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俺達は世界の後始末  作者: 新規四季
3/8

人間より上位な者3

「あー、儚?」


座敷わらしが膝の上で親指を加えながらじーっと見てくる。

物欲しそうな目で訴えかけられると困ってしまう。


「うん、どうしたの?」

「座敷わらし用に何か無いか?」


儚の名前を呼ぶと、儚は少しだけ上機嫌な対応をしてくれるから、お願い事の時はいつも名前を呼ぶ。


座敷わらしに気付いてない儚に要件を言えば、視線を下げて座敷わらしをみる。


「へ?わぁ、いつの間に」


言葉ほど驚いて無い。儚が座敷わらしを撫でながら挨拶をしている。


「ふむ、儚ちゃんもそういう類いが見えるんだね」

「あ、おじさんは見えないんでしたっけ」


親父にはきっと儚が何も無いところを撫でているパントマイムに見えているんだろう。

その様子を見ていつも通り不思議そうな顔をする。そこには興味と落胆が混ざっているのを知っている。


「ははは、由緒ある血筋なのにね」


親父が、自傷気味に言う。

俺も儚も、何も言えないでいると、座敷わらしが俺の服を乱暴に掴む。


「わ、わかったから!俺のあげるから!」


堪らず俺用の食パンをちぎって座敷わらしの口元に運ぶ。

目を細めて美味しそうに食べるのをチラチラ時計を見ながら何回か繰り返す。


「もう、それじゃあ颯太のが無いじゃない!待ってて今同じの用意するから」


儚はもう一度トーストを用意しようとするが、焼いて食べて、顔洗ってとやっていたら確実に遅刻する。


「今からは、もう間にあわ……」


抗議しかけて辞める。


「なに?」

「いえ、なんでもないです」


ギロリと口答えを許さない言動で言われては閻魔大王だって従いそうだ。


「……ちょっとくらい力使っても問題ないわよ」


儚はポツリそう呟いた。

その言葉は聞かなかった事にする。

座敷わらしは不思議そうに首をコテンと傾げている。

可愛いからほっぺをつんつんすると、二ヘラと笑う。


「それじゃあ、父さん行くから」

「うん、行ってらー」

「行ってらっしゃい」


親父は関係ないとサッサと時間通りに出勤してしまった。

自分だけは時間に厳しい。

まあ、あんな事があればそうなるのも無理はない。

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