TWENTYFIRST:聖眼
柊が目を閉じ、深呼吸して、目を開く。
これをすると彼女は、終わるまで全ての情報を遮断する。
いわゆる集中モード。
【 破落戸 】
「ゴロツキ」
即答て。破落戸?初めてみた。
【問題2:地理】
【ジンバブエの首都】
「ハラレ」
ジンバブエってどこ?
【問題3:数学基礎】
【23×19=】
「…437」
【問題4:天体 (制限時間30秒)】
【黄道十二星座 全て】
「乙女座、獅子座、蟹座、双子座、牡牛座、牡羊座、魚座、水瓶座、山羊座、射手座、蠍座、天秤座」
【問題5:天体】
【問題4に示した星座の内、12月3日生まれの人は何座か】
「射手座」
【問題6:ことわざ】
【猿も木から落ちる とほぼ同じ意味を持つことわざを3つ】
「弘法にも筆の誤り、河童の川流れ、上手の手から水が漏れる」
【問題7:数学】
【1007 を素因数分解せよ】
「えぇっと…19×53」
クイズ王かな?
【問題8:日本史】
【1945年10月、GHQが行った五大改革を全て答えよ】
「女性の開放、労働組合の奨励、教育の自由化、秘密警察などの廃止、経済の民主化」
【問題9:漢字 (最終問題)(制限時間無し)】
【カタカナを漢字に直せ】
【中国最初の王朝は、インである】
実質世界史じゃん。まあこれくらいなら分かるか。殷。
柊の目の前に青いボード。これに書くっぽい。
『片仮名 殷』
片仮名?うわ。カタカナだ。
なんという引っ掛け。というか最早罠。悪意ありすぎでしょ。
【CONGRATULATIONS!】
【貴方は正真正銘の天才です。誇りましょう】
【成功者は貴方で3人目です】
これあと二人も合格した人いんの?世界は広い。
「まあ大体中三〜高一くらいの知識があればでいけるね」
「いけるわけないでしょこの天才」
思ってた数倍はムズかった。私がやってたら一問目で頓挫だね。
「あ、開いた」
「どれ?見せて」
〔大賢神の魔導書・原本 レアリティ:◇ 品質:SSS 耐久値:不壊〕
┣MP3倍
┣HP3分の1
┗備考:ん?儂の書は何処へ行った?
わお。シンプルにして馬鹿げた装備。
「椿、これ私要らない」
「まあ私も使わないけど、落雷さんとか欲しがりそうだな」
「じゃあ、次行くよ」
◆◇◆◇
なんだよ鬣って。読めるわけ無いじゃん。
そんでなんで柊は読めるのよ。
なんで4桁の素因数分解が5秒でできるのよ。
なんで10秒で画像を隅々まで記憶できるのよ
頭おかしいな柊。私と同じ大学にいってるのが謎なレベル。
それで中身は……
眼球。眼球!?
蒼い綺麗な瞳の眼球。
〔大賢神の聖眼・蒼 レアリティ:◇◇ 品質:SSSS 耐久値:不滅〕
┣特殊装備 に該当。装備条件等の効果を受けない。
┣いかなる理由でも、ドロップしない。
┣聖眼スキル《絶零》使用可能
┣聖眼スキル《■》使用可能 (封印中)
┗備考:ん?儂の右眼のスペアは何処へ行った?
