表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER ONE
11/40

ELEVENTH:あくまとてんし

 翌日。

 今日は日曜日!


 レポート途中だけど、まあこのペースなら大丈夫だな。

 今は午前九時。六時からやってたし、余裕で終わる。ウチは結構課題少なめらしいからその分趣味ゲームできるから良いね。


 さてと。


 ヘッドマシンを付け、AIの無機質な声に促され目をゆっくり閉じる。


 ◆◇◆◇


『わうっ!』


 榎の声に出迎えられる。

 焼いたタコの足をあげると食いつく。かわい。


 あ、そう言えば昨日、食料の分の部分報酬貰ったんだった。

 まずゴールド。そしてこの腕輪。


 〔航海の御守 レアリティ:☆ 消耗アイテム〕

 ┣効果:呼吸ゲージ上昇(小)

 ┗効果:水属性耐性(微)


 まあ普通。


 これより嬉しいのが昨日のボスドロップの、魔石5kg。多分立ち位置的にオマケ枠だと思うけど私にとっては最高。


 察しのいい人は気づいているかもしれないが、これで榎が進化できる。


『緑魔子狼』。植物魔法を使う子狼だ。

 無難に森狼でも良かったが、私のこの称号のせいで森狼を狩れない。

 買おうとしても、そんなの誰でも取れる割に地味に汎用性高いから売ってない。


 もう一つの風玉と言うアイテムは、そもそも風玉がレアだ。

 椿に聞いたら、「あるにはあるけど高い」らしい。

 魔石もそこそこ高いことから、そもそもテイムの仕組みが初心者向けでは無いのかもしれない。

 まあどうでもいいけど。


 一応見られない様に、森の奥に行く。


「榎は進化したい?」


 一応聞く。某電気ネズミみたいに自分から進化を拒むかもしれないし。

 まあそれはそれで困るけど。


『わうっ!』


 良い返事。多分OK。

 早速魔石を全て与える。


【条件を満たした。進化を開始】


 榎を中心に魔法陣らしきものが展開。

 緑色に輝き、榎が暖かな緑の光に包まれる。


 見とれていたら、予想外の事が発生した。


 目の前に突如、リス様。


『しんかするの?』

「え?あ、うん、いや、はい」


『じゃあこれあげる』


 わたされたのは金のどんぐり。

 目の前でそのどんぐりが、榎に吸収された。


【強制レアイベント:森の賢者の祝福 を確認。特殊効果が発生】

【進化先強制変更:深緑魔狼(子供) 拒否権、選択権は無し】

【進化獲得スキル:《深緑魔法》《植物対話》】

【おみやげ:ほしぞらどんぐりの首輪 を獲得】


【進化が完了しました】


 いつの間にかリス様は消えていた。そして目の前には美しい深緑の毛並みをした子狼。


『わう?』


 なんだろう。喜ぶべきなのかどうなのか。

 ま、いいか。


「榎、おいで」

『わうっ!』


 かわいい。


 取り敢えずステータス確認…強いな。

 てっきり魔法特化になると思ったが、全体的に上昇してる。まあ魔法系がめっちゃ上がってるのは確かだけどその他もだいぶ上昇。これはあれだな。万能型だ。

 リス様の影響なのかどうなのかは比較対象がないから分からないけど。


 首輪見てみよ。


 〔ほしぞらどんぐりの首輪 レアリティ:☆☆☆ 品質:SS 耐久値:不壊〕

 ┣装備条件:テイムモンスター

 ┣スキル《召喚》使用可能

 ┣特殊効果:ほしぞらが綺麗な夜、ほんのり光る

 ┗備考:ほしぞらどんぐり、きれいだけどおいしくないからたべないでね


 ほうほう。デザインもめっちゃかわいいし、召喚は便利そう。詳細見よ。


 《召喚》:相手が「主」と認めた場合のみ、対象を手元に召喚可能。消費SP無し。


「ちょっと榎、離れてみて」

『わう』


 てくてくと、10mほど離れる。


「《召喚》!」

