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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER ONE
18/40

EIGHTEENTH:防具生産

 生産職。


 直接戦闘には関与せんと、強い武器やら防具、アイテム作って売るだけ。


 偶に聞かれる。


「裏方仕事じゃん。何が楽しいの?」


 俺は毎度、こう答える。


「全部や」


 ゲームは楽しむ為にある。


 そんで俺は、作るのが楽しい。


 大作を作り出した時の震えるような達成感。

 自分の腕が認められた時ん充足感。

 自分の思う儘に作りたい物を作り出す、自由感。

 大作を売った金で更にそれを超える大作を作る。


 俺はリアルでは芸術家や。

 けっこう売れとんねんで?


 個展もやったことあるし、絵なんかは画廊に売っても良い金になる。


 キャンバスは自由や。

 粘土も彫刻も自由。

 ゴミも木片も、全て自由。


 何も考えずに筆を取り、自分がその瞬間「描きたい」と思ったものを年単位の時間を掛けて描く。

 一枚一枚全てを懸けて。

 一つ一つ魂を込めて。


 妹にも届く様に。


 ここではあいつには直接会えんやろうけど、この姿を知っている奴が居れば儲けもん。

 ま、10年行方不明のあいつがそんな簡単に見つかる訳無いけどな。


 元々俺の取り柄は手先の器用さだけや。


 そして俺の好きなものは、創作と妹だけ。


 警察に認定死亡を告げられた時、それは崩れた。


 そこから絵を描くことも、何かを創作することも出来なくなった。


 ある日、妹が生きている夢を見た。


 抱きしめて、泣いた。


 目覚ましの音と共に、久し振りに「描きたい」と思った。


 題名、「 調和の想い 」


 人生一、楽しかった絵やな。


 オークションで目ん玉飛び出る程の価格がついたわ。


 妹が生きていると信じることで、創作意欲が湧いた。

 俺にとって、妹も創作の為なんやろうか。

 妹の為に創作しとるんやなくて、創作の為に妹を捜してるんやろうか。

 わからんくなってきて、自分が何を信じ、何のために何をしているのか見失う。

 無理矢理思考を止めて、目の前の「好きなこと」へ逃げる。


 話を戻すで。


 別にこのゲームに妹は関係ない。


 前前世では自作のバズーカぶっ放しまくって遊んどった。

 自分で創造したもので相手の創造したものを破壊する。

 開放感と万能感、あと爽快感、優越感。

 イカれてると罵られたもんや。


 俺は別に健気で可哀想なお姉さんでは無い。

 恐らく妹が死んどることくらい解っとる。

 しかし俺は、生きていると確信しとる。

 だいぶヤバい人間やということは自覚しとる。


 自己中心。


 皆俺をこう言う。


 少し違う。


 創作中心。


 俺を一言で形容するならこれやろな。


 周りの問題、周りの評価、周りの期待。


 全てを無視して、只創作を楽しむ。


 俺がやるんは、ただ、それだけ。


 ◆◇◆◇


【鍛冶師王に、俺はなるが上位スキル《鍛冶神ヘファイストス》を使用】

【材料を融合 鍛冶を開始】


 カコーン…


【PERFECTCRITICAL!】


 カコーン…


【PERFECTCRITICAL!】


 カコーン…


 …………

 ……


【AP計240000を獲得 付属効果を選択、作成】


【オリジナルスキル作成 消費AP170000】


【デメリット作成:ヘイト集中(大) AP80000獲得】


【オリジナルスキル作成 消費AP130000】


【硬度上昇 消費AP20000】


【全耐性削除 AP100000獲得】


【武具装備条件狭窄化:専用武具 AP120000獲得】


【耐久値上昇 消費AP220000】


【仕上げを開始】


【鍛冶師王に、俺はなるが上位スキル《裁縫者アラクネ》を使用】


【デザインに於いて、『理想』と99%一致】


【レベルアップ LV89 → LV90】


 \ピコン/

【称号:初代神匠 を獲得】

 ┣世界で初めて、鍛冶で全て「PERFECTCRITICAL」を叩き出す

 ┗スキル《一打入神》使用可能


 ◆◇◆◇


「ふう。楽しかったわ」

「防具生産ってすごい大変そうだね」


「できたで、俺の作品。銘はせやな…『鉄花火』」

「ホントに防具?」



 〔鉄花火 レアリティ:オリジナル 品質:EX 耐久値500/500〕

 ┣装備条件:柊専用

 ┣効果:スキル《爆裂拳》使用可能

 ┣効果:スキル《鉄》使用可能

 ┣ヘイト集中(大)

