SEVENTEENTH:生還
今日から投稿不定期と言ったな。あれは嘘だ!
不定期は明日から!
ほぼ完成してた書き溜めをちょっと修正しただけ。ただでさえ多いミスが更に多いかもしれませんけど、そこはまあ気にしないでください。
どうやらこのフロアにはあいつしか居なかったようだ。
狭く、通路は真っ直ぐで、開けた部屋の多いダンジョン。
本来はあいつから逃げ回る系のフロアなのだろうか。
まあ私も御守なかったら咆哮食らった時点で死んでたし、木が無かったら勝てなかっただろうから、今回のMVPは榎だ。
あと榎もレベルアップしてた。闘技場で22まで上がってたけど、今は28だ。
進化はLV30って書いてるから、楽しみである。
HPは《癒し》で回復したけど、腕と足は再生しないので現在木の枝を足に刺して義足を作ってる状態。
今気づいたけど、体になにか刺さってるときは継続ダメージを受けるようだ。
まあ私HPは結構あるから、2時間は持つだろう。
切れても榎のMPも回復してるから回復魔法が使える。
さて、ダンジョンに入る時の注意書きの通り、今死んだら恐らくこの戦利品全て消失だ。
死んでも死んではいけない。
ま、取り敢えず上り階段を探すか。
◆◇◆◇
あった。
途中鉱床と宝箱もあり、回収したため、尚更死ねなくなった。
宝箱に入ってたのは宝石。
【エレメントジュエル(中) を獲得】
┣レアリティ:S
┣品質:AA
┣効果:属性の魔力を込めると、その属性が付く。一度込めれば1週間。途中で上書きも可能。
┗品目:武具、防具素材
私は魔力もクソも無いけど、これなら他人のMPとか榎のMPで大丈夫そうだ。
やっぱり属性は浪漫でしょ。炎をまとう拳とか、カッコ良すぎると思わない?
あとここ、18階層だった。
生還できるか怪しいが、これで死ぬはマジで最悪。
『17階層』
敵は見つけ次第《幻影分身》使って避ける。幸い地潜子竜みたいな嗅覚&速度の奴は居なかったからセーフ。
スケルトンの、ピッケル持った奴とか、デカいコウモリとかがいた。
コウモリに関しては気づかれたが、榎を階段の方にぶん投げたあと、榎に対して《縮地》を使うという荒技でなんとか突破。
『16階層』
巨大ミミズくんが最悪だった。
振動を感知するっぽくて、走ろうとしたら突然地面から登場し鼻を掠った。
なんか鉱床の周りにトラップとかあって、音が出る系のやつばっか。運営の悪意が見て取れる。
THE・抜き足差し足忍び足戦法で、鉱床全スルーで行くと大して難しくも無かった。
多分採掘の振動とかも感知するんだろうなあいつ。一匹じゃないっぽいし。
『15階層』
罠だらけの階層だった。
良く見れば至るところにスイッチと落とし穴がある。
榎さんの広範囲つるのムチで一回全ての罠を起動させた後進んだ。
そんな事したら鉱床採掘できなくなるけど、どうでもいいから関係ない。
『14階層』
ボーナス階層っぽい。
回復の泉と食べ物があった。鉱床は無し。
回復の泉でも欠損部分は再生しなかったので、スルー。
食べ物は頂いた。保存食っぽいから腐ってたりはしない…と信じる。
『13階層』
安心の、普通に敵がいる階層。
頑張れば倒せなくも無さそうだったが、そんな気力は無いので、《幻影分身》《超速突進》《縮地》を応用して突破。
なんか榎がどこかから綺麗な石ころを拾ってきたと思ったら、「純魔結晶(小)」っていうアイテムだった。何なのかは知らない。
『12階層』
足元が崩れやすく、つまずきやすい階層。
地味に見えるが、この感じ、何か居る。
18階層みたいな徘徊モンスターが居る感じかと思ったら、突如頭上から巨大モグラ。
土の範囲攻撃撃ってきたので榎投げ→《縮地》→階段へ《超速突進》で全力で逃げた。
つまずいて死ぬかと思ったが、榎が投げられるというひどい仕打ちをされたにも関わらず木をはやしてモグラを足止めしてくれて助かった。ありがとう榎!