『わうっ!』


 一瞬で目の前に移動。

 便利だな。


 あとは深緑魔法か…実戦してみたいけど、海中じゃ植物魔法は使えないよな…


 ん?茂みから何か…


「あ」


 あちらもこっちを見て、少し驚く。

 クマさん。


 戦闘態勢に入ろうとしたが、襲ってこないのを見て、今は敵対していない事を思い出す。

 恐る恐る近づくと、ぷいっと顔を背けて、のっしのっしと歩き始めた。


 しばらく歩くと立ち止まり、ついて来いというような素振りを見せた。

 なにかイベントが始まったようだ


 私は許してないからな!

 いつか懲らしめてやるから覚悟しとけ!今は無理だけど!


 少し離れてついていく。


 しばらく進むと、ほら穴。

 ヌシの森は異常に広いため見つかっていないところも多いが、これはあれだな。特定の条件満たしてないとたどり着けないやつだ。

 何かのゲーム的演出だろう。

 なんか神聖な雰囲気を感じる。木の雰囲気も違い、人が足を踏み込んだ形跡も全くない。

 美しい木漏れ日に照らされて、葉が輝く。


 ほら穴の中には、平らな石と、そこに横たわる白い生物。


貂祀てんしを発見した】


 \ピコン/

【ユニークイベント:悪熊あくま貂祀てんし を発見。受諾する?】


 なんか始まった。

 貂。かわいいが、具合が悪そうだ。

 クマさんはその姿を心配そうに見ている。

 どう考えてもこれで断るやつは居ないだろう。


 YESっと。


【MISSION:貂祀てんしの状態】

 ┗貂の状態を調べよう


 近寄って、見てみる。

 目立った外傷なし。喉になにか詰まってる訳でも無い。

 病気?ん?なんだこれ。


 額に、なにかの文字。このゲーム内の文字は一通り見たが、これはどれとも違うようだ。

 黒紫で、禍々しい光をほんのり放つ。原因はこれのようだ。


 触れてみる。


「悪夢ノ呪」


 耳元で誰かが囁いた。

 同時に耳に冷たい息がかかり、鳥肌が立つ。

 なんの演出だよこれ。


 呪いねえ。このゲームでは初めて聞く概念だ。


 悪夢ね。魘されて寝てるし。

 解呪するまで起きない感じかな。


【NEXTMISSION:解呪】

 ┗必要素材:目覚めの花、愛する者のキス


 愛する者のキス?そんなのどうやって……


 ちらっとクマさんを見る。


「クマさん、この貂とどういう関係?」

『………』


 クマさんがプイっとそっぽを向く。



 ……さて、あとは目覚めの花か。

 目覚めの花は草だよな。探せばあるかも。


「目覚めの花」の文字をタップすると写真が出てきた。白い百合のような花だが、花びらに金色の太陽模様が入っている、美しい花だ。


「クマさん、榎、これを探してくれる?私も探すから」

『わう!』

『……ガウ』


 ◆◇◆◇


 無い。


 やはりレアな花なのか…それとも特殊なところに生えているのか…

 テッポウユリやスカシユリは日当たりのいいところ。オリエンタルハイブリッドや鹿の子百合は西日の当たらない半日陰だが…


『わうっ!』


 榎が何かを思いついたように、木に駆け寄る。


『わうっ!』


 榎が木に向かって吠え始めた。


【榎がスキル《植物対話》を発動】


 お?


『わうわうっ!わうっ!』


 榎がついて来いと言わんばかりに駆け出す。


 着いた先は、湖。


 よくよく見ると、その上空にその花が咲いていた。

 誰が百合が空中に咲くと予想できただろうか。


 うちの子天才。


 さて、どうやって取るか。届かないし…


『わうっ!』


【榎がスキル《深緑魔法》を発動】


 緑のツタがのびて、花を掴む。

 …うちの子天才過ぎ。私何もしてないんだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