキー。
【CRITICAL! 怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世に81,130のダメージ】
【金属系VS金属系により、特殊CRITICAL発生】
【硬度判定:鉄花火>アーマーデルの王冠】
【霊核破壊!怨霊氷王フィルワード・ヴィン・アーマーデル1世は消滅した】




