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ANCIENT WORLD ONLINE  作者: 桐に鳳凰
CHAPTER ONE
1/40

FIRST:ゲーム開始!

 西暦20■■年。


 空前の大ヒットを記録したVRMMORPGがあった。


「ANCIENT WORLD ONLINE」


 よくあるタイトル。


「独自のスキル構成と発想力で、新たな自分を楽しもう!」


 よくあるキャッチコピー。


 CMも無し。


 大手企業が全くソフトを出さずに数年、久しぶりにただ無言でリリースした作品。


 だがこのネット時代。口コミの速さは恐ろしい。


「神ゲー過ぎw」

「さては広告費を全て内容に回したな?」

「超大作」


 CMすらないことに逆に興味を持った者達がプレイし、コメントする。


 皆半信半疑、しかも中々に高額。だが或る有名プレイヤーの配信を引き金に注文が爆増した。


 リアリティのありすぎるグラフィック。

 超高性能AINPC。

 完全オープンワールド。

 広すぎるフィールド。

 完璧な触覚、嗅覚、味覚、視覚、聴覚、痛覚。(ON/OFF可)

 美しすぎて芸術とまで言われた絶景の数々に、AIによる∞通りのストーリー。


 正にラノベに出てくるような、夢のゲームそのものだった。


 開発者達は称賛を浴び、ノーベル賞を授与されることとなったこの作品。


「これが売れなかったら倒産確定の大博打でした。私達の夢の結晶です」


 涙と共に笑顔で言った、運営の言葉である。


 そんな浪漫の塊。


 G ☆ E ☆ T !!!!!!!!


 抽選を勝ち抜き、苦節半年。漸く手に入れた。

 キャラクリエイト権は一回のみ。


 私はただの大学生。自由に使えるのは少しばかりのバイト代。

 夏季休暇を犠牲にし、バイト代で手に入れたこのヘルメット型のフルダイブマシン。


 これを失敗すれば即ち”死”!!


 震える手でヘッドマシンをつけ、起動する。


 視界がブラックアウト。





 《Hello my master.What languages do you use?》

「日本語」


 《了解しました。身体スキャン………完了しました》


 《性別:女性 合っていますか?》

「はい」


 多様性とかにも配慮されてるのかな。


 《キャラクリエイトに移行します》


 視界が美しい宇宙のような模様に覆われる。


 その美しい海に私は浮かんでいた。


「やあ。ボクはキャラクリエイトと初期設定を担当する、プリチーなウサギさんだよ」


 眼の前に白兎の獣人っぽい少年。


「へぇ。名前は?」

「え?だからウサギさん」


「あ、それが名前なのね。」

「さてと、まずプレイヤーネームを教えて」


 眼の前にキーボード。

 考えていた名前を打ち込む


「ふむふむ『柊』ね。りょーかい。次はキャラクリエイトだよ」


 眼の前に自分。そして大量のグラフ。


「それを調整してね。リアルモジュールはできればやめて欲しいかな」


 うわぁ。大量のグラフ。

 なになに?髪の長さmm単位で決めれるし、親指の第一関節までの長さとか、調整するやついるの?

 胸は大きく……できるけど……


 チラッとウサギさんを見る。


「なに?」

「なんでもない」


 友達のプレイヤーもいるし、やったら負けな気がする。

 やめよ。うん。やめよ。


「できた」


 結局背も胸もそのまま、体重は体積から計算されるし、邪魔なものは無い方がいい。うん。


「髪の色を白にして目の色赤にして、髪伸ばしただけだね。リアモジュ判定はぎりぎりセーフだから良いけど」

「顔はもともと整ってる自信あるから」


「こうしてみると王子様系だったのがお姫様系になったね。似合ってるよ。高身長でスレンダーなのも綺麗」

「褒めもできる優しい声のダウナー系ウサギさん好き」


「ありがとね。次は職業。えらんで」


 青いボードが出現。

 選択肢は…〈剣士系☆〉〈弓兵系☆〉〈大盾系☆〉〈槍兵系☆〉〈盗賊系☆〉〈魔術系☆〉〈回復系☆〉〈ランダム〉か。


「一応参考までに言うけど、〈剣士系〉は後々〈大剣士〉とか〈侍〉、〈双剣士〉になったり、〈弓兵系〉は〈銃士〉〈弩兵〉〈砲兵〉になったりするから。詳しくは文字をタップしたら分かるよ。あと〈ランダム〉は極稀にレア職業が取れたりするよ。まあ外れても変更できないからハイリスクだけどね。

 あと生産系はゲーム開始後に第二職業としてつけれるから心配しないで」


 なるほど…しかも職業進化は書いてあるやつ以外に、稀にオリジナルジョブもあるのか。

 ワクワクするなあ。


 私はゲームのジョブは特にこだわりは無いけど……前世では剣士だし、前前世では魔術師だし。

 ……じゃあランダム行ってみるか?

 どれも楽しそうだし、別に外れてもいいか。


「お、ランダム?チャレンジャーだね。OK」


 軽快なメロディが流れ、大量の白いカードが出現する。


「この中から一枚、好きなの選んで」


 どれにしようか。うーん…よし。ここは潔く目を瞑って……!


「これ!」

「ほうほう。あ」


「え?何?」

「おめでとう。レアだよ」


 マジで!?何?


「〈狂戦士系バーサーカー☆☆☆〉特徴:武器使用不可、DEF最弱、HP最強、STR最強、AGI強め、MDF最弱、MP無し、SP最強、LUK強め、MAT0」


 ………なんだこれ。


「レア度は☆☆☆だね。最大☆☆☆☆だから、だいぶレアだよ。☆4は世界に一人だから実質最高レアかな。」

「まってまって。なにこれ。武器使用不可って何?」


「誰もレアなら強いなんて言ってないよ。君にはこれから拳一つで戦ってもらいます。はいこれ〈狂戦士系〉の初期装備。」


 渡されたのは布一枚とボロボロのズボン。


「男なら上裸だけど流石に女子だしね。その布巻いてね」

「鬼畜すぎる無慈悲な声の冷徹系ウサギさん嫌い」


「ありがとね」

「褒めてない」


「じゃあ、一名様ご案内。3、2、1、いい旅を」


 足元に白い穴が出現。落とされる。



 視界が、ホワイトアウト。

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