 ┣超硬度

 ┣制作者:鍛冶師王に、俺はなる。

 ┗備考:誰かに魔力を流して貰えば、それを纏うで。自分へのダメージには気をつけぇ。



 黒く輝く和風の篭手。

 側面には棘があるが、厳つい見た目ではなく均一に美しく並んでいる。

 そして右の手の甲の部分には宝石が一つ。それを中心に、黒地に漆黒で、花火の模様。

 篭手には他にも至るところに花火の装飾が施され、その全てが美しい。

 美術館の国宝を見るような、そんなレベル。感動すら覚える。


 また、手の平側は手の可動域も広く、付けたまま細かい作業も可能なレベル。


「全体は竜鉄と鱗、あと鉱石色々の合金や。馬鹿みたいに硬度が高い。そんでもってしなやかさもあって壊れにくい筈や。硬度は高すぎると逆に割れやすなるからな」

「随分と高性能のようで」


「ああ。途中ゾーンに入ってな。このゲーム初のパーフェクトを叩き出してもうて、性能爆上がりしよったわ。名実ともに世界一の鍛冶師や。もっと崇めぇ」


「じゃあPN変えれば?」

「せやな」


【改名届 を使用】

【PN変更 鍛冶師王に、俺はなる → 鍛冶師王】


 ◆◇◆◇


「じゃあこれ。純魔結晶。あとこの鉱石と素材、全部あげるから」

「は?お前これ売ったらなんぼするか分かって言ってんのか?」


「別に私が持ってても意味ないし」

「なんぼするんやこれ…70万は下らんやろ…」


「あ、やっぱり30万分は返して。この緋武者シリーズのお金返さなきゃ」

「ああ。せやったら俺が買い取ったるわ。言い値で買うわ」


「リアルで初めて聞いたそのセリフ。30万Gあったら十分だよ」

「それじゃ俺が詐欺師になってまうわ。これは少なく見積もっても70〜90万。需要のあるとこだと100万超えてもおかしないで」


「じゃあ…そうだ。この素材で胴体装備とか作って、余った分は買い取って!」

「つまり50万くらいの何かをこれで作れと。それやったらWINWINではあるか…よっしゃ待ってろ。この更に上がった腕で作ったるわ」


 ◆◇◆◇



 〔夜風に、凛として咲く レアリティ:オリジナル 品質:SSS 耐久値:不壊〕

 ┣STR UP(極大)

 ┣スキル《強者之魅了・戦場花魁》使用可能

 ┣特殊効果:良い匂いする

 ┣特殊効果:闇夜にほんのり光る

 ┣特殊効果:悪魔系、鬼系が嫌悪する

 ┣特殊効果:柊にしか触れることができない

 ┣視線集中(敵味方問わず)(超極大)

 ┣神宿:花の付喪神

 ┣制作者:鍛冶師王

 ┗備考:髪飾りや。綺麗やろ?



 渡されたのは柊の花の、鉄の造花。

 柊の花はあまり知られていないが、ふわふわとした白い花だ。

 付喪神?なんか神様宿ってるんだけど?

 付喪神って長く使っていた物に宿るんじゃないの?


「いや〜下手しぃ篭手よりええのできてしもうた」

「なにこれ。良い匂いするって何?ほんとだ良い匂いする…」


「50万分の髪飾りなんて作ろうものならデカくなり過ぎるからその分の素材全部生贄に突っ込んだわ。竜核突っ込むは我ながら大胆やな。」

「不壊って…」


AP(アビリティポイント)余ったからな。いろいろ付け足してみた」

「見ての通り胴体装備とか薄いんだけど」


「しゃーないやん。作りたい思ってしもうたんやから」

「裸足なの気づいてたよね?」


「ワイルドでかっこええで」

「……靴屋知りませんか」


「知らん。下駄なら使ってないんタダでやるで」

「まあいいや。じゃあそれおねがい」


「あ、篭手の耐久値危ななったら持ってき。欠けたりしてても粉砕されとらんかったら、大体は直したるわ」

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