『11階層』
なんか岩の小型モンスターがいた。
「小岩人形」だっけ。なんか目も耳も胴体も無く、岩にクモの足が生えたような変な見た目だった。地味に速いけど大して強くなく、殴れば死んだ。けど数が多く、最終的には榎投げを行った。
榎投げが一番移動速度が速い。まあそろそろ榎に謀反されそうだから止めとくけど。
『10階層』
安全エリア…のフリをした罠多めの階層。
悪質だなあと思いつつ、罠を無視して通過。
何故わかったかというと、普通に鉱床があり、そして14階層と近すぎる点。あとはよく見るとスイッチや落とし穴も普通にあった。
『9階層』
普通にモンスター階層。
まあ勝てなくはないが、これでも片腕無いし片足木の棒なので無理せず《幻影分身》で通過。
石を投げて場所を偽装したり、ダミーを作ったりして結構余裕で突破した。
『8階層』
上に同じ。
ただ、途中コウモリと交戦。榎の茨攻撃が強すぎた。
『7階層』
ここも徘徊モンスター系だった。居たのはさっきの小岩人形のデカい版。
デカい分足が遅く、超速突進で振り切れた。
『6階層』
ここまでくればもう大丈夫だろう。
まあ油断してゴール手前の崖に落ちるなんて、全てのゲームで経験したことだから油断しない。
コウモリは普通に殴り殺す。
『5階層』
流石にここで死んだら笑えない。
ここからは経験した道なので、すぐだった。
そして…
陽の光。
嗚呼素晴らしき哉、地上!
おっと思わず叫んでしまった。
出た先は普通に街の中扱いで、もうモンスターは出ない。
なんか周りから歴戦の戦士を見る目で見られたが、気にしない気にしない。
魔法病院へ直行。
チュートリアルの説明にもあったが、そこで全快になれる。
金は取るが、いま絶賛榎に回復して貰ってるところなので、そんなものは仕方ない。
足が生え、腕も生えた。
普通に歩ける事にこんなに感謝したことが今まであっただろうか。
◆◇◆◇
「それで、この素材を勝ち取ってきおったと。逆にアホやな」
「何がアホ?」
「どこの世界にLV34でLV85相当の徘徊ボスモンスターに勝てる奴がおるっちゅうねん。俺やったら即諦めてリスポーンまで目ぇ閉じとくわ」
「それで、あとこんな鉱石もゲットした」
「……18階層は別名ギャンブルフロアと言われとってな。バケモンが居る代わりに19よりレアが出やすいねん。なんや紛い神銀って。初めてみたわ」
「あとこんなのも」
「…エレメントジュエルやな。各フロアに一つの宝箱に稀に入っとるレア素材や。5階層から18階層に飛ばされて、素材持って生還するとか、どこの漫画の主人公や」
「ついでにこれらの素材も」
「コウモリの素材は良いとして、純魔結晶。何やお前。幸運の女神でも憑いとんのか?」
「純魔結晶は榎が拾ってきたやつだよ」
「まあ、これだけの素材があれば余裕で強い篭手くらい作れるな。素材が素材やから20万…で、この純魔結晶一つで20万は行くやろ?」
「純魔結晶高」
「魔法使いの杖に使えるんや。MP効率がだいぶ上がるから人気やけど、お前には要らんやろ。これ見たとこ炎への適正がありそうやから、榎君に使うより売ったほうがええやろうな」
「じゃあ、お願いします」
「よっしゃ任せとけ。久々の大仕事やな。この用紙どんなんがええか書け。可能な限り再現したるわ」
「マジで?じゃあ……」
◆◇◆◇
「エレメントジュエルをはめ込んだ篭手で、地潜子竜の鱗で覆い硬さを増し、周りにギザギザの牙を螺旋状に取り付け殺傷力を上げ、尚且つ装備に合う和風なデザイン。おおよそ防具とは言えへんな」
「実質武器だしね」
「武器じゃないから攻撃自体に毒とか属性は付けれんけど、ただ燃えてるだけとかやったら行けるやろ。自分にもダメージ入るかもしらんけど、それは覚悟の上ってことでええな?」
「ONOFFできるなら全然問題なし」
「よし。せやったら属性耐性を完璧にゼロにして、その分物理耐性と頑丈さを上げるわ。スキル枠あるやん。なんか欲しいスキルとかあるか?」
「どんなのできる?」
「この素材やったら…生贄あれば大概何でもいけるやろ。生贄はその角一つで十分や」
「だったら……」
「…面白そうやな」
わくわくするなこれ。「ぼくのかんがえたさいきょーのこて」が作れそう。
生産職も楽しそうだなあ。まあ私は戦ってる方が面白いけど。