「……これ貰って良いの?」
「…乙女に二言は無い」
聖眼…私でも初めてみた。
◇◇かぁ…現在確認されてる中で最高レアリティだぁ。
大賢神シリーズねぇ。恐いなぁ。
「椿、これどうやって装備するの?」
「さあ」
「右眼って書いてるし、抉って入れればいいか」
「なんて?」
【柊が「大賢神の聖眼」を装備した】
青い瞳に光が灯る。
ノータイムで右眼を抉れる系女子。新ジャンルだね。
「じゃ、試してみるね。《絶零》!」
◆◇◆◇
「えぇ…」
なんか…なんだろう。凍った。
何が?と聞かれると、「全てが」としか答えれない。
初めに、少しヒヤリと背筋に冷気が走り、その直後洞窟が氷に閉ざされた。
そしてこの恐ろしいログ。
【FREEZE! 墨門番タコくん は死亡した】
【FREEZE! 墨門番タコくん は死亡した】
【FREEZE! 墨門番タコくん は死亡した】
【FREEZE! 墨銃士イカくん は死亡した】
【FREEZE! 墨銃士イカくん は死亡した】
【FREEZE! 墨銃士イカくん は死亡した】
【FREEZE! 墨銃士イカくん は死亡した】
【FREEZE! 墨銃士イカくん は死亡した】
【FREEZE! 墨銃士イカくん は死亡した】
【FREEZE! 墨銃士イカくん は死亡した】
【FREEZE! 墨銃士イカくん は死亡した】
【FREEZE! 棘散弾銃兵ウニくん は死亡した】
【FREEZE! 棘散弾銃兵ウニくん は死亡した】
【FREEZE! 「未確認」 は死亡した】
【FREEZE! 椿 が行動不能】
【レベルアップ! LV41 → LV44】
\ピコン/
【称号:始まりの聖眼使い を獲得】
┣獲得条件:世界で最初に「聖眼」スキルを使用する
┗効果:聖眼、魔眼耐性(大)
\ピコン/
【称号:はじめての賞金稼ぎ を獲得】
┣獲得条件:レッドネームのプレイヤーを行動不能にする
┗効果:レッドネームプレイヤーに対して、全ステータスUP(微)
【「未確認」に命名する権利が与えられた】
┗入力してください「***********」
流石に引く。視界の端に「クールタイム:6日23時間59分54秒」って書いてて、しかもSP全消費。
ついでにHPもさっきまで満タンだったのに3割ほどになってる。
あ、榎のレベルも一緒に上がってる。味方は凍らないっぽい。
椿は敵判定なんだ。まあレッドネームだし。
SPを全部使ったらそこからHPが減りまくるのは知ってたけど、つまりこれはめっちゃSP消費が激しいってこと?
まあいいか。
氷属性、ゲットだぜ。
ちなみに、「未確認」はレアモンスターで経験値高めの子だった。
見た目は銀色のヒラメで、壁や床に擬態していて見つけにくいようだ。
ということで命名「潜伏密偵ヒラメくん」
◆◇◆◇
「おつとめご苦労さま。はいこれ装備一式」
「え?返してくれるの?ありがとう!」
「こんな装備使えないし、流石にこれを失うのは椿的にキツイでしょ」
「あ、Gは返さなくていいよ。金庫に大体しまってるし」
「5万もあるよ?」
「端金よ」
「じゃあありがたく」
「ところであのスキル何。視界が氷で包まれて、行動不能になったんだけど」
「《絶零》だって。クールタイム一週間で、私のSP全部とHP7割を消費して使える」
「うっわあ」
「一週間は大きいね。なかなか使えない」
空を見ると、夜空。
時計を見るともう8時。椿のおつとめ中は恋くんに会ってこの前のお詫び、そして戦士君に会ってPVP談してたら潰れたし、榎の進化は明日でいいか。
ていうか私昼飯食ってない。私はそんなに食欲旺盛じゃないけど昼飯抜いたのは初めてだなあ。
流石に不健康だから、次からは気をつけよ。
「じゃ、そろそろ落ちるね」
「私もレポートやらなきゃ」
「やってないの?ヤバくない?」
「私の課題速度を舐めるなよ。明日の朝までには終わるさ」
「夜更かしは肌に悪いよ」
「大丈夫!授業中寝るから!」
「もしかして頭悪い?」
「出席することに意味があるんだよ。常に単位上限の柊には関係ない概念だろうけど」
「じゃ、眠いし、流石にお腹すいたから。また明日」
「おっけーまた明日」




