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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER ONE
13/40

THIRTEENTH:闘技場、続

「なんで鎖壊れたの?耐久値だいぶあるはずだけど」

「さあ」


 相手は空中に浮かんでいる。

 あいつの周りには12枚の御札が浮かんでいるが、それの効果は不明。ただスキルを発動する度に札が一枚光るところを見るに、それぞれの札がスキルに対応しているのだと考えられる。

 そしてその札が光るのはスキルを使う直前。つまりどの札がどのスキルに対応しているのかが解れば次の一手を読み取る事ができる。と思う。

 札にはそれぞれ見たことのない文字がある。いや、あの文字だけは何処かで…

 あ、貂の呪いだ。

 スキル名から推測するに恐らく「呪い」を操る系の人かな。推測で物事を断定するのは負けへの第一歩だけど、その線で考えるならジョブ「呪術師」とかだとわかりやすいかな。

 だとしたらあの札は十中八九睡眠系かな。

 いまのところ解っているのはあの札が「転呪」、あの札が「呪鎖」、そしてあの札が恐らく「睡眠」とか?

 浮かんでいるのとさっき分身と入れ替わるの。あと火の玉も合わせたら6つの手札を見せている。

 いろんな札をまんべんなく使っていることから、恐らくそれぞれに使用可能回数とか使用制限があるのだと考えるべきか。

 推測が正しければあと6つの「未知」。ただこういう相手は札を隠し持ってたりするから7,8つあると考えた方がいい。

 一番危ないのは相手の攻撃パターンが分かってない状態で行き当たりばったり戦法。

 それをしたらほぼ100%レベルの高い相手が勝つ。

 モ●ハンでも強い敵に挑むなら先ずは属性と相性の良い武器を調べるでしょ。

 手札は大量にあるぶん、恐らく本人は弱い。

 もしかしたらあの「未知」の中にステータスアップ系があるかもしれないので迂闊な真似はできないな。

 ならすべきことは、相手の手札をできるだけ把握。

 つまり、手数。


 現在私は素手。

 闘技場内ではアイテムも使用禁止だ。

 フィールドはコロッセオ風の建物で、平ら。

 地面には武器になりそうなものは落ちていない。


 なら。


「榎、なんか頂戴」


流石に無茶振りかな?なら殴るしか無いけど…


『わうっ!』


 榎の足元から24本の木の槍。うちの子天才すぎて泣きそう。

 槍と言っても木の棒の、先っぽが尖ってるだけの太い鉛筆みたいな代物だけど、消耗品だから全然大丈夫。


「榎、攻撃範囲最大でお願い」

『わうっ!』


 大量の茨の鞭が、呪術師(仮)に襲いかかる。


「《呪守》」


 360°薄紅色の障壁。

 反射効果は無いようだ。


 槍を掴んで、ぶん投げる。


「《転呪》」


 360°結界を張りながら反射ガード。

 だがそれ以上のことをしてくる様子は無い。

 なにかデメリットがあるのか、同時に使える最大数が2つまでなのか。


 どちらにしろ嬉しい知らせだ。

 今なら攻撃可能。


 跳ね返ってくる木の槍を掴み、


「《縮地》」


 思いっきり障壁にぶっ刺す。

 貫通はしなかったが、破壊。


「STR、ホントにレベル30台?」

「人をゴリラみたいに言わないでよ」


 そのまま殴ろうとするも、空振る。

 分身かな?


 本体は…こういう場合は上か後ろ。

 なら。


「《呪炎弾……うおっ!」

「チッ。外した」


 バク宙キックしたけどギリギリ躱された。因みに後ろに居た。

 スキル名言う時と言わない時の違いはなんだ?

 威力?精度?MP使用量?

