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そうして俺は運命を手に入れたのだった

争いごとは~と世界の中心に~のIf続編というか第二王子サイド二周目(逆行?) 


プシュケとヒューゴの婚礼の夜、彼女に恋していた男たちで集まって失恋の傷のなめ合いのような飲み会をした。彼女が人妻になった以上、俺たちはもう彼女に気軽に会う事もできないのだ。傷心で(多分)酔い潰れ、目が覚めるとプシュケと初めて会った日の翌日に戻っていた。

学園の最終学年からのやり直しとなればうまく立ち回ればヒューゴではなく俺がプシュケと結ばれることができるかもしれない。そう考えて思い出したのは、卒業プロムで婚約者だったアンジュールに告げられた言葉だった。

「婚約者のある身で他の女を口説くなどという不貞、許されると思いまして?そのような浮気な方はこちらから願い下げです」

そういえば、ヒューゴはこの頃俺たちの中でも数少ない、許嫁のいない男だった。プロムでの婚約破棄騒動になった男は俺一人ではないが…ヒューゴはそもそもフリーの身だったので素知らぬ顔をしていた。あの後しばらくばたばたしたので、その間にプシュケと距離を詰めていたのかもしれない。

そうとなれば行動は早いに越したことはない。俺は即日でアンジュールにアポイントメントを取って訪ねた。

「アンジュール嬢、私との婚約を取り消してもらいたい」

「…突然でございますわね。それは、どのような理由で仰っていますの」

「私は昨日、運命と出会ったのだ。彼女と結ばれるためにお前との婚約を解消したい」

「…。…では、お父様と陛下にそのように申し上げくださいまし。(わたくし)に、あなたとの婚姻をどうこうする権限はございませんから」

「うむ。異議申し立てはしないということだな?」

「私はお父様の選んだ方に嫁ぐだけですので」

これで、アンジュールがプシュケを苛めることはないだろう。プシュケとヴィルヘルムが私に嘘を吐くわけがない。おそらく、アンジュールは婚約相手が変わってからはプシュケへの嫌がらせを止めていたのだ。ならばこうして先に私とアンジュールの婚約をなくしておけばアンジュールがプシュケに手出しすることもあるまい。

「…イグニット様が想い人と結ばれることをお祈りいたしますわ」

「うむ。私も、私には及ばないまでもお前に良縁のあることを祈ろう」

おそらく、俺が父上にこのことを申し出ればヴィルヘルムがアンジュールと結ばれるはずだ。俺はプシュケの方が良い女だと思うが、アンジュールが性格はどうあれ国に益のある才女であるのは認めている。ヴィルヘルムならばうまく手綱をとれるだろう。




そして卒業プロム前に俺はプシュケに交際を申し込んだ。

「プシュケ嬢、卒業プロムにパートナーとしてエスコートさせてほしい。私と結婚を前提に付き合ってくれ」

プシュケは愛らしい顔に微笑を浮かべて小首を傾げた。

「申し訳ないのですけど、お断りします」

「えっ」

「イグニット様だと私が嫁入りするのでなくイグニット様が婿入りしてくることになって、王族になれるわけじゃないし、男爵家を盛り立ててくれる感じでもないし、顔が良いだけの人の√は一回で十分っていうかぁ…」

プシュケは可愛らしい笑みを浮かべて、改めて言う。

「そういうわけで、イグニット様との結婚は、お断りします」




プシュケに振られたのがあまりにもショックで、しばらくは生ける屍のように過ごした。レナードがプシュケをエスコートする男の座を勝ち取ったという噂を聞いた気がする。ヒューゴではないのか、と薄っすら思った。

プロムにエスコートする相手がいないのは良くはないが悪いわけでもない。プロムで会って結ばれる者もいなくはないので。だが、好かれていると思ったのに、あっさり振られてしまったのが受け止めきれなかった。全く己の非が思いつかない。何故振られたのか、プシュケの見る目がない以外の理由がわからない。現在フリーで俺より結婚相手として優れている男などそうそういないはずなのだが…。

中庭で物思いに沈んで深く溜息をついた時、誰かが横に立った。

「あの、お加減がよろしくないのですか?イグニット様」

「君は…」

それがアムールとの出会いだった。彼女とは学園に入学したのが同年だったはずだが、これまで特に交流がなかった。何の気の迷いか、ここ数日の悩みを彼女に相談した俺に、彼女は真剣な顔で言った。

「イグニット様の言う通り、その方たちに見る目がなさすぎるだけですわ。私も、イグニット様より美しい殿方を見た事がございませんし」

アムールの励ましの言葉で俺は気分が持ち直し、プシュケに少し腹が立ってさえきた。

「アムール嬢、卒業プロムで私のパートナーを務めてくれないか?」

「まあ…喜んでお受けいたしますわ、イグニット様」



そして卒業プロムでアムールと踊り、その後も何度かデートをして、俺は彼女という素晴らしい女性を見逃していた己の節穴さを恥じた。アムールは美しく聡明で男を立てることを知っている。プシュケに振られたことも、彼女に出会うために必要な運命だったのだ。

「アムール、俺と結婚して欲しい」

「私でよろしいのでしたら、よろこんで」




「…というわけで、イグニット兄上はハオルチア伯爵家に婿入りすることになったようです」

「アムール・ハオルチア様というと、確か…」

「ええ、プシュケ・グリンデル男爵令嬢と同じく、養子としてかの家に入られた方ですね」

「…主人公補正をもらえなかった主人公ちゃんかー」

「アンジー?」

「いえ、何でもございませんわ。でも、伯爵家に入るということは、王位継承権は下がるでしょうけれどなくなりはしないということですわね」

「兄上自身と、息子が生まれればスペアのスペアレベルならば、といったところですね。ヘンリー兄上一家に変事の起こらない限り関係のないことですが。私たちもいますし」

「私、アムール様とは話したことがございませんけれど…イグニット様を掌で転がしてくださる方のような気がいたしますわ」

「同感です。おそらく兄上の手綱をしっかり握ってくださるでしょう、これで兄上も安心ですね」


ループしてそうなゲーム主人公ちゃん 多分二回選ぶとループ終了 ヴィル√も過去にやってんだろうなー 多分ヴィル√クリアでイグニット√解禁 

こいつ顔が良くて社交的な事以外の長所あんのかな…(愛されキャラではあるのだと思う) 

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きを読ませていただきました。 なんというか、女性って現実的ですね でもその方が国的には良いのかもしれないです。 続きをありがとうございました
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