 どれにせよ気をつけるべきか。


「《呪・五尺釘》」


 足元から20本の150センチちょっとのデカい釘。

 ちょっと掠ったけど、ジャンプ躱す。

 その時、あの札が光った。


「《呪鈴》」


 チリンと、音がなる。

 その前にとっさに目と耳を塞ぎ、睡眠は免れた。


「あれ?初見殺し最強の技なのに」

「初見じゃないってことじゃない?」


 睡眠攻撃だと、大体音か光、飛び道具かもしくはゼロ距離。

 今のタイミングだとおそらくゼロ距離は無いし、飛び道具だったら空中じゃ躱しようが無いから賭けだったけど、セーフ。


「分析の頭の回転速度が異常だね」

「頭だけは良いつもりなんで」


 釘を引っこ抜き、ぶん投げる。


 案の定「転呪」で跳ね返されたが、反射系は予想できていれば躱すのは簡単だ。


「その跳ね返し、あと何回?」

「……なんで知ってるのさ」


「カマかけただけ」

「あ、そう」


 やっぱり使用回数上限がある感じか。

 じゃあ飛び道具撃ちまくりでいつか切れるかな。


「榎、交代!《召喚》」

『わうっ!』


 榎と前衛後衛を入れ替える。

 私は木の槍を投げまくり、榎は近距離魔法と高めの俊敏性で前衛。

 あいてが接近戦タイプじゃないから榎でも十分可能だ。


「そろそろ終わらせよっか。君にはあまり手札見せない方が良い気がするし」

「お?ビビってる?」


 もうちょっと遊ぼうぜ。情報が足りない。


「《極怨》+《呪炎弾》」


 12の札のうち一つが燃え、空に大量の火の玉の雨。

 スキル自体を強化するスキルかな。同時に二つ使う扱いのようだ。


 距離を取れば躱せなくは無いが、それは対処法としてあからさますぎる。

 さっきの発言…ブラフという可能性もあるが、ここで後退すれば何らかの罠があると見ていいだろう。


 なら答えは一つ。


「榎《召喚》」

『わうっ!』


 縮地クールタイム終了まで、あと三秒。

 この火の雨が地面に到着まで、およそ一秒。


 足を思いっきり地面に打ち付け、地面にヒビ。


 全STRを足に込めて、踏み込み、走る。

 AGIが上がった訳では無いため足に少しダメージが入ったが、地面を抉って高速突進。


「なっ《転呪》!」


 使えんのかよ!自分もダメージ食らったっぽいけど!

 2つまでしか使えないんじゃなくて、3つ以上同時に使ったらダメージを受けるって感じかな。

 人を呪わば穴二つ?


「《鉄拳》《二段撃》!」


 気にせず殴る。

 直後火の雨到着。


 ◆◇◆◇


【WINNER:柊&榎 LOSER:漆黒天淵劫火】

【レベルアップ LV32→LV34】


 ちょっと卑怯勝ち。

 榎が死んでも私が生きてたら勝ちだったから、ワンチャン私が死んでも榎が生きてたら勝ち説に賭けた。


 あと「二段撃」で「転呪」が破れるかも結構賭けだった。

 予想通り、一段目の攻撃はしっかり跳ね返されて食らったけど、二段目の分はしっかり相手に入った。

 人間は良いね。顔面破壊したらどんなにHPがあっても即死判定になる。


 まあ、今回の経験値は榎に配分多めに渡されたけど、それでも2もレベルが上がった。

 ま、レベル倍以上だもんね。


 \ピコン/

【称号:闘技場の新星 を獲得】

 ┣獲得条件:「称号:常勝無敗」を取ると発生する「洗礼の闘い(レベル差が圧倒的な相手とマッチング)」を勝利する

 ┣獲得条件:相手の承諾が必要

 ┣効果:対人に於いて、全ステータスがUP(微)

 ┗備考:いやーまさかあの火の雨見て突進してくる奴が居るとは。格下に負けたのは初めてだよ。呪ってやる。


 全ステータスUP(微)は…ホントに微だな。

 記念称号って感じ?


【状態異常:不癒の呪い を受けました】


 うわホントに呪い来た。どうやってんのこれ。

 何か媒体必要なんじゃないのこういうのって。


 効果は「10分間いかなる方法でもHPが回復しない」ね。

 地味に厄介ではあるけど、これから防具新調だし、まあいっか。

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